早期事業再生法の概要とポイント
事業再生・倒産
目次
2025年6月6日、「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律」(通称「早期事業再生法」。以下「本法」といいます)が可決・成立し、同月13日に公布されました(令和7年法律第67号)。
早期事業再生法は、倒産前の状態(経済的に窮境に陥るおそれのある段階)の事業者について、公平中立的な第三者機関と裁判所が関与して手続の透明性・公正性の両方を担保しつつ、直接の商取引に影響しない金融債務の整理を迅速に行うことで、早期での事業再生を円滑に行うことができる制度(以下「本制度」といいます)を創設する法律です。
本記事では、本制度の概要とポイントについて解説します。特に断りのない限り、本記事で引用する法令の条番号は、本法の条番号です。なお、本稿中意見にわたる部分は、執筆者の個人的見解です。
早期事業再生法の概要
制定の背景・概要
日本企業の債務残高(総額)は、コロナ禍前の2019年12月の約578兆円から、2024年9月には約700兆円となり、約120兆円増加しています 1。加えて、足下では、原材料高や人手不足の進行等を受け、民間調査会社の調査によると、2024年の倒産件数は11年ぶりに年間1万件を超えました 2。こうした経済社会情勢の動向を受け、経済的に窮境に陥るおそれがある事業者が早期での事業再生に取り組める制度基盤を整備することが重要です。
事業者の債務整理に係る現行制度には、大きく分けて、法的整理手続と私的整理手続が存在します。
| 法的整理手続(再建型倒産処理手続) | 私的整理手続(債務者・債権者の任意の合意による手続) |
|---|---|
|
|
法的整理手続は、原則として全債権を対象とし、債権者の多数決および裁判所の認可によって、債務の減免等が認められます。手続開始時に公告が行われることもあり、債務者の取引関係に大きな影響を及ぼしやすく、事業価値や収益性の毀損への影響の程度が大きくなりやすいという特徴があります。
一方で、私的整理手続は、手続の利用を公告せず非公開で、主として金融機関等の金融債権に対象債権を限定して手続を進めることができます。そのため、事業価値毀損を抑えやすい傾向があり、その観点から活用されています。他方で、対象債権者全員の同意が得られない限り私的整理手続は成立しないため、この点は事業再生の更なる円滑化に向けた課題として指摘されてきました。
また、欧州各国においては、倒産処理手続とは別個の倒産前手続として、すべての貸し手の同意を必要とせず、裁判所の認可のもとで多数決により特定の債権の権利変更を行う制度が存在します。
こうした背景を踏まえ、今般、倒産前の状態の事業者について、経済産業大臣の指定を受けた公正な第三者の関与のもとで、金融債権者の多数決(議決権の総額の3/4以上の同意等)および裁判所の認可により、金融債務に限定して、債務の権利関係の調整を行うことができる手続を整備する法律として、本法が制定されました。
| 名称 | 資料 | 主管省庁 | 経過 |
|---|---|---|---|
| 円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律 |
概要 要綱 成立法律 |
経済産業省 |
|
本制度は、①倒産前の状態の事業者について、公告がなく、金融債務に限定して債務調整を可能とする点で法的整理手続と異なり、また、②一定の多数決および裁判所の認可により権利変更が可能となる点で私的整理手続とも異なり、事業価値への影響を抑制しつつ実効的に早期での事業再生を可能とする制度として、事業者の債務調整の手法に新たな選択肢を与えるものです。
施行時期
本法の施行日は、附則の一部を除き、公布日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日です(本法附則1条本文)。したがって、2026年12月中旬までに施行されることとなります。今後、本法の施行に向けて、政令、経済産業省令、最高裁判所規則の策定等が進められる予定です。
早期事業再生法に基づく手続の対象
対象事業者
本制度の対象事業者は、倒産前の早期かつ迅速な事業再生を促進する観点から、民事再生法上の「経済的に窮境にある」状態の前段階として、「経済的に窮境に陥るおそれのある事業者」としており、業種や事業規模による制限は設けていません(3条1項柱書)。
もっとも、本制度は、事業再生ADR等の私的整理で必要となる全員同意が得にくい事業者の利用が想定されるため、たとえば、主として、金融債権者の数が相対的に多い大企業や中堅企業の活用が想定されます。
対象債権
本制度で、権利変更の対象となる債権は、確認事業者に対して後述4の確認の時に、(1)以下の①~⑨が有する、(2)当該確認前の原因に基づいて生じた貸付債権等です(2条1項〜3項)。(1)債権を有する主体と、(2)債権の性質という主に2つの側面から対象債権を定義しています。
- 預金保険法2条1項に規定する金融機関
- 日本に支店のある外国銀行
- 農水産業協同組合
- 保険会社(外国保険会社等、免許特定法人を含む)
- 貸金業者
- 政策金融機関、預金保険機構、信用保証協会その他これらに準ずる経済産業省令で定める特殊法人等
- 上記のほか、金銭の貸付けその他金融に関する業務で信用の供与に係るものを行う事業者として経済産業省令で定める者
- 地方公共団体
- 上記①~⑧の者が有していた貸付債権等を譲り受けた債権回収会社その他債権の譲受けに関する業務を行う事業者として経済産業省令で定める者(⑨の者については、①~⑧の者が有していた貸付債権等が対象債権となる)
担保権付債権については、後述5のとおり、指定確認調査機関による一時停止の要請および裁判所による中止命令の対象には、担保権の行使によって弁済を受けることができる対象債権の部分(保全部分)も含める(6条1項前段、8条1項)などの観点で、手続自体には取り込まれます。
他方、保全部分については、実体法上の担保権の優先性が尊重されるべきであるため、民事再生法における取扱いも踏まえ、本制度の多数決による債務の減免や期限の猶予等の権利変更の対象とはなりません(11条括弧書き、12条2項)。すなわち、多数決による権利変更の対象となる部分は、対象債権の非保全部分に限定されます。
本制度の主な流れ
本制度の主な流れは以下の図のとおりです。

指定確認調査機関による手続利用要件の確認
本制度では、まず、手続を利用しようとする事業者が、経済産業大臣による指定を受けた第三者機関である「指定確認調査機関」(3条1項柱書、46条1項)に対して申請し、指定確認調査機関が、その申請が本制度の利用要件に該当する旨を確認(3条1項柱書)することで開始します。
指定確認調査機関は、当該申請を受けたときは、人格が高潔で識見の高い者であって、事業再生に関する専門的知識および実務経験を有する者として経済産業省令で定める要件を備える者のうちから、事案ごとに、確認調査員を選任しなければなりません(52条)。この確認調査員が当該確認や後述7の調査の事務を実施します(3条6項、15条2項)。
申請の際、事業者は、債務調整の対象となる債権の権利の変更に関する方針等を記載した「権利変更概要書」や、対象となる債権の一覧表(「貸付債権等一覧表」)等の必要書類を提出しなければなりません(3条1項〜5項)。
この確認を受けた事業者を「確認事業者」(2条3項)といい、本制度による事業再生の主体となります。
本制度の利用要件は、以下のとおりです(3条1項各号)。
- 債務調整の必要性
当該事業者が事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難となるおそれがあること(経済的に窮境に陥るおそれ) - 対象債権への該当性
貸付債権等一覧表に記載のある債権が当該事業者に対して金融機関等が有する当該確認前の原因に基づいて生じた貸付債権等であること - 対象債権者集会での可決の見込み
権利の変更に関する方針が対象債権者集会での可決の見込みがないことが明らかでないものとして経済産業省令で定める基準に適合するものであること - 清算価値保障の見込み
権利の変更に関する方針が対象債権者の一般の利益に適合する見込みがあること - 法的整理手続が開始していないこと
当該事業者が、破産手続開始の決定等を受け、破産事件等が係属している者でないこと
なお、上記の要件①または③から⑤のいずれかに該当しないこととなったとき等の確認の取消しの事由に該当する場合には、指定確認調査機関は、当該確認を取り消さなければなりません(5条1項各号)。この場合、手続が終了することになります。
指定確認調査機関による一時停止の要請・裁判所による中止命令
指定確認調査機関による一時停止の要請
指定確認調査機関による利用要件該当性の確認後、対象債権の権利変更を決議する対象債権者集会に向けて手続が進行します。この時点で、対象債権者に、債権回収のために個別的な権利行使や債権保全行為を認めた場合、債権者間の公平が保たれないこととなり、ひいては公正かつ円滑な事業再生に支障を生じる可能性があります。
このため、債権者の権利行使等を一時的に制限するため、指定確認調査機関は、前述4の確認後、速やかに、すべての対象債権者に対して、手続が終了するまでの間、対象債権の回収その他経済産業省令で定める債権者としての権利の行使(「回収等」)をしないことを要請(以下「一時停止の要請」といいます)しなければなりません(6条1項前段)。一時停止の要請の対象となる行為の詳細は、経済産業省令で定められることとなります。
裁判所による強制執行等・担保権実行手続の中止命令
指定確認調査機関の一時停止の要請は任意の要請であり、それだけでは、かならずしも強制執行や担保権実行を妨げることはできません。特に、本制度は、多数決により対象債権の権利変更を可能とすることから、対象債権者が一時停止の要請に応じない場合もあり得るため、手続の初期段階でも、個別の強制執行や担保権実行を停止する強制力を持った措置が必要とされました。
このため、一定の要件のもとで、裁判所による中止命令として、裁判所が個別の強制執行等や担保権実行手続の中止を命ずることができる制度が措置されました(7条、8条)。
なお、本法と同じく第217回通常国会において成立した、譲渡担保契約および所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律57号)の施行後は、対象債権を被担保債権とする譲渡担保権等の実行の禁止命令や実行手続の取消命令も措置されます(同法31条)。
権利変更議案、早期事業再生計画等の作成・提出
確認事業者は、前述4の確認後6か月以内に、以下のとおり、(1)権利変更議案(対象債権者集会の決議の対象となる、対象債権者の権利の変更に関する議案)の内容を記載した書面、(2)早期での事業再生に関する計画(以下「早期事業再生計画」といいます)を作成し、指定確認調査機関に提出しなければなりません(14条1項)。
ただし、指定確認調査機関は、6か月以内に提出をすることができないことについてやむを得ない事由があるものとして経済産業省令で定める場合には、確認事業者の申請により、6か月以内に限り、期間を延長することができます(14条2項)。
権利変更議案の作成
本制度では、対象債権者で組織される対象債権者集会で、対象債権者の権利(非保全部分に限る)の変更について決議することができます(10条、11条)。
この決議および裁判所の認可の対象は、それぞれ対象債権者の権利の変更の内容である権利変更議案およびその決議です(11条、12条、26条1項、27条1項・2項)。対象債権者集会における権利変更議案の決議を「権利変更決議」といいます(3条1項柱書)。
権利変更議案には、対象債権者の権利の全部または一部を変更する条項を定めなければならず(12条1項)、その条項において、対象債権(非保全部分に限る)に係る権利変更の一般的基準を定めなければなりません(12条2項)。この一般的基準は、たとえば、債権放棄の割合(裏返すと弁済率)が想定されます。
権利変更議案による対象債権者の権利の変更の内容は、原則として、対象債権者の間では平等でなければなりません(13条本文)。ただし、①不利益を受ける対象債権者の同意がある場合または②少額の対象債権もしくは③一時停止の要請に反して回収等をした対象債権者の対象債権について別段の定めをし、④その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りではありません(同条ただし書)。
早期事業再生計画の作成、資産および負債の評定の結果の添付
権利変更議案に加えて、確認事業者は、早期事業再生計画を作成しなければなりません(14条1項)。権利変更議案とは異なり、早期事業再生計画は対象債権者集会の決議の対象とはなりませんが、対象債権者の権利変更議案に対する議決権の行使の参考となり、対象債権者は、早期事業再生計画の記載から債務の弁済可能性や事業継続の見込み、対象債権の権利変更の内容の相当性や妥当性を判断することができます。
早期事業再生計画の記載事項は、以下のとおりです(14条3項各号)。
- 確認事業者が早期での事業再生を図るために権利変更決議を必要とするに至った事情
- 確認事業者の業務に関する経過および現状
- 確認事業者の資産および負債に関する経過および現状(対象債権の内容および原因ならびに当該対象債権を有する対象債権者の氏名または名称を含む)
- 対象債権が担保権によって担保されるものであるときは、その旨ならびに当該担保権の内容およびその目的である財産
- 確認事業者の資産および負債ならびに収入および支出の見込み(資金の調達を行う場合には、当該資金の調達に関する事項を含む)
- 確認事業者が早期での事業再生を図るため実施しようとする今後の事業活動に関する事項(当該確認事業者に係る従業員の当該事業活動への協力ならびに当該確認事業者に係る技術および人材の散逸の回避の見込みに関する事項として経済産業省令で定めるものを含む)
- その他経済産業省令で定める事項
上記の事項のうち、③の資産および負債に関しては、これらの価額を経済産業省令で定める基準に従い評定した結果(資産および負債の評定の結果)を、早期事業再生計画に添付しなければなりません(同条4項)。
⑤に関しては、後述10のプレDIPファイナンスに関する考慮規定にも関連し、資金の調達を行う場合には、当該資金の調達に関する事項を記載することとされています。
また、事業再生にあたっては従業員の協力も必要であることから、⑥に関しては、従業員の今後の事業活動への協力等の見込みに関する事項として経済産業省令で定めるものの記載が必要となります。
指定確認調査機関による調査
指定確認調査機関は、確認事業者から提出された権利変更議案や早期事業再生計画について、債務の履行可能性や対象債権者の一般の利益(清算価値保障)への適合性等の要件該当性について調査を行わなければなりません(15条1項)。
具体的な要件は以下のとおりです(同条項各号)。指定確認調査機関は、調査の結果を確認事業者に報告しなければなりません(15条4項)。
- 権利変更議案の内容が法令の規定に違反しないこと
- 権利変更議案により変更される対象債権者の権利に係る債務が履行される見込みがないことが明らかでないこと
- 権利変更議案の内容が対象債権者の一般の利益に適合するものであること
- 権利変更議案における対象債権者の権利の全部または一部を変更する条項が、確認事業者の資産および負債に関する経過および現状、担保権の内容等、資産および負債ならびに収入および支出の見込みを踏まえて定められていること
- 早期事業再生計画の内容が経済産業省令で定める基準に適合するものであること
- 資産および負債の評定の内容が同項の経済産業省令で定める基準に適合するものであること
対象債権者集会における決議
確認事業者は、指定確認調査機関の調査の結果の報告を受けたときは、遅滞なく、権利変更議案を決議するための対象債権者集会を招集しなければなりません(16条1項・2項)。
また、招集の通知に際して、確認事業者は、権利変更議案の内容を記載した書面に加え、議決権の行使についての参考として、早期事業再生計画や指定確認調査機関の調査の結果等を、対象債権者に交付しなければなりません(17条1項)。
確認事業者および指定確認調査機関は、対象債権者が権利変更議案に必要となる同意をするか否かの判断をするために必要な情報を提供するよう努めなければならず(20条5項)、確認事業者は、対象債権者集会において、対象債権者に対し、意見を述べる機会を与えなければなりません(同条7項)。
対象債権者集会において、権利変更議案につき、議決権者のすべての同意が得られた場合は、裁判所の認可を要さずに、対象債権の権利変更がただちに効力を生じます(29条前段)。
全員同意が得られなかった場合は、議決権者の議決権の総額の4分の3以上の議決権を有する者の同意により、権利変更議案が可決されます(20条1項本文)。ただし、少額債権者保護の観点から、単一の議決権者が議決権者の議決権の総額の4分の3以上の議決権を有する場合に限り、可決要件に対象債権者集会に出席した議決権者の過半数の同意(頭数要件)が加重されます(同条項ただし書)。
対象債権者は、債権額に応じて、対象債権者集会における議決権を有することとしています(19条1項)。ただし、担保権付債権については、その保全部分が多数決による権利変更の対象外であることから、議決権の額は非保全部分の額に限定し、担保権の行使によって弁済を受けることができる対象債権の額については議決権を有しません(19条3項)。
裁判所の認可
権利変更議案につき議決権者のすべての同意を得た場合を除き、権利変更決議があったときは、確認事業者は、遅滞なく、裁判所に対し、当該権利変更決議の認可の申立てをしなければなりません(26条1項前段)。この際、確認事業者は早期事業再生計画および指定確認調査機関の調査の結果を記載した書面を裁判所に提出しなければなりません(同条項後段)。
決議前に指定確認調査機関が権利変更議案および早期事業再生計画について調査していることを踏まえ、裁判所は、指定確認調査機関、確認事業者および対象債権者の意見の陳述を聴取しつつ、(27条3項、42条)、以下の不認可事由に該当する場合を除き、権利変更決議の認可の決定をします(27条1項・2項)。
- 対象債権者集会手続や権利変更決議の内容が法令に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき(ただし、対象債権者集会手続が法令の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは除く)
- 権利変更決議により変更される対象債権者の権利に係る債務が履行される見込みがないことが明らかであるとき
- 権利変更決議が不正の方法で成立するに至ったとき
- 権利変更決議が対象債権者の一般の利益に反するとき
確認事業者および対象債権者に限り、裁判所の認可または不認可に対して、即時抗告をすることができます(27条6項)。
法的整理手続への移行等に関する特例
確認事業者は、事業環境の急激な変化等によって、本制度の利用中に、本制度による事業再生が困難となり、再生手続等の倒産処理手続に移行して事業再建を図らなければならないこともあり得ます。そのため、事業価値毀損を回避する観点等から、事業再生ADRを活用している事業者が倒産処理手続へ移行した際に関連手続の円滑化のために措置されている産業競争力強化法の既存の規定を参考に、本制度の利用に際しても関連手続の円滑化のための特例の考慮規定が措置されました(下記(ア)~(ウ))。
加えて、特定調停や社債権者集会といった他の制度間の連関性の観点から、同様の考慮規定である、下記(エ)および(オ)も措置されています。
さらに、本制度の手続利用中に倒産処理手続が申し立てられた場合に、保全処分・開始決定等の判断を行う裁判所に対する指定確認調査機関の意見陳述の規定も措置されました(下記(カ))。これにより、指定確認調査機関は、倒産処理手続における弁済禁止等の保全処分や手続開始決定に際して、裁判官等の求めに応じて、意見を述べることができます。
(イ)本制度利用中の資金の借入れ(いわゆる「プレDIPファイナンス」)に関する再建型倒産処理手続における考慮規定(69条~71条)
(ウ)商取引債権に関する再建型倒産処理手続における考慮規定(72条~78条)(エ)特定調停における調停機関に関する考慮規定(64条)
(オ)社債権者集会の決議認可に係る判断の考慮規定(68条)
(カ)本制度利用中の倒産処理手続の保全処分・開始決定等の判断を行う裁判所に対する指定確認調査機関の意見陳述(79条)
このうち、(イ)のプレDIPファイナンスについては、民事再生等移行時にプレDIPファイナンスを優先的に取り扱う計画案であっても、指定確認調査機関がプレDIPファイナンスにつき確認を行っている場合には、裁判所は、当該確認を考慮して、計画案の認可の際に平等原則の例外として許容されるか判断をします。当該確認の対象となる借入れの期間について、産業競争力強化法(事業再生ADR)では、手続の終了に至るまでの間における借入れですが(同法56条1項柱書)、本制度では、早期事業再生計画に、資金の調達に関する事項が記載されている場合には、当該資金の調達がなされるまでの間における借入れであれば、当該確認の対象とすることとなりました(69条1項)。この「資金の調達がなされるまでの間」とは、たとえば、スポンサーによる出資が実施されるケースで、スポンサーからの入金が現になされる時点(クロージング)までの間が想定されます。
罰則等
本制度の手続は対象債権者の権利変更という権利制約を伴うものであることから、当該手続の適切な履行を担保するため、確認事業者および指定確認調査機関に関する行為を中心に、刑事罰(80条~90条)および過料(91条、92条)を設けています。
確認事業者に関しては、たとえば、債権者の利益を害する罪について規定されており、対象債権者を害する目的で確認事業者の財産を隠匿または損壊する等の行為をした者は、権利変更決議の認可の決定が確定したときは、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると規定されています(80条1号)。
指定確認調査機関に関しては、公平中立な立場で対象債権者集会の手続に関与し、業務を行うため、適正な運営を確保する観点から、たとえば、業務改善命令への違反(85条5号)や秘密保持義務違反(86条)の場合の刑事罰が規定されています。
経済産業省経済産業政策局産業組織課 課長補佐