Legal Innovation Conference 〜2024年の法改正&リーガルテック最新情報〜 開催レポートPR
法務部
目次
- 2024年 Legal Update 法務がおさえるべき重要な新法・法改正の勘所
- 法務・事業部の契約業務が円滑に!契約プロセス自動化の最新事例
- リーガル・リサーチ〜法律教育をひとつで解決する、BUSINESS LAWYERS LIBRARYの活用シーンから予算の取り方
- 公益通報者保護法の改正でどう変わった? 従事者対応等内部通報体制の実態とリスク管理の最前線
- リーガルテックで次の法務組織を作る ガーディアン機能とパートナー機能を両立させるリーガルテックの効果
- 生成AIの法的論点 2024年最新動向と法務がおさえておくべきポイント~著作権を中心に~
- リーガルテックを活用しきれない、その要因とは?法務DXの第一歩はBoostDraftで!
- 「クラウドサイン」は次のステージへ―法務業務DXを実現するハブ―
- まとめ
2024年は、景品表示法やフリーランス新法、「2024年問題」関連法など、企業活動に重要な影響を与える改正法の施行が予定されています。
4月に開催されたカンファレンス「Legal Innovation Conference〜2024年の法改正&リーガルテック最新情報〜」では、このうち特に影響が大きいものについて、各分野を専門とする弁護士がその要点と対応策を解説。
また、リーガルテック企業が登壇し、各サービスの最新情報や法改正への対応ポイントを紹介しました。
2024年 Legal Update 法務がおさえるべき重要な新法・法改正の勘所
個人情報保護法、育児・介護休業法、民法など2022〜2023年にかけて重要な法改正が続いてきましたが、2024年も重要な新法や改正法の施行が予定されています。国が推進する施策や国際的な潮流に沿った新法・法改正はビジネスの追い風になり得るものです。
三浦法律事務所の坂尾佑平弁護士は、法務担当者がおさえるべきポイントについて、「会社が守るべき基本的なルールの変更」「規制・罰則等の新設・強化」「ビジネスチャンス」の3つの面から紹介しました。
特に注目すべき法改正として、坂尾弁護士は金融商品取引法の改正による四半期報告書の廃止や、景品表示法の改正による確約手続の導入と直罰制度の新設を紹介しました。また、知財分野では意匠法、商標法、経済安全保障推進法、不正競争防止法の改正などを、環境法分野では脱炭素関連の法整備を取り上げました。

一方、同所の菅原裕人弁護士は、「人」に関する重要な新法・法改正として、フリーランス新法と「2024年問題」関連法を挙げました。フリーランス新法は下請法類似の規制と労働者類似の規制があり、大部分の事業者が対応を迫られます。「2024年問題」関連法では、建設業、物流業、医療業界における時間外労働上限規制の開始が実務に大きな影響を与える見込みです。
また、菅原氏は、今後成立が見込まれる改正法案として、トラック事業者の取引に対する規制をはじめ物流業者を対象とした改正法案や、不当に低い見積での取引を禁止する建設業法の改正、育児・介護休業法の拡充についても言及しました。
両弁護士は共に、ビジネス環境の激しい変化に対応するために、法務担当者が法改正の動きを随時キャッチアップすることの重要性を強調しました。法改正の最新情報を入手し、自社への影響を見極めて適切に対応していくことが求められています。情報収集の手段の一つとして、三浦法律事務所が執筆を担当する当メディアで連載中の「Legal Update」を紹介し、講演を締めくくりました。

法務・事業部の契約業務が円滑に!契約プロセス自動化の最新事例
ContractS株式会社の武藤康司氏によると、契約業務において最も業務負荷が高いのは、事業部からの問い合わせやラリーへの対応であることがヒアリングから明らかになっているといいます。
この現状を踏まえて開発されたのが、契約ライフサイクルマネジメントシステム「ContractS CLM」内の新サービスとなる「Contract Automation」です。
「Contract Automation」は、業務フローの司令塔となり、契約に必要な情報を収集し、運用管理マニュアルに基づいて場合分けすることで、法務担当者や承認者の作業を効率化します。武藤氏は、事業部への差し戻しが40%から25%に削減された事例を紹介しました。

リーガル・リサーチ〜法律教育をひとつで解決する、BUSINESS LAWYERS LIBRARYの活用シーンから予算の取り方
弁護士ドットコムの上村翔は、法律書籍・雑誌のサブスクリプションサービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」を紹介しました。昨年12月にリリースされた同サービスの「AIアシスタント」機能は、対話形式で疑問を解消でき、根拠となる書籍も提案されるため、リサーチ業務の効率化が図れるだけでなく、新人教育の機会にもなるといいます。

アカウントマネジメントグループ グループマネージャー 上村 翔
公益通報者保護法の改正でどう変わった? 従事者対応等内部通報体制の実態とリスク管理の最前線
田辺総合法律事務所の東浩弁護士は、近年の不祥事件数の高止まり傾向と、法的には問題がなくても行政処分を受けるケースの存在を指摘しました。東弁護士は、足元の不祥事の傾向として、ステークホルダーの期待に十分に応えていないという不適切な行動が問題視されているといいます。メーカーでは品質不正や不適切会計、金融機関では不適切な商品販売などが目立ち、従業員関連ではセクハラ・パワハラ・人権問題が発生しています。
不正発見の経緯としては内部通報がトップに挙げられますが、2016年の消費者庁による調査では、勤務先以外への通報を選択する労働者は半数近くにのぼり、状況改善や誠実な対応がない場合の外部通報を選択する割合は8割以上に達しています。内部通報後の不利益取扱いや嫌がらせなどの問題も指摘されており、「安心して通報できる仕組みが重要」と東弁護士は述べました。

2022年6月に施行された改正公益通報者保護法では、事業者が内部通報へ適切に対応するために必要な体制整備を義務付ける規制が加わりました。東弁護士は、同法の第11条第1項、第2項や消費者庁のQ&Aなどを確認したうえで、従事者の教育や人事考課での評価などの対応が必要だと説明しています。
不祥事予防策としては、行動規範の見直しや浸透を通したカルチャー改革が重要だと東弁護士は指摘。経営トップの考えを明確に示し、中間管理職の役割と責任を示すことなどがポイントとなります。さらに、企業カルチャー改革とコンダクトリスク管理を一体的に進めることが必要だと述べました。
最後に東弁護士は、「私自身、銀行員時代に(内部統制における3つのディフェンスラインの)二線(リスク管理・審査部門)、三線(内部監査部門)の経験があるが、どうしても暗い部門という印象を持たれてしまう。しかし、これからは企業価値向上につながるもの。お客様をはじめとするステークホルダーに喜ばれる “ゲーム” と捉え、経営者とともに楽しむ。そういった考え方で明るく、改善を進めていければ」と締めくくりました。

リーガルテックで次の法務組織を作る ガーディアン機能とパートナー機能を両立させるリーガルテックの効果
株式会社リセの藤田美樹氏は、国内市場の縮小とグローバルなビジネス環境の変化に伴う法務機能の重要性の高まりを指摘しました。法務の守りの機能である「ガーディアン機能」と、攻めの機能である「パートナー機能」の両立が求められるなか、ビジネス理解・分析力、交渉力・説得力、ITリテラシーなどを兼ね備えた人材の採用難が課題だと述べます。
こうしたなか、法務機能を強化するためには、シェアリングエコノミー、テクノロジー、リーガルオペレーションの3つが重要だと藤田氏は説明。定型業務の効率化や属人化の解消、法務教育などにテクノロジーを活用することで、ガーディアン機能を補完しつつ、より付加価値の高い業務に集中できるようになると述べました。同社が提供する契約書レビュー支援AIクラウド「LeCHECK(リチェック)」も、そのためのツールです。
藤田氏によると、米国でも弁護士がテクノロジーを活用して競争力を強化する流れが出てきており、リーガルテック活用の流れは今後も続いていくものと見られるということです。

生成AIの法的論点 2024年最新動向と法務がおさえておくべきポイント~著作権を中心に~
STORIA法律事務所の柿沼太一弁護士は、生成AIの全体像として、開発者、提供者、利用者という3つの構造があり、生成AIにおける法的論点としては、大きく知財系データ処理(著作物)と機密情報系データ処理(個人情報・機密情報)の2つの問題があると解説します。柿沼弁護士は、機密情報系データ処理については、生成AIの小型化が進み、自社のローカル環境などに構築・展開できるようになることで解消されていく可能性があるとしました。経済産業省が公表した「AI事業者ガイドライン 1」では、開発者・提供者・利用者それぞれが注意すべき点についてまとめられています。
また柿沼弁護士は、2024年のトレンドとして、文化庁が今年3月に公表した「AIと著作権に関する考え方について(以下、「考え方」)2」を紹介したうえで、「海外での訴訟状況も踏まえ、著作権関連のトラブルが増える可能性がある。RAG 3 と著作権の問題は引き続き議論されるだろう」と予測します。また個人情報保護に関しては今後、個人情報保護委員会が指針を出す可能性もあるといいます。
柿沼弁護士は、第三者提供のOSS 4 を使用した自社専用の画像生成AI構築や、AIを利用して生成した画像や文章の著作権などに関する相談を受けるケースが多いとしたうえで、「考え方」を見ながら検討していくことを推奨します。たとえば、「考え方」の40ページでは、AI生成物の著作物性について触れられており、「AIによる創作には権利は発生しないが、AIを道具として利用した創作には権利が発生する。著作物性を持たせるには、AI生成物を加工するのが確実な方法」と説明しました。

リーガルテックを活用しきれない、その要因とは?法務DXの第一歩はBoostDraftで!
株式会社BoostDraftの渡邊弘氏は、西村あさひ法律事務所での弁護士業と各国100名以上の企業法務担当者へのヒアリングから、リーガルテック活用が進んでいない現状を目の当たりにしたといいます。とくに、導入による行動変容の大きさ、AIレビューへの過信、目的化されたDXの3点が原因だと特定しました。
同社が開発・提供する「BoostDraft」は、これらを解決すると渡邊氏はいいます。法的文書の作成・審査においてAIが不得意とする形式的作業に特化し、確実に業務効率化すると紹介。Microsoft Wordで動作が完結するため業務フローが変わることがなく、すぐに課題解決に至るので「導入したけど使っていない」といった事態も回避されます。

「クラウドサイン」は次のステージへ―法務業務DXを実現するハブ―
弁護士ドットコムの稲葉誠人は、同社が提供する電子契約ツール「クラウドサイン」が単なる契約管理ツールから脱却し、法務業務DXを実現するハブを目指していることについて明かしました。
「電子契約書に入力された情報がずれており修正が発生した」「契約台帳に転記する際にミスが発生する」など、サービスを提供するなかで得られた利用者の課題を解決するための付帯機能として、契約情報の入力フォームを用いて顧客・事業部門・法務部門のやり取りをスムーズにするソリューション「クラウドサインSales Automation」、契約書情報から台帳を自動作成できる機能「クラウドサインHub」について紹介。ほかにもクラウドサインは100以上の他社サービスとも連携しており、幅広い課題の解決策を提案します。

マーケティング部 チームマネージャー 稲葉誠人
まとめ
本セミナーを通して、法改正への対応とリーガルテックの活用が企業法務にとって喫緊の課題であることが浮き彫りになりました。
激変するビジネス環境のなかで、法務担当者には、法改正の動向とその自社への影響を見極め、適切に対応していくことが求められています。こうした状況においては、リーガルテックを効果的に活用することが、より戦略的な法務の実現への第一歩となるはずです。
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出典:経済産業省 AI事業者ガイドライン(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html) ↩︎
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出典:文化庁 AIと著作権に関する考え方について(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_07/pdf/94024201_01.pdf) ↩︎
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Retrieval-Augmented Generation 大規模言語モデル(LLM)に外部の情報を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術。組み合わせる情報を誰が用意するかでリスクが異なる。 ↩︎
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Open Source Software ソースコードが公開されているソフトウェアのこと。誰でも自由に改変や再配布が可能となっている。 ↩︎