自社にあったリーガルテックの選定・活用方法を提供各社が紹介! 「LEGAL TECH SHOW〜法務DX最前線〜」開催レポートPR

法務部

目次

  1. 事業部と伴走して依頼者ファーストを貫く、サイボウズにおけるリーガルテック活用例
  2. 迅速にミスのない業務フローを実現する、契約書管理クラウドサービス『Hubble』
  3. CLM/契約管理サービス市場でシェアNo.1を獲得した『ContractS CLM』
  4. 「全ての契約リスクを制御可能にする」ことを目指す『LegalForce』『LegalForceキャビネ』
  5. 月額2.6万円で一人法務の心強い味方に、契約書レビュー支援AIクラウド『LeCHECK』
  6. 法務担当者のスキルアップを促す、比較参照型のAI契約審査クラウド『GVA assist』
  7. 鼎談 「AI契約審査サービス」に関するグレーゾーン解消制度への回答を、法務担当者はどう捉えるべきか

社会全体でデジタル化が加速する中、企業では法務部門のDXも進んでいます。しかし、企業ごとに抱える課題が異なることから、システムを選定するうえで「自社に本当に役立つシステムか」と悩む担当者も少なくありません。

2022年7月25日に開催されたオンラインイベント「LEGAL TECH SHOW 〜法務DX最前線〜」では、法務部門のDXに特化したリーガルテックサービスを多数紹介。本稿では各サービスの特長やデモンストレーションの様子をレポートします。

また、2022年6月6日にグレーゾーン解消制度により照会されたAI契約審査サービスに関する回答が法務省から公表されたことにあわせ、その回答内容について有識者が議論する緊急企画も開催しました。本稿では当日のディスカッションの様子もお届けします。

事業部と伴走して依頼者ファーストを貫く、サイボウズにおけるリーガルテック活用例

初めの講演では、サイボウズ株式会社 法務統制本部部長 我妻未沙子氏が、同社におけるリーガルテックの選定方法や活用例を紹介しました。

サイボウズでは全社からの法務相談を自社システム『kintone』に一括で受け付けています。相談に対して法務担当者は2名1組で担当し、詳しい内容をヒアリングするためのミーティングを設定。法務担当者がすべての段取りを整えることで、依頼者の満足度向上を図っているのが特徴です。

この仕組みを作り上げる際には、「会社が積み上げてきた信頼を守り、新しい信頼をつくっていくという法務の方針を策定し、行動指針に落とし込んだ」と我妻氏は語ります。事業部と伴走し、社内クライアントである依頼者ファーストの姿勢で法務サービスを提供する。そのために、体制づくりとともにさまざまなリーガルテックも導入しています。

たとえば、印刷、押印、郵送といった現場の負担を解消するために、電子契約サービス『クラウドサイン』を導入しており、また株主総会の運営においては、招集通知を全メンバーで一斉にチェックできる『Hubble』を利用しています。加えて、複数の法務担当者が同時に同じ書籍をどこからでも参照できる『BUSINESS LAWYERS LIBRARY』を活用することで、回答スピードや精度の向上につながっていることが紹介されました。

我妻氏は、さまざまな法務サービスの導入後もトライ&エラーを繰り返し、業務の設計図を見直しながら改善を続けているといいます。依頼者と未来の法務チームのためになることを目的として、自分たちの状況や価値観に合ったリーガルテックを導入し、使いこなすことが重要だと締めくくりました。

サイボウズ株式会社 法務統制本部部長 我妻未沙子氏

サイボウズ株式会社 法務統制本部部長 我妻未沙子氏

迅速にミスのない業務フローを実現する、契約書管理クラウドサービス『Hubble』

ここからは契約書の作成・管理に役立つリーガルテックが紹介されました。まず講演したのは株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井智也氏です。

酒井氏は契約書の作成、締結、契約書の管理という一連の契約業務の流れに沿って、「よくある課題」と『Hubble』が提供するソリューションについて説明しました。「事業部の担当者により依頼内容・方法にばらつきがある」「紙と電子の契約書が混在している」「期限切れ間近の契約が意図せず自動更新されてしまう」――このような契約業務の中で発生する課題を、既存のツール(チャットや電子契約サービス等)と連携しながら、適切な契約業務フローを構築し、理想の契約管理体制を実現できるクラウドサービスが『Hubble』です。

また、『Hubble』を使った実際のデモンストレーションも行われました。シンプルな操作感でありながら、締結前の契約書から締結後の契約書まで網羅的に確認でき、各契約書に関わる社内でのやり取りの履歴も記録されます。これは、契約業務フローを「線」として捉え、事業部門も含めた誰もが簡単に管理できるシステムを構築しているからです。

『Hubble』が提供する価値は、「各ツールと連携しながら、最適なオペレーションを組み、理想の契約管理体制を実現する。それにより自社専用の契約データベースを構築すること」だと酒井氏は語りました。導入から定着まで法務経験者が丁寧にサポートしており、『Hubble』の利用継続率は99.6%に達しています。

CLM/契約管理サービス市場でシェアNo.1を獲得した『ContractS CLM』

続いて、ContractS株式会社 経営企画部 部長 津田奨悟氏は、契約マネジメントに関する「契約ライフサイクル管理(CLM)」という概念に基づいて生まれたサービス『ContractS CLM』を紹介しました。

「契約業務は押印の前後にこそ問題点が多い」と津田氏は指摘します。たとえば、契約前の検討経緯・履歴といったプロセスやデータが違うツールに散在していると、更新時に契約内容を見直しても、なぜこのような条件になっているのか確認するのも困難になります。

『ContractS CLM』はあらゆる契約業務をワンプラットフォームで最適化し、CLMを実現するソリューションです。一連の契約業務を最適化する「契約プロセスの構築」と、契約関連情報を可視化できる「契約管理の仕組み化」が可能になり、業務効率化と生産性向上に寄与します。

具体例として、津田氏は株式会社ドリコムへの導入事例を紹介しました。従来、ドリコムでは契約書をWordで作成したうえで、個別のレビューや保管のツールを使い、Excelで管理していました。多様なサービスを組み合わせていたため時間もコストもかかっていたところ、『ContractS CLM』の導入後は年間914時間、550万円の削減に成功。更新漏れや管理不備もなくなりガバナンスも向上しています。
「CLMのマーケットが創出されたのは2021年秋頃。これから拡大期に入り、スタンダードになっていく」と津田氏は展望を語りました。

「全ての契約リスクを制御可能にする」ことを目指す『LegalForce』『LegalForceキャビネ』

ここからは契約書のレビュー支援の機能・契約の管理を中心としたリーガルテックが紹介されました。まずは株式会社LegalForce 営業部 LegalForceフィールドセールス課 課長 小山真聡人氏が同社の2つのサービスについて説明しました。

『LegalForce』は契約締結前のリスクに対応しており、契約書レビューの品質向上と効率化を支援するAI契約審査プラットフォームです。デモ画面では、契約書を『LegalForce』にアップロードして条件を指定・レビュー実施ボタンを押すと、契約書のリスクとなる箇所が洗い出され、一般的な修正文例等が表示される様子が紹介されました。

『LegalForceキャビネ』は契約締結後のリスクに対応し、締結済みの契約書を自動でデータベース化してくれるAI契約管理システムです。紙の契約書をスキャンしたものでも全文テキスト化され、当事者名、契約の開始日・終了日、自動更新の有無などを自動で抽出してデータベースへ登録。契約管理台帳も自動で作成し、csvデータで吐き出すこともできます。

「不利な条項をはじめとした契約締結前のリスクと、契約違反や予期せぬ更新・解除といった契約締結後のリスクは、どちらも人の力だけで予防するのは難しい。だからこそテクノロジーを活用するべきだ」と小山氏は語りました。

月額2.6万円で一人法務の心強い味方に、契約書レビュー支援AIクラウド『LeCHECK』

続いて、株式会社リセ 代表取締役社長/弁護士 藤田美樹氏が、契約書レビュー支援AIクラウド『LeCHECK』について説明しました。

日本企業と海外企業間の紛争解決を専門とする弁護士として活動してきた藤田氏は、「契約書のチェックがきちんとできていれば、そもそも争いは起きていなかった」と実感することも多かったなか、自然言語処理のAIと出会ったことで、取引紛争の減少を目指して起業したといいます。

『LeCHECK』は一人法務を支えるクラウドサービスとして、月額2.6万円からという金額で、AIレビュー支援、文書比較、データベース化、法務Q&Aといったリーガルサービスを提供しています。

特長は、契約する立場を反映した文面のチェック支援が可能なことです。たとえば、秘密保持契約を締結する場合、一般的に情報の受け手であれば守秘義務は緩く、範囲は狭い方がよいでしょう。『LeCHECK』は、情報の受け手という立場を反映してチェックし、不利益になる箇所や抜け漏れを提案。損害賠償条項の範囲が広い場合は範囲を狭める修正案なども提示してくれます。

また、英文契約書にも対応しており、和英対応は月額4万円から。価格面でも少人数の組織を支援していることが藤田氏から紹介されました。

法務担当者のスキルアップを促す、比較参照型のAI契約審査クラウド『GVA assist』

弁護士法人GVA法律事務所 弁護士/シニアアソシエイトであり、GVA TECH株式会社 リーガル部門統括マネージャーも務める仲沢勇人氏は、比較参照型のAI契約審査クラウド『GVA assist』について説明しました。

AIレビューツールといえば、契約書に潜むリスクの指摘や対応策の提示といった指摘型のツールをイメージするかもしれません。GVA TECHでも当初は指摘型のAIレビューツールを開発・展開していましたが、ベンダーが作成した基準による指摘が企業各社の契約スタンスにそぐわないという声や、法務担当者のスキルが上がるとAIからの毎回同じような指摘も不要になるといった声を受け、自社の契約審査基準で審査できるサービスとして、比較参照型のAIレビューツール『GVA assist』を開発・提供しています。

『GVA assist』は、審査対象契約書とGVA assist に搭載している理想のひな型との比較参照を通じ、リスクとなりうる論点の見落としを防ぎ、豊富な条文例を活用して的確かつスピーディーな契約審査を実現します。また、リスクコントロールの負担軽減だけでなく、自社の契約ナレッジの活用を通じてレビュー業務の効率を向上させ、法務担当者のスキルアップにも寄与します。「今後も法務担当者のスキルアップを後押しするツールとしてアップデートを図っていく」と仲沢氏は展望を述べました。

※このほか、『RICOH Contract Workflow Service』『BUNTANリーガル』の2サービスも出展しました。

鼎談 「AI契約審査サービス」に関するグレーゾーン解消制度への回答を、法務担当者はどう捉えるべきか

2022年6月6日、法務省から「新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表」と題する文書が発表されました。回答の概要としては、照会されたAI契約審査サービスについては弁護士法72条に定める「鑑定」にあたると評価される可能性がある、というもので、公表後にはリーガルテック業界を中心として大きな話題となりました。

この回答について、ADR・ODR 1 の知見を有する出井直樹弁護士、AI契約審査サービスの提供社であるGVA TECH株式会社の代表を務める山本俊弁護士、弁護士ドットコム株式会社の田上嘉一が議論を交わしました。

小島国際法律事務所 弁護士 出井 直樹 氏

小島国際法律事務所 弁護士 出井 直樹 氏

まず本回答は、現行の規制の適用範囲が不明確な場合でも企業が安心して新事業活動を行えるよう、具体的な事業計画(サービス)に即して規制の適用の有無を確認できる「グレーゾーン解消制度」への回答です。

山本氏は本回答の内容について「法的評価としてはおかしなことは言っていないが、本回答ではAIのレベルについて弁護士と同程度のアウトプットを出すような、もっとも高いレベルを想定しているのではないか」と指摘し、出井氏は「規制の適用の有無を確認できる制度なのにグレーゾーンのままで事業の不安が解消していない」と評価します。

GVA法律事務所 代表弁護士 / GVA TECH株式会社 代表取締役 山本 俊 氏(※対談へはオンラインで登壇)

GVA法律事務所 代表弁護士 / GVA TECH株式会社 代表取締役 山本 俊 氏(※対談へはオンラインで登壇)

続いて、本回答を解釈するうえでのポイントの1つとなる「鑑定」の定義について議論が展開され、出井氏は「具体的な事実関係に法をあてはめて結論を導くことであり、一般的な法情報を提供することは鑑定にはあたらない」と説明しました。

また田上はこの点について、「ユーザーが契約書をアップロードし、一般法則に基づいてAIがアウトプットを返す。ここまでは問題がなくても、この繰り返しに伴うインタラクティブ性によってAIが弁護士に近づいていく可能性があるというのが今回の件の難しいところだと感じる」と指摘しました。それを受けて山本氏は、「少なくとも、今回の照会書であげられている前提のすべてに当てはまるような高レベルなAIを用いたサービスは、把握している限りではまだ存在しない」と説明。出井氏は、弁護士法72条の立法趣旨や解釈、AIの精度などを踏まえて、リーガルテック業界でガイドラインの策定へ向けて議論するとともに、法曹界ともディスカッションを重ねていくことが大切だと提言しました。

弁護士ドットコム株式会社 取締役 弁護士 田上 嘉一

弁護士ドットコム株式会社 取締役 弁護士 田上 嘉一

今回のセミナーではさまざまなリーガルテックが紹介されましたが、煩雑な契約業務を機械的に処理できるAIサービスは企業においていまや不可欠なものとなっています。企業が国際的な競争力を維持するためにも、リーガルテックの発展と規制にどう折り合いをつけていくのか今後も注目が集まります。


  1. ADR(Alternative Dispute Resolution):裁判外紛争解決手続とも呼ばれる、裁判に代わる代替的な紛争解決手段のこと。ODR(Online Dispute Resolution)はそのうちオンラインでの紛争解決手段のこと。 ↩︎

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