株主総会招集通知の早期WEB開示とWEB修正をする時に知っておきたいポイント

コーポレート・M&A 公開 更新
  1. 当社では、現在、株主総会の招集通知等を株主に対して発送する前に、当社のホームページに掲載することを検討しています。当社の株主への通知前に、招集通知等の内容が一般に公開されてしまうことになりますが、問題はないでしょうか。

  2. 招集通知等を当社のホームページに掲載した直後、取締役の経歴の一部に記載ミスがあることが判明しました。今まさに印刷に取り掛かったばかりだったので、記載ミスを訂正した版の招集通知等を印刷して発送する予定ですが、この場合、当社のホームページに掲載した招集通知等を差し替えても良いでしょうか。
  1. コーポレートガバナンス・コード上も招集通知等の早期発送、早期開示が奨励されており、発送前に自社のホームページに掲載することも特に問題ありません。令和元年改正会社法による株主総会資料の電子提供制度の導入を見据えて、東京証券取引所は、株主総会の日の3週間前より早期に招集通知等を電磁的方法により提供するよう努めることを求めています。

  2. TDnetを通じた公表後は、法定のWEB修正の方法に準じて、自社ホームページに訂正箇所を掲載するとともに、TDnetにおいて追加して訂正箇所を公表する対応が必要でしょう。TDnetを通じた公表前であれば、形式的な記載ミスの軽微な修正である限り、自社ホームページに掲載されているファイルを差し替える方法により修正することでも問題ないと考えます。

解説

目次

  1. 招集通知の早期WEB開示
  2. 上場会社の対応状況
  3. 早期WEB開示を行った場合のWEB修正の方法
    1. 通常のWEB修正の方法
    2. 招集通知の発送前に記載ミスが発見された場合
    3. TDnetを通じた招集通知の公開後の修正
    4. TDnetを通じた招集通知の公開前の修正

招集通知の早期WEB開示

 会社法上、上場会社は株主総会の開催日の2週間前までに招集通知を発送する必要がありますが(会社法299条1項)、招集通知は原則として書面で行われなければならないので、自社のホームページに招集通知を掲載したとしても、会社法上の招集通知としての効力が生じるわけではありません

 しかしながら、多数の投資先を有する機関投資家、特に日本語を解しない海外の機関投資家、あるいは一般株主にとっても、総会までの2週間という法定の期間は案外短く、議案の検討に必ずしも十分ではないという指摘があり、可能な限り、早期の情報提供が求められている状況にあります。

 このような状況を受け、2015年に公表、適用が開始されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、上場会社は、招集通知の早期発送に努めるとともに、招集通知に記載する情報を、株主総会の招集に係る取締役会決議から招集通知発送までの間に、TDnetや自社ホームページで電子的に公表すべきであるとされ(補充原則1-2②)、実務上も早期の開示が定着してきました。さらに、2021年3月1日施行の令和元年改正会社法において株主総会資料の電子提供制度が導入されましたが、この株主総会資料を自社のホームページ等にアップロードして株主に提供する措置(電子提供措置)は、株主総会の日の3週間前の日または招集通知の発送日のいずれか早い日から行わなければならないとされています(会社法325条の3。同制度の施行は2022年度内と予定されています)。これを受けて、東京証券取引所は、有価証券上場規程において、株主総会の日の3週間前より早期に招集通知等を電磁的方法により提供するよう努めることを上場会社に求めることとしています(有価証券上場規程施行規則437条3号)。

 確かに、招集通知の発送前に自社のホームページ掲載を行った場合、正式な株主への通知を行う前に一般に公開されることにはなりますが、株主総会に関する情報について、株主に対して早期に情報提供を行うことが求められるようになっていることから、株主に対する便宜を図る一環として、自社のホームページ等を通じて早期に開示することはむしろ望ましい措置といえるでしょう。

 実務的には、招集通知の原稿校了後、印刷作業および発送作業を経て招集通知が実際に発送されることになりますので、原稿校了の時点で自社のホームページに掲載することにより、ある程度の期間、早期に情報提供することが可能になります。

 参考:「WEB開示とはどういう制度か

上場会社の対応状況

 日本取引所グループがウェブサイトで公表している「3月期決算会社株主総会情報」(2020年6月26日更新)の情報によると、2020年度は、招集通知を定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に行う予定の会社は17.9%、招集通知を自社ホームページ等において定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に公表する予定の会社は65.6%でした(2020年6月7日時点)。もっとも、2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による決算・監査作業等の遅延に伴い、例年よりも低い水準となったものと考えられます。この点、2019年度は、招集通知を定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に行った会社は23.3%、招集通知を自社ホームページ等において定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に公表した会社は69.1%という割合でした。
 以上のように、現在でも、多くの会社が法定の期間より前倒しで対応しています。

早期WEB開示を行った場合のWEB修正の方法

通常のWEB修正の方法

 自社のホームページに掲載した招集通知について、掲載後に記載ミスが発見される場合があります。その多くは、単純な誤記、役員候補者の経歴の些細な齟齬、年月日のズレ等の形式的な記載ミスであり、このような形式的な記載ミスの修正については、法定のWEB修正の方法が利用できます(WEB修正については、「株主総会招集通知に誤りがあった場合の対応について」を参照ください)。

招集通知の発送前に記載ミスが発見された場合

 実務的に問題となるのが、自社のホームページへの掲載直後、招集通知の発送前に記載ミスが発見された場合です。記載ミスの大半は、原稿の校了後間もない時期に見つかることが多く、このような事態が生じることがよくあります。会社法上のWEB修正の制度は、WEB修正の利用を招集通知と併せて通知することで利用可能となるものであり、招集通知の発送前の段階で利用されることを想定した制度にはなっていません

 しかし、招集通知等の早期WEB開示は、株主に対する情報提供の便宜を図るための任意の開示であって、特に法律上の規制もありませんし、会社法上の効力に影響するものでもありません。したがって、招集通知発送前に記載ミスが判明した場合であっても、招集通知発送後のWEB修正の方法に準じて、自社のホームページで修正を行うことで問題は生じないと考えます(経済産業省の平成27年4月23日付け「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会」等)」。

TDnetを通じた招集通知の公開後の修正

 上場会社は、上場規則において、招集通知の発送日までに、株主総会の招集通知およびその添付書類をTDnetに登録して公開することが求められています。TDnetを通じて招集通知が公開された場合、機関投資家向けの招集通知一覧サイト等を通じて広く情報が提供されることになりますから、そのようにして公表された招集通知を訂正するためには、同様の方法によって訂正箇所を周知する必要があると考えられます。したがって、TDnetを通じた招集通知の公開後は、訂正箇所を自社ホームページへ掲載するとともに、招集通知発送後のWEB修正の場合と同様に、TDnetを通じて追加公表を行う対応が必要になります。また、間に合うようであれば、正誤表を記載した書面を招集通知に同封して送付するという対応も考えられるでしょう。

TDnetを通じた招集通知の公開前の修正

 自社のホームページにおける早期WEB開示の直後、TDnetを通じた公開前のタイミングで記載ミスが発覚した場合、形式的な記載ミスの軽微な修正である限り、招集通知等のPDFファイルの「差し替え」の対応を行った上で、TDnetには修正後の招集通知等を登録し、印刷物としても修正後の招集通知等を発送するという対応をとることでも差し支えないと考えます。ただし、記載ミスが実質的な内容にわたる場合には、修正前のファイルと修正後のファイルとの差異が分かるよう、その修正に関する説明を開示することも検討しなければならないでしょう。

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する