条例改正対応におけるリスクや留意点と、条例管理をサポートする「条例アラート」PR

法務部

目次

  1. なぜ条例管理は難しいのか
  2. 企業の存続を脅かす法令・条例違反リスク
  3. 条例管理の失敗・トラブル例

全国各地に拠点を有する企業は、国の法令はもちろん、各自治体の条例改正にも対応していく必要があります。これを怠ると、行政処分や罰則が科されたり、賠償責任が発生するほか、企業名が公表されるなど、致命的なリスクにつながりかねません。しかしながら、都道府県に加えて市区町村ごとに定められた条例まですべて適切に把握することは容易ではありません。

5月25日に開催されたオンラインセミナー「条例改正対応のリスクと留意点 - 環境条例の管理ミス・トラブル事例を踏まえて」では、環境関連法令を例に、条例管理の難しさや条例の違反リスク、違反事例、適時適切に対応する必要性について解説。また条例管理をサポートするサービスとして「条例アラート」が紹介されました。

なぜ条例管理は難しいのか

各自治体が定める条例は、環境やまちづくりに関連するものだけでも、カーボンニュートラル(省エネルギー・温室効果ガス対策)や太陽光発電設備の規制、再生可能エネルギーの利用促進に関する条例、埋土や景観、民泊、土壌汚染、地下水、アスベストその他の大気汚染の環境基準、廃棄物対策やリサイクル、プラスチックの資源循環に関する条例など、さまざまです。

条例管理の難しさは、こうした項目に関して都道府県だけでなく市区町村でも独自に条例が定められているということにあります。また、施行規則や指導要綱等もあります。さらに、法令、都道府県の条例、市区町村の条例の規制内容・基準がすべて異なる場合もあることが、より理解を困難にしています。具体的には、国の法令より厳しい基準が設けられている「上乗せ規制」、国の法令では規制されていないものを独自に規制する「横出し規制」があります。たとえば、大気汚染防止法32条に関しては約20以上の都道府県条例で上乗せ規制が、水質汚濁防止法29条ではすべての都道府県の条例で上乗せ規制がなされているといわれています。

そもそも、国の法令だけでも環境関連法令は40以上と多数あります。各条例は法令と対応する形で定められていますが、ここで注意すべきは、国の環境法令と条例は、1対1で対応しているわけではないという点です。たとえば、大阪府の生活環境の保全等に関する条例は全9章からなりますが、その内容を見るといくつかの法令に対応する内容が含まれる形になっており、対応関係がわかりづらくなっています。

さらに、地球温暖化対策に関する条例や再生可能エネルギー関連施設に関する規制などは制定・改正が頻繁に発生しており(これらに限られません)、猿倉弁護士は「これらを、網羅的に適時のタイミングで把握するのは現実的でない」と言います。

牛島総合法律事務所 パートナー 猿倉健司弁護士

牛島総合法律事務所 パートナー 猿倉健司弁護士

企業の存続を脅かす法令・条例違反リスク

企業にとっては、そうした条例への違反リスクがどの程度のものなのかが定量的にわからなければ、自社で対応する必要性を感じづらいというのも事実です。

しかし、特に環境関連法令は罰則金が高額になるため注意が必要です。たとえば廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)においては、廃棄物の不法投棄は、5年以下の懲役または1,000万以下の罰金、またはその両方が科せられ、企業の場合は3億円以下の罰金が科せられます。猿倉弁護士は「これは他の法律と比べても極めて高い」と説明します。加えて、条例に違反した企業が公表されることもあるため、企業のレピュテーションへのダメージが大きいのも、環境関連領域の特徴の1つでしょう。

さらに行政処分に関するリスクもあります。廃掃法においては、報告命令や立入検査を受ける可能性があるほか、その結果として改善命令や措置命令を受けることがあります。ここでの改善命令とは業務フロー上の問題の改善を求めるものであり、措置命令は実際に発生した障害(垂れ流された環境有害物質等)の除去・対策などを求めるものです。

また、指導助言、それに従わない場合は勧告、さらに企業名の公表、措置命令を受ける可能性があります。

実際に、岐阜県の製造業者は、廃棄物リサイクル製品の成分を偽装して認定を受けたうえで販売や埋め立てを行ったことで、廃掃法上の不法投棄にあたると判断され、刑事責任を問われています。この事案では、本社と成分偽装が行われた工場に対して立入検査が行われました。また同社は行政からの指摘後に自主回収することを決定しましたが、最終的に廃棄物撤去の措置命令がなされました。

行政処分を免れるために企業が自浄努力をアピールしようと対策を打ち出すケースがありますが、環境規制違反に対して行政は徹底的に指導をするという傾向が見受けられます。仮に、企業が自主的に対策したとしても措置命令を受けることはあり、入札の指名停止や対象商品の認定取り消しなど、ビジネス自体をあきらめなければならない状況にもなりえます。

岐阜県の製造業者が廃掃法違反を問われた事例では、役員個人の責任も問われました。役員であった副工場長は、成分偽装を主導したとして約485億円の支払いを命じられ、懲役2年の実刑判決を受けています。

廃掃法をはじめとする環境関連法令違反に対しては、積極的な刑事告発が行われているため注意が必要です。企業としては、事業の存続を脅かす致命的なリスクにつながりかねません。

条例管理の失敗・トラブル例

続いて猿倉弁護士は、条例管理に関わるよくあるトラブルの一例として、土壌汚染対策法と都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都環境条例)の比較を行いました。

土壌汚染対策法では、3000m2以上の範囲の土壌掘削を行う場合には事前に届出が必要とされています。一方、東京都環境条例では、掘削範囲ではなく対象地の面積が3000m2である場合には届け出なければなりません。つまり、たとえば5000m2の土地のうち2000m2の範囲を掘削する場合、土壌汚染対策法では届出が不要ですが、東京都環境条例では届出が必要となります。

また、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)では、エネルギー消費の低減が努力義務として規定されていますが、東京都環境条例では、一定の事業者に具体的な数値目標が示されたうえで、排出ガスの削減義務が定められています。

このように国の法令と条例とで異なる規制基準があるケースや、国の法令にはない義務が条例に存在するケースなど、見落としによる違反を招くケースが多々あります。

さらに、東京都環境条例は、直近1年間だけを見ても何度も改正がなされており、条例の改正に気づかないまま改正前のルールに従ったことで条例に違反してしまうケースも考えられます。猿倉弁護士は、「個人的には少なくとも年に1、2度は、法令、条例のチェックが必要だと考えている。年に4回チェックしている会社もあり、それ以上行ったとしても、十分ではない」と説明。法令や条例を網羅的に把握し、適時適切なアップデート・リスクコントロールをしていくことへの必要性を訴えました。

「条例アラート」で素早く漏らさず改正状況を確認

自治体のWebサイトを使って条例管理を行おうとしたものの、さまざまなページに情報が分散していたり、アップデートのタイミングが自治体によってまちまちだったりなど、利用しづらく困った経験がある方も多いのではないでしょうか。煩雑で手間の掛かる条例チェックをどう効率的に実施していくかは、企業にとって大きな課題となっています。

こうした課題を解決するツールとして、ウエストロー・ジャパン株式会社 カスタマーコンサルティング リーガルリサーチ・コンサルタント 松岡史憲氏は、同社が提供する「条例アラート」について紹介しました。条例アラートは、各自治体が公開しているWeb例規集(法規集)の更新情報を毎月末にメールで通知するサービスです。

ウエストロー・ジャパン株式会社 カスタマーコンサルティング リーガルリサーチ・コンサルタント 松岡史憲氏

ウエストロー・ジャパン株式会社 カスタマーコンサルティング リーガルリサーチ・コンサルタント 松岡史憲氏

同サービスでは、指定した例規に関して、改正や更新、削除といった情報を把握できるだけでなく、指定した自治体のWeb例規集に新たに登載された例規も確認することができます。また、メールに記載されているURLから条例アラート専用のWeb画面にログインすることで、例規の本文および新旧対照表も参照できます。

Web上に例規が公開されていれば、特別区(東京23区)や組合(一部事務組合、広域連合)などの例規も管理可能となっています。

条例アラートのWeb画面(調査結果画面)

条例アラートのWeb画面(調査結果画面)


松岡氏は、条例アラートを導入するメリットとして、以下の5点をあげます。

  1. 各自治体のWeb例規集を調査する手間とリスクが解消できる
  2. 必要な例規だけを指定でき、改正情報などがプッシュ通知される
  3. どこが改正されたかを新旧対照表により一目で確認できる
  4. 新規制定の例規についても漏らさずに通知される
  5. 毎月調査結果が通知されるので、いち早く情報を入手できる

松岡氏は「条例アラートを用い、環境や消防の領域を管理されているケースが多いが、他にも、建設、交通、上下水道、健康福祉などさまざまな分野に対応している」と説明し、講演を結びました。

牛島総合法律事務所パートナー弁護士 
猿倉 健司 氏 牛島総合法律事務所パートナー弁護士
猿倉 健司 氏


第二東京弁護士会環境法研究会 / Multilaw Real Estate Groups / Multilaw Litigation Arbitration and Dispute Resolution Groups 所属。環境・不動産・建築・製造分野においては、訴訟対応、行政・自治体対応のほか、再生可能エネルギーや廃棄物リサイクルビジネス支援、契約協議支援等を数多く担当。その他、役員等の責任追及対応、不祥事・危機管理対応(自然災害時の対応を含む)も数多く扱う。「不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと法務」(清文社)のほか、法律雑誌等で数多く執筆、講演も多数行う。
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「条例アラート」に関するお問い合わせ


ウエストロー・ジャパン株式会社
TEL:0120-100-482
(受付時間:月~金 9:00~18:00 年末年始、祝祭日を除く)

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