全国株懇連合会「一体型アクセス通知モデル」の改正

コーポレート・M&A

目次

  1. 一体型アクセス通知モデル本文の改正点について
  2. ウェブ修正に関する補足説明の追加について
  3. その他の改正点について

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュースNo.215」の「特集」の内容を元に編集したものです。


 2月2日、全国株懇連合会は、「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)」(以下「一体型アクセス通知モデル」という)を改正しました。その具体的な内容については、「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)の改正について」をご参照ください。本稿では、改正のポイントをご紹介します。

一体型アクセス通知モデル本文の改正点について

 電子提供措置事項記載書面(書面交付請求株主に対して交付する書面)への記載省略について、次の新旧対照表のとおり、定款の根拠規定および監査対象書類の一部である旨の記載の見直しがなされました。

4.招集にあたっての決定事項
 (1)電子提供措置事項のうち、次の事項につきましては、法令および当社定款第〇条の規定に基づき、書面交付請求をいただいた株主様に対して交付する書面には記載しておりません。従って、書面交付請求をいただいた株主様に対して交付する書面は、監査報告を作成するに際し、監査役および会計監査人が監査をした対象書類の一部であります。
 ① 株主総会参考書類の以下の事項
 ……(各社が定めた事項を記載する)
 ② 事業報告の以下の事項
 ……(各社が定めた事項を記載する)
4.招集にあたっての決定事項
 (1)電子提供措置事項のうち、次の事項につきましては、法令および当社定款の規定に基づき、書面交付請求をいただいた株主様に対して交付する書面には記載しておりません。なお、監査役および会計監査人は次の事項を含む監査対象書類を監査しております。


 ① 株主総会参考書類の以下の事項
 ……(各社が定めた事項を記載する)
 ② 事業報告の以下の事項
 ……(各社が定めた事項を記載する)
 ③ …………………………
 ④ …………………………

(変更箇所は下線。東京株式懇話会ウェブページ掲載資料より抜粋)



 改正理由等は次のとおりです。この内2点目に関しては、従前、電子提供措置事項記載書面について「監査役および会計監査人が監査をした対象書類の一部」であるとする記載ぶりだったものが、連結計算書類、計算書類のすべてを記載省略の対象とした場合は、電子提供措置事項記載書面に会計監査人監査の対象書類が含まれないことがあり得るため、法の主旨を踏まえつつ、より簡潔で分かりやすい表現 として、「監査役および会計監査人は次の事項(※記載省略事項。三菱UFJ信託銀行補足。)を含む監査対象書類を監査しております。」という記載に見直されたものです。

≪改正理由等≫

  • 定款の根拠規定を明示する必要はないことから定款の条数の記載を削除することとします。
  • 従来の表現では、連結計算書類、計算書類のすべてを記載省略の対象とした場合に誤解を与えかねないことも踏まえ、会社法施行規則95条の4第2項の規定の趣旨を損なわない範囲で、より簡潔で分かりやすい表現に見直すこととします。

 なお、当該改正点に関連し、一体型アクセス通知モデルの【補足説明】についても、次の新旧対照表のとおり改正がなされ、留意事項の記載が拡充されました。

(5)その他の招集の決定事項

(略)

 上記⑨は電子提供措置事項記載書面において、株主総会参考書類の内容について省略する事項がある場合に、その内容を記載する。なお、事業報告、計算書類または連結計算書類の内容を一部省略する場合の内容は、招集にあたっての決定事項ではなく(施行規則63条各号参照)、招集通知の記載事項には該当しないが、本モデルのように併記することが考えられる。
(5)その他の招集の決定事項

(略)

 上記⑨は電子提供措置事項記載書面において、株主総会参考書類の内容について省略する事項がある場合に、その内容を記載する。事業報告、計算書類または連結計算書類の内容を一部省略する場合のその内容は、招集にあたっての決定事項ではなく(施行規則63条各号参照)、招集通知の記載事項には該当しないが、本モデルのように併記することが考えられる。また、監査対象書類に関する記載(施行規則95条の4第2項)は、監査役または会計監査人からの請求がない場合でも、あらかじめ本モデルのように記載することが考えられるが、例えば事業報告の記載事項のみ省略する場合などは、表現を工夫することが考えられる。なお、電子提供措置事項記載書面への記載省略の定款規定について具体的な条項数を引用する場合は、定款モデル15条2項に相当する各社定款の条項数を記載する。

(変更箇所は下線。東京株式懇話会ウェブページ掲載資料より抜粋)



 事業報告のみを記載省略した場合、記載省略事項として列記する内容に会計監査人の監査対象書類が含まれなくなることから、「なお、監査役および会計監査人は次の事項を含む監査対象書類を監査しております。」という記載は、表現を工夫することが考えられます。

ウェブ修正に関する補足説明の追加について

 電子提供措置事項記載書面のウェブ修正に関する説明が、次の新旧対照表のとおり見直されました。

(6)その他の記載事項
 電子提供措置事項を修正した場合は、その旨および修正前の事項も電子提供措置事項とされている(会社法325条の3第1項7号)。そして、電子提供措置事項の修正の方法は、電子提供制度導入前のいわゆるウェブ修正と同様の方法によることになる。従って、会社法325条の3第1項1号から6号に記載の事項について、修正後の事項を株主に周知させる方法を引き続き記載しておくことになる(施行規則65条3項、同133条6項、計算規則133条7項、同134条7項)。
(6)その他の記載事項
 電子提供措置事項を修正した場合は、その旨および修正前の事項も電子提供措置事項とされている(会社法325条の3第1項7号)。そして、電子提供措置事項の修正の方法は、電子提供制度導入前のいわゆるウェブ修正と同様の方法によることになる。従って、会社法325条の3第1項1号から6号に記載の事項について、修正後の事項を株主に周知させる方法を記載しておくことが考えられる。また、当該記載は、電子提供措置事項記載書面について修正後の事項を株主に周知させる方法の通知を兼ねることになる(施行規則65条3項、同133条6項、計算規則133条7項、同134条8項)。

(変更箇所は下線。東京株式懇話会ウェブページ掲載資料より抜粋)


 一体型アクセス通知に電子提供措置事項の修正を周知する方法を記載する趣旨は、電子提供措置事項記載書面のためのものであるので、その点がより丁寧な説明となるよう改正されたものです。

その他の改正点について

 その他の改正点として、バーチャルオンリー株主総会、監査等委員会設置会社における記載例等が追加されています。

≪バーチャルオンリー株主総会の一体型アクセス通知記載例≫


第◯回定時株主総会招集ご通知


 拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
 さて、当社第◯回定時株主総会を下記のとおり開催いたしますので、ご通知申しあげます。
 本株主総会は、法令および当社定款の規定に基づき、場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー株主総会)といたしますので、本株主総会には、当社指定のウェブサイト(https://www.◯◯◯.◯◯◯)を通じてご出席願います。ご出席いただくために必要となる環境やお手続方法等の詳細は◯頁以下の「バーチャルオンリー株主総会の開催方法と議決権行使に関するご案内」をご確認ください。

(略)

1.日時◯年◯月◯日(◯曜日)午前10時

2.開催方法 場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー株主総会)とします。
当社指定のウェブサイト(https://www.◯◯◯.◯◯◯)を通じてご出席ください。
ご出席いただくために必要となる環境やお手続方法等の詳細は、◯頁以下の「バーチャルオンリー株主総会の開催方法と議決権行使に関するご案内」をご確認願います。


(略)

4.招集にあたっての決定事項

(1)本株主総会の議事における情報の送受信に用いる通信の方法は、[インターネット/インターネットまたは電話]によるものとします。


(略)

(東京株式懇話会ウェブページ掲載資料より抜粋)



≪監査等委員会設置会社における記載例:下線・太字の個所が監査役会設置会社との違い≫

3.目的事項

報告事項  1.第◯期(◯年◯月◯日から◯年◯月◯日まで)事業報告の内容、連結計算書類の内容ならびに会計監査人および監査等委員会の連結計算書類監査結果報告の件

2.第◯期(◯年◯月◯日から◯年◯月◯日まで)計算書類の内容報告の件


決議事項
第◯号議案 取締役(監査等委員であるものを除く。)◯名選任の件
(第◯号議案 監査等委員である取締役◯名選任の件)

4.招集にあたっての決定事項

(1)電子提供措置事項のうち、次の事項につきましては、法令および当社定款の規定に基づき、書面交付請求をいただいた株主様に対して交付する書面には記載しておりません。なお、監査等委員会および会計監査人は次の事項を含む監査対象書類を監査しております。


(略)

(東京株式懇話会ウェブページ掲載資料より抜粋)


 本稿で取り上げた改正点以外の改正内容など詳細は、「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)の改正について」をご参照ください。

問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務・コーポレートガバナンスコンサルティング室
03-3212-1211(代表)

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する