アフィリエイト広告に関する管理措置指針の解説

競争法・独占禁止法
松本 久美子弁護士 弁護士法人中央総合法律事務所

目次

  1. アフィリエイト広告とは
    1. 定義
    2. 関係当事者
  2. アフィリエイト広告の実態と課題
  3. 管理措置指針の改正の経緯
    1. 検討会による提言
    2. 管理措置指針の改正
  4. アフィリエイト広告の表示責任主体の考え方
    1. 基本的な考え方
    2. 管理措置指針等において追加で示された考え方
  5. アフィリエイト広告に関する管理措置指針
    1. アフィリエイト広告における管理措置が求められる事業者
    2. 改正された管理措置指針の内容およびアフィリエイト広告における具体例
  6. 管理措置指針の位置付け
  7. 事業者が注意すべきポイント

アフィリエイト広告とは

定義

 アフィリエイト広告とは、「アフィリエイトプログラムを利用した広告」のことをいい、「アフィリエイトプログラム」とは、広告される商品・役務を供給する事業者(広告主)とは別の者(アフィリエイター)が運営するブログやウェブサイト(アフィリエイトサイト)に、商品・役務のバナー広告、商品画像リンクおよびテキストリンク等を掲載し、当該サイトを閲覧した者が当該広告等をクリックしたり、当該広告等を通じて広告主のサイトにアクセスして広告主の商品・役務を購入したりした場合などに、あらかじめ定められた条件に従って、アフィリエイターに対して、広告主から成功報酬が支払われるものであるとされます 1

アフィリエイト広告とは

出典:アフィリエイト広告等に関する検討会「アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書」(令和4年2月15日)3頁をもとに作成

出典:アフィリエイト広告等に関する検討会「アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書」(令和4年2月15日)3頁をもとに作成

関係当事者

 広告主は、直接アフィリエイターに広告を依頼する場合もありますが、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)や広告代理店を通してアフィリエイターに広告を依頼する場合が一般的です。ASPは、法人または個人のアフィリエイターを広く募り、広告主からの依頼に応じて、アフィリエイターとのマッチングを行い、広告の管理や、報酬の円滑な支払いをサポートする事業者です。一般的に、広告主は、このASPや広告代理店との契約に際して、アフィリエイターに対するプロモーション条件(報酬条件、提携承認基準、成果承認基準、禁止事項等)を設定しています。

アフィリエイトのビジネスモデル(ASPが仲介する場合の例)

アフィリエイトのビジネスモデル(ASPが仲介する場合の例)

出典:消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景表法上の問題点及び留意事項」
(平成23年10月28日、一部改定平成24年5月9日、令和4年6月29日)9頁

アフィリエイト広告の実態と課題

 消費者庁において開催された「アフィリエイト広告等に関する検討会」の令和4年2月15日付報告書では、アフィリエイト広告について、以下のような実態および課題が指摘されています。

  1. 消費者からのアクセスを過度に煽る問題のある表示のアフィリエイト広告の収益性が、適切な表示によるものを上回るという実態がある。
  2. 問題のあるアフィリエイト広告には、定期購入の販売条件・解除条件の虚偽表示や、商品の効果に関する虚偽表示が多く、特に美容健康食品分野で問題のある表示が目立っていた。
  3. 特に悪質な広告主が存在し、消費者相談の大半を少数の事業者が生じさせていた。その悪質な広告主の背景には表示上の問題のある広告の出稿の仕方等を指示するコンサルタント会社や出資会社の存在がある。
  4. アフィリエイト広告の表示責任が広告主にあることの周知が不足している。
  5. 消費者アンケートにより、多くの消費者がブログ等に記載された口コミやレビューが参考になると考えているが、それが企業から金銭を受領して記載されたものである場合には参考になると考えている人の割合が大きく減少することが明らかとなった。しかし、アフィリエイト広告ではほとんどの場合、広告であることが明示されていない。

管理措置指針の改正の経緯

検討会による提言

 上記のような実態および課題を前提として、検討会は、消費者庁に対し、①景品表示法(以下、「景表法」という)上の責任を広告主が負うことを周知徹底すること、②「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」2(以下、「管理措置指針」という)について、アフィリエイト広告を想定した内容に改正すること、が提言されました。
 また、③悪質な事業者への対応として、広告主と共同して通信販売を行うアフィリエイター、コンサルタント会社等についても景表法を適用するほか、個人へも特定商取引法の適用を行っていくこと、④関係事業者等が主導する協議会を設置して、業界団体を中心に適切な表示のあり方を検討していくべきことも提言されています。
 なお、広告である旨の表示の義務付けについては、アフィリエイト広告に限らず、ステルスマーケティング全般について別途実態等を調査のうえ議論されるべきとされ 3、提言内容には含まれていません。

管理措置指針の改正

 上記提言を受けて、消費者庁は、令和4年6月29日付けで、管理措置指針について、アフィリエイト広告を行う場合の景表法26条1項に基づく管理措置の考え方および具体例を追加する改正を行いました 4
 以下、アフィリエイト広告の表示の責任主体についての考え方の整理を行ったうえで、今回の改正で追加された管理措置指針の内容について解説します。

アフィリエイト広告の表示責任主体の考え方

基本的な考え方

 景表法は、事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う不当な表示を規制しており(景表法5条)、ある事業者が景表法の表示規制の対象となるためには、次の2つが必要とされます。

  1. 当該事業者が商品・役務を供給していること(供給主体性)
  2. 当該事業者が表示を行ったといえること(表示主体性)

 ①供給主体性については、商品等の提供・流通の実態を見て実質的に判断されると解されています。また、②表示主体性については、「表示内容の決定に関与した事業者」に認められるもので、「自らもしくは他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず、他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を決めた場合や、他の者にその決定を委ねた場合も含まれる」と解されています 5
 アフィリエイト広告においては、アフィリエイターは、原則として供給主体性を欠き、景表法上の責任主体とはなりません(ただし、アフィリエイターが広告主と共同して商品・役務を供給していると認められる場合には景表法上の責任を負います)。一方、広告主は、表示主体性が問題となり得ますが、原則として、表示内容の決定に関与している(アフィリエイターにその内容の決定を委ねている)として、景品表示法上の責任を負うことになります 6

管理措置指針等において追加で示された考え方

(1)「広告主が表示内容の決定に関与した」の要件

 「広告主が表示内容の決定に関与した」という要件に関し、今回の改正で「アフィリエイターの表示であっても、広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる。」という記載が管理措置指針およびインターネット留意事項に追加されました。
 これは、取引実態から「広告主が表示内容の決定に関与した」とはされない場合があり得る 7 ことを示したものに過ぎず、アフィリエイターに表示内容を丸投げし、情報のやりとりがなかった場合に「広告主による広告とは認められない実態にある」とされるものではありません 8アフィリエイターに表示内容を丸投げした場合は、「他の事業者に表示内容の決定を委ねた者」に他ならず、「表示内容の決定に関与した者」に該当します

(2)アフィリエイトサイトに商品・役務の内容や取引条件等の詳細な表示がない場合

 また、アフィリエイトサイトに、単に広告主のウェブサイトのURLが添付されているだけなど、商品・役務の内容や取引条件等の詳細な表示を行わない場合には、アフィリエイトサイトの不当表示が問題となる場合はないことが、同様に明らかとされました。

アフィリエイト広告に関する管理措置指針

 管理措置指針では、事業者は、その規模や業態、商品・役務の内容等に応じ、必要かつ適切な範囲で、下記 5−2(1)から(7)で示す事項に沿った具体的措置を講ずる必要があるとして、各事項の説明がなされ、別紙において参考として各事項の具体例が示されています。
 改正によりアフィリエイト広告に関して指針に追加された、管理措置が求められる事業者についての考え方、各事項の概要と具体例は以下のとおりです。

アフィリエイト広告における管理措置が求められる事業者

 管理措置が求められる事業者は、自己の供給する商品・役務についての一般消費者向けの表示をする事業者(上記供給主体性および表示主体性が認められる事業者と同じ)です。したがって、アフィリエイト広告では、広告主に管理措置の実施が求められるもので、供給主体性のないアフィリエイターや広告代理店等は、原則として、管理措置の実施は求められていません。もっとも、今回の改正で、広告主がアフィリエイター等に表示の作成を委ねる場合には、広告主は自らの管理措置の実効性確保のため、アフィリエイター等に自らの措置について理解を求め、アフィリエイター等の作成する表示が不当表示に該当しないよう指示することが求められることが明示されました

改正された管理措置指針の内容およびアフィリエイト広告における具体例

(1)景表法の考え方の周知・啓発

 不当表示を予防するためには、景表法の考え方を表示等に関係している者が十分に認識している必要があり、事業者は、表示等に関係している者に対する景表法の考え方の周知・啓発が求められています。
 アフィリエイト広告では、広告主は、自らまたはASP等を通じて、アフィリエイター等に対しても、景表法の考え方を周知・啓発することが求められます

(2)法令遵守の方針等の明確化

ア 概要

 事業者は、自社の景表法を含む法令遵守の方針や手順等を就業規則等で明確化することが求められており、今回の改正で、表示等の作成を他の事業者に委ねる場合には他の事業者に対しても同様の措置を採るべきことが明記されました

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例として、以下があげられています。

広告主は、自らまたはASPを通じて、アフィリエイターとの間で、
  1. 不当表示等を行わないようにするなど、法令遵守の方針等を明確化しておくこと
  2. アフィリエイター等が法令遵守の方針に違反した場合における、債務不履行を理由とする成果報酬の支払い停止・返還や契約解除等の具体的な措置内容について明確にしておくこと

(3)表示等に関する情報の確認

ア 概要

 事業者は、商品・役務の長所等について積極的に表示をする場合、当該表示の根拠となる情報を確認することが求められています。今回の改正で、アフィリエイト広告では、広告主がアフィリエイター等の作成する表示等を確認することが必要となる場合があると明示されました

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例として、以下があげられています。

  1. コンサルタント会社や広告代理店等の他の事業者にプロモーションを委ねる場合、これらの事業者がアフィリエイターに対して不当表示等を助長するような指示等をしていないかを確認すること
  2. アフィリエイター等が作成する表示内容を事前に確認すること
  3. 自社の人員体制の制約等の理由により、すべての表示内容を事前に確認することが困難である場合には、表示後可能な限り早い段階ですべての表示内容を確認すること、成果報酬の支払額又は支払い頻度が高いアフィリエイター等の表示内容を重点的に確認すること、ASP等の他の事業者に表示内容の確認を委託すること

(4)表示等に関する情報の共有

ア 概要

 事業者は、(3)のとおり確認した情報を、当該表示等に関係する各組織部門が必要に応じて共有し確認できるようにすることが求められており、今回の改正で、表示等の作成を他の事業者に委ねる場合には他の事業者に対しても同様の措置を採ることが明記されました。

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例として、以下があげられています。

  1. 表示内容の方針や表示の根拠となる情報等をアフィリエイター等と事前に共有しておくこと
  2. 自社の人員体制の制約やアフィリエイター等が複数に上る等の理由により、表示の根拠となるすべての情報を事前にアフィリエイター等に共有することが困難である場合には、アフィリエイター等から表示内容の方針について相談を受け付ける体制を構築することや、ASP等他の事業者を通じて共有するなどの対応を行うこと

(5)表示等を管理するための担当者等を定めること

ア 概要

 事業者は、表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者または担当部門(表示等管理担当者)をあらかじめ定めることが求められます。
 この表示等管理担当者は、適正に管理が可能となる実質的な権限・地位を有している必要があり、表示等への監視・監督権限(他の事業者へ表示等を委ねる場合、当該他の事業者への指示・確認権限)、景表法の知識の習得、社内や表示等に関与する他の事業者への周知方法の確立等が必要とされています。

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例として、以下があげられています。

  1. 事業者はアフィリエイターに表示の作成を委ねる場合でも、自社の広告として指示・監督権限を有していることをアフィリエイター等との間で確認すること
  2. 表示等管理担当者についてアフィリエイター等に対しても周知すること
  3. アフィリエイター等にも表示等管理担当者が設置されるなど、表示等管理担当者が複数いる場合に、事業者とアフィリエイター等との間で、それぞれの権限や所掌を確認すること
  4. アフィリエイター等における表示等管理担当者も含めて景表法等の表示に関連する法令についての講習を実施すること

(6)表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること

ア 概要

 事業者は上記(3)のとおり確認した表示等に関する情報を、表示等に係る商品・役務が一般消費者に供給されうると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、資料の保管等必要な措置を採ることが求められており、今回の改正で、表示等の作成を他の事業者に委ねる場合でも同様の措置を採ることが明記されました

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例として、以下があげられています。

  1. 事業者が表示等の保存を含めた資料の保管等を行うこと
  2. すべての情報の保管等をすることが困難な場合、アフィリエイター等に対して、アフィリエイター等が当該情報の保管等をすることを明確にすることや、ASP等他の事業者に情報の保管等を委託すること
  3. すべての情報の保管等が困難な場合、保管等をする代わりに定期的な表示等の確認を行うなどの取組みをすること、成果報酬の支払い額または支払い頻度が高いアフィリエイター等が作成する表示等の情報について重点的に保管をすること

 また、保管すべき資料の例として、アフィリエイター等とのやり取り(メール、チャット等)や、事業者の社内における表示内容の確認および決定の過程を示す資料、アフィリエイター等が作成する広告の表示内容に係るソースコード等があげられています。
 なお、保存期間は、アフィリエイトサイトから広告主の商品購入ページ等へリンクがされている期間に加え、商品・役務の特徴、性質に応じた合理的な期間(たとえば即時に消費されるものであれば販売から3か月、賞味期限や保証期間等に応じた期間等)とされています。

(7)不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

ア 概要

 事業者は、景表法違反またはそのおそれがある事案が発生した場合、その事案に対処するために、①迅速かつ正確な事実確認、②迅速かつ適切な誤認排除、③再発防止に向けた措置を講じることが求められています。

イ アフィリエイト広告における具体例

 具体例としてあげられている措置の例及び考えられる措置の例は、以下の通りです。

  1. 迅速かつ正確な事実確認
    消費者からの情報収集用の窓口の迅速な設置および必要な期間の設置の継続

  2. 誤認排除
    • 事業者自ら、ASPまたはアフィリエイター等を通じて、迅速に不当表示等を削除・修正できる体制を構築しておくこと、
    • アフィリエイター等が契約に違反して不当表示を行った場合、契約で定めた債務不履行時の措置(成果報酬の支払停止・返還、契約解除等)を迅速かつ確実に行うこと
      ※従来の例のとおり、一般消費者に対する誤認を取り除く必要がある場合には、速やかな周知や回収等の措置を行うことも重要です。
  3. 再発防止
    アフィリエイターやASP等を含めて、再度の教育・研修や、当該事案の共有をし、表示等の改善のための施策を講じること

  4. その他の例
    消費者等の外部からの相談や情報提供を日常的に受け付けられる窓口を設置すること(既存の連絡相談窓口を活用することを含む)

(8)「広告を行う事業者の表示であることの明示」(広告である旨の表示)

ア 望ましい「広告である旨の表示」の内容

 今回の改正で、上記(1)から(7)以外の措置の具体例として、アフィリエイトサイトの表示において、「アフィリエイトプログラムを利用した広告を行う事業者の表示であることの明示」(以下、「広告である旨の表示」という)をすることがあげられ、事業者が、事業者とアフィリエイターとの関係性を理解できるような表示を行うよう、アフィリエイターに求めるなどの対応を行うことが追加されました。


 指針上、具体的な文言の指定はありませんが、「一般消費者が、当該表示がアフィリエイトプログラムを利用した広告を行う事業者の表示であることを理解できる文言」の使用、当該文言を表示する位置、大きさおよび色等を含めた、アフィリエイトサイトにおける表示内容全体から、一般消費者がアフィリエイトプログラムを利用する事業者の表示であることを容易に理解できるようなものとなっているかについて留意することが望ましいとされています。

 そして、望ましい表示等の例として、以下が参考として記載されています。

  • 「広告」という文言をアフィリエイトサイトに記載し、その上で広告主の具体的な名称等を記載する
  • 一般消費者の視野に最初に入る画面内に表示し、他の表示の情報に埋もれないようにする
  • アフィリエイトサイトにおける当該事業者の商品・役務についての表示と「広告」等の表示を近接させる
  • アフィリエイトサイトにおける表示において使用されている文字の平均的な大きさと比べて少なくとも同程度の文字の大きさにするなど一般消費者が認識しやすい大きさにする
  • 背景等の色と明確に区別できる色で記載する


(例1)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

(例1)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

左:望ましい表示の例:「広告」という文言が上部に位置している。
右:望ましくない表示の例:「広告」という文言が下部に位置している。
出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正平成28年4月1日内閣府告示第125号、改正令和4年6月29日内閣府告示第74号)10頁


(例2)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

(例2)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

左:望ましい表示の例:「広告」という文言が上部に位置している。
右:望ましくない表示の例:「広告」という文言が下部に位置している。
出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正平成28年4月1日内閣府告示第125号、改正令和4年6月29日内閣府告示第74号)10頁


(例3)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

(例3)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

左:望ましい表示の例:「広告」という文言が上部に位置している。
右:望ましくない表示の例:「広告」という文言が下部に(返信機能を用いて)位置している。
出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正平成28年4月1日内閣府告示第125号、改正令和4年6月29日内閣府告示第74号)11頁


(例4)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

(例4)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

左:望ましい表示の例:「広告」という文言を、一般消費者が認識しやすい大きさにしている。
右:望ましくない表示の例:「広告」という文言を、一般消費者が認識しにくい大きさにしている。
出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正平成28年4月1日内閣府告示第125号、改正令和4年6月29日内閣府告示第74号)11頁


(例5)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

(例5)望ましい表示の例/望ましくない表示の例

左:望ましい表示の例:「広告」という文言が背景と明確に区別できる色で記載されている。
右:望ましくない表示の例:「広告」という文言が背景に比べて区別しにくい色で記載されている。
出典:消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正平成28年4月1日内閣府告示第125号、改正令和4年6月29日内閣府告示第74号)12頁


イ 広告である旨の表示をしなかった場合

 このような広告である旨の表示は、あくまでも事業者が不当表示等を未然に防止するための措置の参考例として、明示することが「望ましい」とされているもので、事業者に何らかの義務を課すものではありません。したがって、かかる明示をしていないことをもって、ただちに必要な管理措置が取られていないとして勧告が行われるわけではありません 9

管理措置指針の位置付け

 事業者の管理措置が不十分である場合、指導・助言や勧告の対象となり、事業者が勧告に従わない場合には公表が可能とされています(景表法27条、28条)。
 事業者として必要な管理措置を実施していたとしても、結果として不当表示が発生した場合、措置命令は事業者の故意・過失を要件としていないため、措置命令の対象となり得ます(景表法7条)。ただし、不当表示が明らかとなった場合における適切な対応を企業が十分に行った場合、措置命令の内容には影響があり得る 10 と考えられます。
 一方、課徴金納付命令については、課徴金対象行為があっても、「相当の注意を怠った者でない」と認められるときには、命じることができないとされており(景表法8条1項ただし書)、管理措置指針に沿うような措置が十分にとられていた場合には「相当の注意を怠った者でない」と認められると解されています 11

事業者が注意すべきポイント

 上記の管理措置指針の改正を踏まえ、アフィリエイト広告を行う事業者は、まずは、アフィリエイターが作成する表示であっても自らがその責任を負うことを明確に認識し、アフィリエイターやASP等との契約書等において必要なルール(法令遵守、表示内容への指示権限、契約違反の場合の契約解除、報酬の支払い停止等)を定めること、そして実際にルールに沿った運用を行うことが必要と考えられます。
 そして、情報の確認、共有等に関しては、商品・サービスの内容や取引態様等から、どのような不当表示がどのような場合に生じやすいか、それを防ぐためにはアフィリエイターとの間でどのような情報を確認・共有等しておくべきかといった観点から、自社が採るべき具体的な措置を検討し、実施することが重要です。

 とりわけ、アフィリエイターに商品・役務の効果効能に係る表示を依頼する場合、効果効能に関する試験結果等の資料だけ共有されても、アフィリエイターがその試験結果から合理的な根拠のある(実証された)効果効能として表示できる範囲を正確に判断することは難しい 12 と考えられるため、実証された効果効能の範囲をアフィリエイターが十分認識できるような情報共有や、広告主等による表示内容の適切なチェックが特に重要と考えられます。なお、この場合、アフィリエイターの実体験や自由な感想であっても、体験談等を通じて効果効能を表示していれば、それについて合理的な根拠がない場合、不当表示となり得ることにも留意が必要です 13

 また、「広告である」旨の表示は、不当表示の未然防止に役立つ措置の具体例の1つとして管理措置指針上明記されましたが、義務付けするところまでには至っておらず、現状、パブリックコメントでも、事業者・アフィリエイター側から否定的な意見が複数寄せられているところです。業界団体の自主基準等で広告である旨の表示について規定されればそれに従うべきであり、また、そうでない場合でも、基本的には広告である旨の表示を行う方向で、どのような表記が適切かを検討していくことが望ましいと考えますが、もし、現時点において、広告である旨の表示を実施しない(アフィリエイター等に指示しない)のであれば、表示内容の事前・事後の確認をより確実に実施する等、他の不当表示の防止措置を十分に行っておくことが重要です。


  1. 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景表法上の問題点及び留意事項
    (平成23年10月28日、一部改定平成24年5月9日、令和4年6月29日)(以下、「インターネット留意事項」という)参照 ↩︎

  2. 平成26年内閣府告示第276号 ↩︎

  3. 消費者庁では、令和4年3月から「景品表示法検討会」が開催されており、現在、ステルスマーケティング全般に関しての規制の方向性について議論されている。 ↩︎

  4. インターネット留意事項についても、同日、景表法上の責任主体の考え方に関し、管理措置指針の改正内容と整合させる改訂がなされている。 ↩︎

  5. 東京高裁平成20年5月23日判決・裁判所ウェブサイト ↩︎

  6. なお、薬機法や健康増進法では「何人も」誇大表示をすることが禁止されているため、同法が適用される医薬品や健康食品に関してはアフィリエイターも同法上の表示責任を負うことに注意が必要である。 ↩︎

  7. たとえば、広告主と何らの関係もなく、アフィリエイターとして活動する個人がSNS等でたまたま広告主の商品・役務の取り上げたような場合が考えられる。 ↩︎

  8. 令和4年6月「管理措置指針の一部改正案に関する主な御意見及び当該御意見に対する考え方」(以下「パブリックコメントに対する回答」)16頁 参照 ↩︎

  9. パブリックコメントに対する回答 31頁参照 ↩︎

  10. 公取委平成19年12月4日審決・公正取引委員会ウェブサイト、公取委平成19年12月4日審決・公正取引員会ウェブサイト等 ↩︎

  11. 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」(平成28年1月29日) ↩︎

  12. 不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針 - 不実証広告規制に関する指針 -
    (平成15年10月28日 公正取引委員会、一部改正 平成28年4月1日 消費者庁)(不実証広告ガイドライン)に関する正確な理解が必要となるため。 ↩︎

  13. 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」(平成30年6月)22頁以下 参照 ↩︎

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