台湾の合同会社における増資または減資の要件とは

国際取引・海外進出

 日本企業である当社は、台湾人甲、乙と共同出資により台湾において合同会社Aを設立しました。当社、甲、乙の出資比率はそれぞれ20%、20%、60%です。下記の場合、当社は乙の要求を拒むことをできますか。

事例①
乙は、A社の事業拡大のため、増資を行う必要があると考えました。乙本人は、600万新台湾ドルを増資したいと考え、従来の出資比率に応じてそれぞれ200万新台湾ドルをA社に増資するよう当社および甲に求めました。当社はA社に対してさらに出資する意思がない場合、乙の要求を拒むことができますか。

事例②
当社が乙による出資の要求を拒んだ場合において、乙が「A社の定款では、議決権は出資額の比率に応じて配分すると規定している。乙の出資額が総出資額の半分を超えているため、乙は、単独で増資を決定できるとともに、従来の出資比率に応じてさらに出資するよう当社および甲に要求することができる」と主張した場合、当社は乙の要求を拒むことができますか。

事例③
乙は、A社の業界の市場は縮小しているため、減資の必要があると考え、減資に協力するよう当社および甲に求めました。しかし、当社は、A社の業界の市場はなお発展の可能性があると考えています。この場合、当社は乙の要求を拒むことができますか。

 各事例についての回答は下記のとおりです。

事例①
会社法の規定によれば、合同会社の増資は株主の過半数の同意を得なければなりません。A社に3名の株主がいる場合、そのうち1名の株主乙が増資に同意しているだけではA社の増資を行うことはできません。よって、質問の会社は乙の要求を拒むことができます。

事例②
合同会社の定款において、株主の出資額の比率に応じて議決権を配分する旨を規定している場合、過半数の出資額を有する株主は単独で会社の増資を決定することができます。ただし、会社法の規定によれば、その他の株主には従来の出資比率に応じて出資する義務はないため、質問の会社は乙の要求を拒むことができます。

事例③
会社法の規定によれば、会社の減資は全株主の同意を得なければなりません。よって、乙が会社の減資に同意しているだけではA社の減資を行うことはできず、質問の会社は乙の要求を拒むことができます。

解説

目次

  1. 合同会社の増資については、株主の議決権の過半数の同意を得なければならない
  2. たとえ一部の株主が増資に同意しても、他の株主は従来の比率に応じて出資する義務はない
  3. 増資に必要な書類
  4. 合同会社の減資は株主の議決権の過半数の同意を得なければならない

※本稿において引用されている法規は、特に規定しないかぎり台湾の法規を指すものとします。

合同会社の増資については、株主の議決権の過半数の同意を得なければならない

 会社法106条1項の規定によれば、合同会社が増資する場合、株主の議決権の過半数の同意を得なければなりません。よって、上記の事例①の場合、A社には3名の株主がいるので、1名の株主乙が増資に同意しているだけではA社の増資を行うことはできません。

合同会社の増資については、株主の議決権の過半数の同意を得なければならない

 また、会社法102条によれば、合同会社の場合、株主は定款において、出資額の比率に応じて議決権を配分する旨を規定することができます。よって、合同会社の株主が事前に定款において、出資額の比率に応じて議決権を配分する旨を規定している場合、当該合同会社は、出資額の過半数を代表する株主が同意したときに増資を行うことができます。

たとえ一部の株主が増資に同意しても、他の株主は従来の比率に応じて出資する義務はない

 会社法106条1項ただし書の規定によれば、たとえ一部の株主が増資に同意しても、他の株主は従来の出資額に応じて出資する義務はありません。よって、上記の事例②の場合、乙は単独で増資を行うことが可能ですが、質問の会社は乙の増資の要求に応じる義務はありません。

増資に必要な書類

 合同会社の増資の変更登記を行う場合、登記機関に対し以下の書類を提出しなければなりません。なお、外国語で作成した文書があれば、中訳が必要となります。

  1. 申請書(会計士又は弁護士に代理を依頼する場合、委任状1部を添付しなければならない)
  2. 経済部投資審議委員会の認可文書のコピー(日系企業が増資を行う場合、当該文書を提出しなければならない)
  3. 会社定款のコピー
  4. 定款の変更条文の対照表のコピー(同意書に定款の変更条文が記載されている場合は不要)
  5. 株主の同意書のコピー(株主自らの署名または捺印が必要)
  6. 資本額調査報告書およびその附属書類(会計士が作成)
  7. 変更登記表2部
  8. 株主の身分証明書のコピー(新たに株主が追加される場合。ただし、株主が台湾法人または登記済みの外国法人の場合は不要。)

合同会社の減資は株主の議決権の過半数の同意を得なければならない

 会社法106条3項によれば、合同会社の減資は株主の議決権の過半数の同意を得なければなりません。たとえば、合同会社に株主が3名いる場合、2名以上の株主が同意しなければ、当該会社は減資を行うことができません。よって、設例の事例③の場合、1名の株主乙が会社の減資に同意しているだけではA社の減資を行うことはできません。

合同会社の減資は株主の議決権の過半数の同意を得なければならない

 合同会社の減資の変更登記を行う場合、登記機関に対し以下の書類を提出しなければなりません。なお、外国語で作成した文書があれば、中訳が必要となります。

  1. 申請書(会計士または弁護士に代理を依頼する場合、委任状1部を添付しなければならない)
  2. 経済部投資審議委員会の認可文書のコピー(日系企業が減資を行う場合、当該文書を提出しなければならない)
  3. 会社定款のコピー
  4. 定款の変更条文の対照表のコピー(同意書に定款の変更条文が記載されている場合は不要。))
  5. 株主の同意書のコピー(株主自らの署名または捺印が必要)
  6. 資本額調査報告書およびその附属書類(会計士が作成)
  7. 変更登記表2部

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