3月総会招集通知分析(速報版)

コーポレート・M&A

目次

  1. 開催日程
  2. 招集通知(アクセス通知)の発送状況
  3. 電子提供措置の開始日
  4. 電子提供措置の実施態様
  5. ウェブサイトの遷移先
  6. 二次元コードの記載有無
  7. 発送形態の変更に関する案内

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュースNo.204」の「特集」の内容を元に編集したものです。


 2023年3月総会から電子提供制度に基づく招集通知の作成・発送が本格的に開始となりました。本特集では3月総会招集通知分析の速報版として、12月決算で本年3月に定時株主総会を開催する上場会社のうち3月2日時点で招集通知を開示していた198社(以下「調査対象会社」といいます)を対象に、招集通知(アクセス通知)および電子提供措置事項の作成状況等をご案内します。

開催日程

 調査対象会社における定時株主総会開催日は以下のとおりです。なお、招集通知を早い時期に開示している会社が調査対象ということもあり、総会日は比較的早い日程の比率が高くなっています。

【図表1】3月総会開催日 (注1)

総会日 2023年 (ご参考)2022年
曜日 社数
比率 (%) 曜日 社数
比率 (%)
〜3/22 22 11.1 29 15.2
3/23 49 24.7 22 11.5
3/24 63 31.8 39 20.4
3/25 4 2.0 47 24.6
3/26 0 0.0 5 2.6
3/27 4 2.0 0 0.0
3/28 22 11.1 4 2.1
3/29 8 4.0 21 11.0
3/30 26 13.1 24 12.6
3/31 0 0.0 0 0.0
合計 198 100.0 191 100.0

(注1)調査対象会社198社のうち、前年との比較が可能な191社を対象としている。以下、「3.電子提供措置の開始日」まで同じ。

招集通知(アクセス通知)の発送状況

 電子提供措置をとる場合の招集通知(アクセス通知)は、株主総会の日の2週間前までに発送することとされています(会社法325条の4第1項)。調査対象会社において、法定期限(2週間前)より早期に発送した会社が全体の約8割を占め、大部分の会社が早期発送を実施しており、3週間以上前に発送した会社は約3割ありました。前年と比べると招集通知の発送日について傾向に大きな違いはありませんでした。

【図表2】招集通知の発送状況

14日前 15〜20日前 21日以上前
2023年3月 41社
(20.7%)
101社
(51.0%)
56社
(28.3%)
(ご参考)
2022年3月
34社
(17.8%)
106社
(55.5%)
51社
(26.7%)

電子提供措置の開始日

 電子提供措置は株主総会開催日の3週間前の日または招集通知発出日のいずれか早い日から行うこととされています(会社法325条の3第1項)。調査対象会社において昨年のウェブサイト上における開示日と比較したところ、28日以上前の早期に開示した会社の割合が前年に比べて増加しました。ウェブサイトへの掲載日が早期化したのは、電子提供制度導入の趣旨や証券取引所の上場規則の要請を各社がくみ取った結果と考えられます。招集通知の発送は封入・発送作業に一定の日数を要し、これ以上の早期化は難しく、前年と傾向の違いが見られなかったことに対し、電子提供措置の開始日(ウェブサイト掲載日)は対照的な結果となりました。

【図表3】電子提供措置の開始日の状況

21日前(注2) 22〜27日前 28日以上前
2023年3月 16社
(8.1%)
129社
(65.2%)
53社
(26.8%)
(ご参考)
2022年3月
68社
(35.6%)
78社
(40.8%)
45社
(23.6%)

(注2)2022年3月の値は 21日よりも少ない日数を含んでいる。

電子提供措置の実施態様

 調査対象会社における電子提供措置として株主総会資料を掲載するウェブサイトの状況は以下のとおりでした。電子提供措置として株主総会資料を掲載したウェブサイトのパターンとしては、自社ウェブサイトおよび金融商品取引所ウェブサイトの2つに掲載した会社が多数を占めました。複数のウェブサイトに掲載した場合、一方のウェブサイトがサーバダウン等により閲覧ができなくなったとしても、他のウェブサイトで閲覧ができれば電子提供措置の中断には該当しないと解されており、中断に備えて複数のウェブサイトで電子提供措置が実施されたものと考えられます。

【図表4】電子提供措置として株主総会資料を掲載したウェブサイトのパターン

パターン 社数および割合
1 自社ウェブサイト + 金融商品取引所ウェブサイト 139社(70.2%)(注3)
2 自社ウェブサイト + 金融商品取引所ウェブサイト
+ その他のウェブサイト
47社(23.7%)
3 自社ウェブサイト + その他のウェブサイト 6社(3.0%)
4 自社ウェブサイトのみ 5社(2.5%)
5 金融商品取引所ウェブサイト + その他のウェブサイト 1社(0.5%)

(注3)自社ウェブサイトに加え、東京証券取引所以外の金融商品取引所ウェブサイトに掲載している会社2社(東京証券取引所以外の金融商品取引所に単独上場している会社)を含む。

ウェブサイトの遷移先

 会社法上、株主が電子提供措置をとっているウェブページに到達するために必要な情報を招集通知に記載することが必要とされています(会社法第325条の4第2項第3号、会社法施行規則第95条の3第1項第1号)。パブリックコメント(注4)において、「その方法としては,電子提供措置をとっているウェブページのURLを記載する方法に限られず,例えば,会社のウェブサイトのトップページ等のURLを記載し、当該トップページから目的のウェブページに到達するための方法を併記することなどもできる。」との回答がなされていたことを踏まえて、記載するURLの簡潔さや株主のアクセスの容易さ等を勘案し、各社の対応が分かれたものと考えられます。

(注4)法務省民事局参事官室「会社法の改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について」54頁。

【図表5】自社ウェブサイトURLの遷移先

パターン 社数および割合(注5)
1 トップページ 58社(29.4%)
2 株主総会ページ、IRページ等 139社(70.6%)

(注5)自社ウェブサイトで電子提供措置をとっている197社を母数とする。

二次元コードの記載有無

 全国株懇連合会が公表した電子提供制度における招集通知モデルでは、株主による株主総会資料の閲覧にあたりパソコンだけではなくスマートフォンやタブレット端末の使用が想定されることを理由に、電子提供措置として株主総会資料を掲載するウェブサイトのURLに加え、二次元コードも記載することが考えられるとの案内がされています。かかるモデルの案内もあり、以下のとおり二次元コードを記載している会社が多数となりました。
 二次元コードは、電子提供措置をとるサイトへのアクセスのみならず、事前質問の受付・来場登録やライブ配信を実施するサイトへのアクセスにも用いられていました。また、紙資源節約のため会場で印刷した招集通知は用意せず、来場にあたってスマートフォン・タブレット等、インターネット等にアクセスできる機器を持参するよう案内する事例も僅かながら見られ、今後、総会資料やライブ配信の閲覧にあたってスマートフォン等の端末の一層の活用も期待されます。

【図表6】二次元コードの記載有無

パターン 社数および割合
1 二次元コード有り(注6) 111社(56.1%)
2 二次元コード無し 87社(43.9%)

(注6)複数のウェブサイトで電子提供措置をとっている場合において、そのうちの一部のウェブサイトについてのみ二次元コードを記載している場合を含む。

発送形態の変更に関する案内

 電子提供制度の適用に伴う発送形態の変更について案内している会社が見られました。電子提供制度適用後初めての株主総会であることを踏まえて、株主への配慮を図ったものと考えられます。
 調査対象会社における本年および来年の発送形態に関する案内の有無は以下のとおりです。来年の発送形態については、主に制度適用初年度の緩和措置として、書面交付請求の有無にかかわらず従来同様に株主総会資料を送付した会社(フルセットデリバリーを行った会社)において、来年以降の発送物の削減を案内するものが見られました。

【図表7】発送形態の変更に関する案内の有無

記載事項 社数および割合
1 本年の発送形態についての案内有り 53社(26.8%)
2 来年の発送形態についての案内有り(注7) 6社(3.0%)

(注7)来年の発送形態は未定である旨の記載をした会社は含まない。

問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務・コーポレートガバナンスコンサルティング室
03-3212-1211(代表)

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