検索連動型広告を利用する際の留意点

知的財産権・エンタメ
松尾 剛行弁護士 桃尾・松尾・難波法律事務所

 検索連動型広告についてはどのような問題がありますか?

 他人の商標をキーワードとして検索した際に広告を出すようにする、という点で、商標権侵害に留意が必要です。

解説

 検索キーワードに応じて検索結果の画面に広告を出す検索連動型広告がある。

 例えば、「日本加除出版」の競争業者が「日本加除出版」で検索するユーザに対し「加除式書籍なら当社へ」という広告を出すように、ある商標(日本加除出版)の権利者ではない者(競争業者)が、その文言をキーワードとして検索した場合に自己(競争業者)の広告を表示されるようにする行為については、権利者としては規制したいだろう。このような行為が商標法2条3項の「使用」(『広告法律相談125問』Q30参照)となるかについては裁判例がいくつか存在する(なお、不競法に関する東京地判平成28.4 .21裁判所ウェブサイトも参照)。

 Carica Celapi事件(大阪地判平成19.9.13裁判所ウェブサイト)は、原告商品の名称及び原告商標をキーワードとして検索した検索結果ページに被告が広告を掲載することがなぜ原告商標の使用に該当するのかを原告は明らかにせず、上記の被告の行為は、商標法2条3項各号に記載された標章の「使用」のいずれの場合にも該当するとは認め難いから、本件における商標法に基づく原告の主張は失当であるとした。

 大阪高判平成29.4 .20判時2345−93では、「石けん百貨」という第三者の商標を検索すると、インターネットモール上の指定商品である石けんの検索連動型広告が表示された。そこで、商標権者はインターネットモールの運営者を訴えた。裁判所は、結論としては後記チュッパチャプス事件(『広告法律相談125問』199頁)に基づいてショッピングモール運営者を免責したものの、その過程で興味深い判断をした。すなわち、当該広告は、石けん商品を買いたいなどの動機によりGoogle等で「石けん百貨」をキーワードとして検索をしたユーザを、プラットフォーマーが運営するショッピングモール内にある、「石けん百貨」の指定商品である石けん商品が陳列表示された石けん商品販売業者のウェブページに誘導するための広告であると認識される。そのため、プラットフォーマーが当該状態及びこれが商標の出所表示機能を害することにつき具体的に認識するか、又はそれが可能になったといえるに至ったときは、その時点から合理的期間が経過するまでの間に「石けん百貨」との表示を含む検索連動型広告のハイパーリンク先において、登録商標である「石けん百貨」の指定商品である石けん商品の情報が表示されるという状態を解消しない限り、「石けん百貨」という標章が付されたことについてもプラットフォーマー自らの行為として認容したものとして、商標法2条3項8号所定の要件が充足され、被控訴人について商標権侵害が成立すると解すべきとしたものである。

 この問題については、広告上に商標が明示される場合と、されない場合を分けて考えるべきである。すなわち、日本加除出版で検索して、広告上にも「日本加除出版」と表示されるのであれば、商標権侵害となる可能性が高い(インターネットQ&A 1 153頁参照)。

 問題は、上述の「日本加除出版」で検索をして「加除式書籍なら当社へ」と広告するような広告自体には商標が示されない事案であり、前者の判決のみを前提に商標法2条3項8号に該当するのは難しいという意見もあるが、単純に考えるべきではなく、具体的文言や態様を見て、それが商標的使用なのかを具体的に判断することになるだろう。

©松尾剛行 本記事は、松尾剛行著「広告法律相談125問」(日本加除出版、2019年)の内容を転載したものです。
広告法律相談125問
  • 参考文献
  • 広告法律相談125問
  • 著者:松尾剛行
  • 定価:本体 2,700円+税
  • 出版社:日本加除出版
  • 発売年月:2019年7月

  1. 田島正広(監修・編集代表/編著)『インターネット新時代の法律実務Q&A』(日本加除出版、第3版、2017) ↩︎

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