台湾における株式会社の株主総会の招集および決議はどのように行うのか

国際取引・海外進出

 日本企業である当社は台湾人数人と共同出資して、台湾で株式会社Aを設立しました。株主総会の招集、決議方法について下記の場合はどのように対応するべきか教えてください。

事例①
A社設立の際、株主間でお互いに株主全員の同意がない限り、原則としてA社はいかなる株主総会も開催しない旨約定しましたが、このような約定は有効でしょうか。

事例②
A社の事業が発展し成功を収めたため、同じ分野の日本企業Bが、A社の事業の買収を提案してきました。当社は良案と考えましたが、A社の定時株主総会の開催期間は、数か月先でした。このような場合、当社はどのようにして、定時株主総会の開催期日前に、他の株主と当該議案について議論すればよいでしょうか。

事例③
A社の臨時株主総会において、当社から提出した「B社によるA社事業の買収」案は、株式総数の3分の2以上を保有する株主の同意を得ました。ところが、A社には台湾人株主C(持株比率5%)がおり、海外にいたため臨時株主総会の開催通知を受け取っておらず、かつ株主総会にも出席していませんでした。Cが帰国して、当該決議を知った際、B社の買収価格が低すぎることを理由として、再度臨時株主総会を開催し、改めて当該議案について議論し直すよう要求された場合、どう対応すればよいでしょうか。

 各事例についての回答は下記のとおりです。

事例①
A社の定時株主総会は、少なくとも毎年1回は招集しなければなりません。株主間で、株主総会を定期的に開催しない旨を約定しても、その約定は無効です。

事例②
質問の会社は、まずA社の董事会に提案したうえで、臨時株主総会を開催し、当該議案について議論することが求められます。

事例③
Cは、5%の持株を1年以上継続して保有しているのであれば、A社の董事会に対し、再度臨時株主総会を開催し、改めて当該議案について議論し直すよう要求することができます。A社の董事会が拒絶した場合、Cは台湾経済部に許可を申請した後、自ら臨時株主総会を招集することができます。

解説

目次

  1. 株主総会の開催
  2. 株主総会の招集者
  3. 株主総会の招集手続
  4. 株主総会の決議方法
    1. 特別決議
    2. 仮決議
  5. 株主総会の招集に関する2018年会社法改正

※以下、本稿において引用されている法規は、特に規定しないかぎり台湾の法規を指すものとします。

株主総会の開催

 株主総会は、定時と臨時の2種類があります。定時株主総会は、少なくとも毎年1回は招集しなければなりません。また、臨時株主総会は、必要なときはいつでも招集することができます。会社法170条の規定によれば、定時株主総会は原則として、各会計年度が終了した後、6か月以内に開催しなければなりません。台湾では、会計年度として「暦年制」(毎年1月1日から12月31日を一年度とする)を採用しているため、各年度における定時株主総会開催の最終期限は、翌年の6月30日となります。このため、台湾では多くの上場、店頭公開会社が、6月に定時株主総会を開催します。

 定時株主総会を開催しなかった場合、会社代表者は過料を課される可能性があります。
 設例の事例①の場合、B社の定時株主総会は、少なくとも毎年1回は招集しなければならないため、株主間で、株主総会を定期的に開催しない旨を約定しても、その約定は無効です。

 なお、設例の事例②の場合、すぐ定時株主総会で議論できないため、A社は、まずB社の董事会に提案したうえで、臨時株主総会を開催し、当該議案について議論する必要があります。

株主総会の招集者

 会社法171条の規定によれば、株主総会は原則として董事会が招集します。
 また、同法173条の規定によれば、1年以上継続して発行済株式総数の100分の3以上を保有する「少数株主」も、董事会に対して臨時株主総会の招集を請求することができます。請求後15日以内に董事会が招集を行わない場合は、当該「少数株主」は、台湾経済部に許可を申請した後、自ら臨時株主総会を招集することができます。

株主総会の招集者

 よって、設例の事例③の場合、5%の持株を有するCは、当該持株数を1年以上継続して保有しているのであれば、A社の董事会に対し、再度臨時株主総会を開催するよう提案することができます。A社の董事会が拒絶した場合、Cは台湾経済部に許可を申請した後、自ら臨時株主総会を招集することができます。

 このほか、同法220条の規定によれば、株式会社の監査役も、董事会が株主総会を招集しないまたはできない場合には、会社の利益のため、必要があれば株主総会を招集することができます。

株主総会の招集手続

 会社法172条によれば、定時株主総会の招集に際しては、20日前までに各株主に通知しなければなりません。また、臨時株主総会の招集に際しては、10日前までに各株主に通知しなければなりません。

 その他、同条によれば、株式公開発行会社においては、定時株主総会の招集は、30日前までに各株主に通知しなければなりません。また、臨時株主総会の招集は、15日前までに各株主に通知しなければなりません。

定時株主総会 臨時株主総会
非公開会社:各株主への通知 20日前 10日前
公開会社:各株主への通知 30日前 15日前

 2018年の会社法改正では、株主の権益への影響を考慮して、これまでの(1)取締役および監査役の選任または解任、(2)定款の変更、(3)会社の解散、(4)合併、分割または(5)会社法185条1項各号に列挙された事項に加え、新たに(6)減資、(7)公開発行停止の申請、(8)取締役の競業避止義務の免除、(9)利益剰余金の資本組入れによる増資、(10)準備金の資本組入れによる増資についても、株主総会の招集通知において列挙しなければならないとされました。また、招集通知において、これらの事項の主な内容を説明しなければならないものとされました。なお、金融監督管理委員會または会社が指定するウェブサイトに上記事項の主な内容を記載し、当該ウェブサイトを招集通知に明記することも可能とされました。

株主総会の決議方法

特別決議

 会社法の規定において、以下の事項につき株主総会で決議するには、発行済株式総数の3分の2以上を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数の同意が必要です。

  1. 定款変更(会社法277条)
  2. 定款変更を伴う増資、減資(会社法278条、279条)
  3. 解散(会社法316条)
  4. 合併(会社法316条)
  5. 分割(会社法316条)
  6. 営業の重大な変更(会社法185条)
  7. 他の会社への再投資(会社法13条)
  8. 新株を発行する方式による配当金または賞与の分配(会社法240条)
  9. 董事が会社の営業範囲内において競業行為を為すことの許可(会社法209条)
  10. 董事、監査役の解任決議(会社法199条、227条)
  11. 額面株式の無額面株式への転換(会社法156条の1)
  12. 株式公開発行の停止(会社法156条の2)
  13. 制限付き新株の発行(会社法267条)
  14. 非閉鎖性会社への変更(会社法356条の13)

 なお、株式公開発行会社の場合には、発行済株式総数の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の同意を得る方式で代替することができます

 特別決議を受けなければならない場合を除いて、株主総会決議を経なければならないその他の事項は、普通決議で足ります。会社法174条の規定によれば、普通決議は、発行済株式総数の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数の同意をもって行われます。たとえば、董事、監査役の選任、会社会計帳簿の承認等は普通決議で足ります。

仮決議

 会社法175条の規定によれば、普通決議で足りる事項について、出席した株主の有する株式が発行済株式総数の過半数には足りないが、3分の1に達している場合は、出席株主の議決権の過半数の同意を得て、まず仮決議を行い、仮決議の結果を各株主に通知し、1か月以内に再度株主総会を開催することができます。2度目の株主総会では、当該仮決議について、発行済株式総数の3分の1以上を有する株主が出席し、かつ出席株主の議決権の過半数の同意を得ることができれば、当該仮決議は普通決議があったのと同一にみなされます。

 台湾経済部の見解によれば、特別決議を要する事項については、仮決議の手続をもって行うことはできません。また、董事、監査役の選任についても、仮決議の手続をもって行うことはできません。

株主総会の招集に関する2018年会社法改正

 会社の経営および株主総会への影響力を考慮して、発行株式総数の過半数を3か月以上継続して保有する株主は独自に臨時株主総会を招集できることが明記されました(会社法173条の1)。

 科学技術の発達に鑑み、非公開会社は、定款で定めることにより、株主総会をテレビ会議または経済部が公告した方式で行うことができるようになりました(会社法172条の2)。

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