平成27年改正労働者派遣法のポイント

人事労務
鷲野 泰宏弁護士 丸の内総合法律事務所

 平成27年改正労働者派遣法のポイントを教えてください。

 平成27年改正労働者派遣法の主なポイントは、以下の5点です。

  1. 労働者派遣事業の許可制への一本化
  2. 労働者派遣の期間制度の見直し(事業所単位・個人単位の期間制限へ)
  3. キャリアアップ推進措置の義務化
  4. 均衡待遇の推進化
  5. 雇用安定措置の義務化

 これらのうち、特に重要なものが②となり、派遣元事業主のみならず派遣先においても実務運用の変更を含め適切な対応をする必要があります。

解説

目次

  1. 労働者派遣事業の許可制への一本化
  2. 労働者派遣の期間制度の見直し(事業所単位・個人単位の期間制限へ)
    1. 事業所単位の期間制限について
    2. 個人単位の期間制限
    3. 期間制限の例外
  3. キャリアアップ推進措置の義務化
  4. 均衡待遇の推進化
  5. 雇用安定措置の義務化

※本QAの凡例は以下のとおりです。

  • 労働者派遣法:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
  • 労働者派遣法施行規則:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則


労働者派遣事業の許可制への一本化

 平成27年改正前は、労働者派遣事業には届出制の「特定労働者派遣事業」(自社の常用労働者のみを派遣する事業)と許可制の「一般労働者派遣事業」(自社の労働者のほかにも、いわゆる「登録型」といわれ、仕事があるときのみ雇用契約を締結する労働者や日雇者なども派遣する事業)の区別がありましたが、平成27年改正労働者派遣法では、この区別が廃止され、すべての労働者派遣事業は新たな許可基準に基づく許可制に一本化されました(労働者派遣法5条1項、7条)。
 新たな許可基準には、従来の要件のほかに、当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有することとして、キャリア形成支援制度を有することなどが追加で定められています(労働者派遣法7条、労働者派遣法施行規則1条の4等)。

労働者派遣の期間制度の見直し(事業所単位・個人単位の期間制限へ)

 平成27年改正前は、専門性が高いとされたソフトウェア開発などのいわゆる26業務への労働者派遣には期間制限が設けられていませんでしたが(26業務以外の業務については3年間の期間制限)、平成27年改正法では、このような区別は廃止し、すべての業務について事業所単位個人単位の2種類の期間制限が設けられました

事業所単位の期間制限について

 派遣先の同一の事業所に対して派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度となります(労働者派遣法40条の2。なお起算日は、平成27年改正労働者派遣法の施行日以後最初に新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行った日となります)。もっとも、派遣先が3年を超えて当該事業所に派遣を受け入れようとする場合は、事業所単位の期間制限の抵触日の1か月前までに、派遣先の事業所の過半数労働組合(過半数労働組合が存しない場合は過半数代表者)からの意見を聴くことにより、3年を限度とする延長が可能となります。そして、同様の手続を履践する限りは、何度でも3年を限度とする延長が可能ですので、手続を履践する限りは3年に限定されず継続的な派遣の受け入れが可能となります。

 参考:「派遣先の過半数労働組合等の意見聴取

 ところで、この事業所単位の期間制限について注意が必要なのは、あくまで事業所単位での期間制限となることから、この3年の間に派遣労働者が交替したり、他の労働者派遣契約に基づく派遣労働者を受け入れたりしたとしても、派遣可能期間の起算日は変わりません。このため、派遣可能期間の途中から受け入れた派遣労働者の期間は、原則として、その事業所の派遣可能期間の範囲内に制限される(最長でも事業所単位の期間制限の抵触日までとなる)ことになりますので、これらの場合に派遣契約を締結する際には派遣期間の点で注意が必要となります。

事業所単位の期間制限

「平成27年労働者派遣法改正法の概要」(厚生労働省・都道府県労働局)を基に作成

個人単位の期間制限

 同一の派遣労働者を派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は3年が限度となります(労働者派遣法35条の3)。
 ここでいう組織単位とは、事業主の業態、規模等により異なりますが、業務としての類似性、関連性があり、当該組織単位の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断されることになります。多くの事業主においては、総務「課」や、総務「グループ」といった単位がこの組織単位に該当すると思われます。

 この組織単位を変更することにより、同一の事業所に引き続き同一の派遣労働者を3年を限度として派遣することができますが、事業所単位の期間制限による派遣可能期間も延長されていることが前提となります。また、あくまで組織単位での期間制限となることから、異動等により派遣労働者の従事する具体的業務が変わっても、同一の組織単位にとどまるものである場合は、個人単位の期間制限の起算日は変わらないことに注意が必要です。

個人単位の期間制限

「平成27年労働者派遣法改正法の概要」(厚生労働省・都道府県労働局)を基に作成

期間制限の例外

 次に掲げる場合には、例外として事業所単位および個人単位の期間制限の対象外となります(労働者派遣法40条の2第1項ただし書)。

  • 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  • 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための終期が明確なプロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
  • 日数限定業務(1か月の勤務日数が正社員の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合

キャリアアップ推進措置の義務化

 平成27年改正労働者派遣法においては、派遣元事業主には、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るため、派遣就業に必要な技能・知識を習得することができるような段階的かつ体系的な教育訓練の実施と、雇用している派遣労働者のうち希望者に対して職業生活の設計に関するキャリア・コンサルティングを実施することが義務付けられました(労働者派遣法30条の2)。
 また、派遣先においても派遣元事業主の求めに応じキャリアアップ支援に必要な情報を提供するよう努めるものとされています(労働者派遣法40条6項)。
 

均衡待遇の推進化

 平成27年改正労働者派遣法においては、派遣元事業主においては、派遣労働者が希望する場合において、派遣先での同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮した待遇の確保のために考慮した内容を本人に説明することが義務付けられました(労働者派遣法31条の2第2項)。
 また、派遣先においては、従前は努力義務とされていた派遣先の労働者に関する賃金等の派遣元事業主への情報提供配慮義務に格上げされたほか(労働者派遣法40条5項)、新たな配慮義務として、派遣先の労働者との均衡の観点から、教育訓練の実施に関する配慮義務および福利厚生施設の利用に関する配慮義務が課されることになりました(労働者派遣法40条2項、3項)。

雇用安定措置の義務化

 平成27年改正労働者派遣法においては、派遣元事業主において、同じ組織単位に継続して3年の就業が見込まれる派遣労働者のうち、本人が継続して就業することを希望する場合には、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるため、以下の措置を講じることが義務付けられました(労働者派遣法30条2項)。

  • 派遣先への直接雇用の依頼
  • 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
  • 派遣元事業主での無期雇用
  • 教育訓練や紹介予定派遣など、その他雇用の継続を図るための措置

 なお、1年以上3年未満の就業が見込まれる派遣労働者のうち、本人が継続して就業することを希望する場合には、上記義務は努力義務にとどまります(労働者派遣法30条1項)。

無料会員にご登録いただくことで、続きをお読みいただけます。

1分で登録完了

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する