コロナ禍をチャンスに変える 行政書士の「上手な使い方」

その他

目次

  1. 行政書士から見たコロナ禍の中小企業
  2. 中小企業が行政書士に依頼するメリット
  3. 「いい行政書士」を見分ける方法
  4. 行政書士と共に、中小企業はコロナ禍をチャンスに

新型コロナウイルス感染症の影響が長引くなか、中小企業の支援策には様々なものが見られます。

政府、自治体では様々な補助金や助成金の申請を受け付けていますが、経験の浅い企業では申請が通らないケースも。

そこで、頼れる専門家が行政書士です。

コロナ禍をチャンスに変えるため、ビジネスのパートナーとして行政書士を活用する秘訣について、第一線で活躍する3名に伺いました。

プロフィール
伊藤 浩氏(伊藤浩行政書士事務所)
会社法務、入管業務、環境分野に注力。許認可という枠組みに縛られず、提案型のコンサルティングによって経営全般を支援している。融資のアドバイスから採用面接のサポート、自ら取締役、監査役となって企業内に入ることも。

上田 和彦氏(ICEBERG行政書士事務所)
企業の許認可や個人のビザ申請などを手がけるほか、20代から続けている画家としての経験も活かしてアート法務にも取り組む。ギャラリーなどの事業者側、アーティスト側双方の立場に立った契約書の作成のほか、著作権などの権利関係をサポートしている。

東 麻未氏(行政書士レイ国際法務事務所)
弁護士事務所でのパラリーガルとしての勤務経験を有する。主に入管業務、許認可、補助金に取り組んでいる。経営革新等認定支援機関の認定を受け、中小企業庁の補助金も扱う。

行政書士から見たコロナ禍の中小企業

コロナ禍になって1年以上が経ちました。この間、中小企業に変化はありましたか?

上田氏:
既存事業だけだと厳しいと感じている企業は多く、新規事業をやってみたいという声は多くあります。今年の3月から経済産業省が開始している「事業再構築補助金」を手がけたり、新規事業で新しい許認可を取るケースも増えました。

東氏:
新しい事業を始める企業は多いですね。去年の4月5月を除けば私どもが取り扱う許認可の申請件数は全く減っていません。

伊藤氏:
少し視点は違いますが、行政のデジタル化に伴い中小企業でも対応が必要になりました。

たとえば産業廃棄物を処理する時に受ける必要がある研修も、Webで受講できるようになりましたが、パソコンを持っていないお客様も一定数いらっしゃいます。

私がお客様のところにパソコンを持って行き、動画研修を受けてもらったケースもありました。

伊藤浩 行政書士事務所 伊藤 浩氏

伊藤浩行政書士事務所 伊藤 浩氏

これまでデジタル化とは無縁だった企業も急ピッチでITに慣れないといけない状況ですね。助成金や補助金に関して、最近の動向はありますか?

東氏:
上田先生がおっしゃったように、「事業再構築補助金」の公募が開始されたほか、補助金や給付金の対象が広がっています。これまで補助金のご相談は製造業の方から寄せられることが多かったのですが、幅広い業界の方から「補助金について教えてほしい」という相談が増えました。

伊藤氏:
感染症対策のための補助金やテレワーク助成金など、コロナに関係した補助金や助成金は数多く公表されていますね。

上田氏:
既存の補助金でもコロナに影響を受けた方々が通りやすい、特例のような制度もあります。従来は補助金の相談の方が多かったのですが、今は補助金、給付金の両方の相談が増えてきています。

東氏:
補助金、助成金の採択を中心に、企業の事業展開まで一貫してサポートしたいですね。コロナでダメージを受けた中小企業を盛り上げていきたいです。

中小企業が行政書士に依頼するメリット

許認可や助成金、補助金の申請などを行政書士に依頼することで、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか?

伊藤氏:
助成金・補助金の申請を経験している行政書士に頼んだ方が採択率は上がります。専門家として場数を踏んでいること、法律を熟知していることは間違いなくメリットです。

上田氏:
行政書士は、1つの許認可に対しても法律から政省令まで全部見ています。許認可を巡る一連の法体系を理解しているので、「政省令をこう解釈すれば許可される可能性が上がる」など、臨機応変にアドバイスできます。ご自身で行政の窓口に書類を提出して通らないケースでも、行政書士が法令の解釈を元に交渉をすることで許認可がおりる可能性もあります。

東氏:
経営者の方と私たちがディスカッションしながら、補助金申請に向けた事業計画書を作っていくこともできます。経営者が書く事業計画書はご自身の思いがたくさん書かれているのですが、補助金申請では現状分析が大事です。ニーズやターゲットなど一緒に分析し、ブラッシュアップしていくことで事業計画に磨きをかけていけます。

中小企業はどのような場面で行政書士に頼ると効果的でしょう?

伊藤氏:
単に手続きだけを依頼するのではなく、「こんな事業をやりたいので、一緒に並走してほしい」と声をかけていただきたいですね。

上田氏:
行政書士の一番の特徴はゼネラリストであることです。他の士業の場合、登記だったら司法書士、社会保険関係だったら社労士、特許・商標だったら弁理士というようにそれぞれがスペシャリストで、専門分野が分かれています。

行政書士は他の法律で制限をされている領域以外の幅広い業務分野を扱っていますので、中小企業支援の相談役として最初に頼ってほしいですね。行政書士にできる部分は行政書士がやりますし、それ以外の専門領域に関しては協力関係にある士業の先生方に適切に繋ぎます。

ICEBERG行政書士事務所 上田 和彦氏

ICEBERG行政書士事務所 上田 和彦氏

「いい行政書士」を見分ける方法

企業が相談する時に「いい行政書士」を見極める方法はありますか?

伊藤氏:
情報の出し惜しみをしない人ですね。「ここから先はお金を出さないと答えません」という自分本位な態度を取るようではいけません。

上田氏:
私は事案を様々な角度から見ることのできる柔軟性だと思います。加えて、企業の相談に自分が応えられない場合には、その分野が得意な行政書士に繋げる人だといいですね。本当はいいビジネスなのにうまく進まなくて機会損失してしまうこともあるので。

東氏:
税理士さんにご依頼している中小企業の方は多いと思います。顧問税理士の方とコミュニケーションが取りやすいのであれば、その方に「いい行政書士を紹介して」と相談してみてはいかがでしょう。

まず紹介してもらった行政書士の方に相談してみて、得意分野が違えば別の方を紹介してくれる行政書士の方だといいですね。

行政書士同士で案件を紹介し合うことはよくありますか?

東氏:
すごく多いですよ。行政書士同士は仲がいいです。

上田氏:
行政書士と弁護士以外の士業の先生方は基本的には特定分野のスペシャリストであることが多いので、お互い競合になりやすいのですが、行政書士はゼネラリストです。それぞれの事務所が扱っている案件も全然違います。競合というよりも協力者という側面が強いかもしれません。自分が不得意なことは得意な先生に紹介するし、逆に紹介して頂くことも多いです。

東氏:
許認可は1万〜2万種類あると言われています。すべてを把握している方はもちろんいないので、それぞれの得意分野があるのです。

伊藤氏:
上田先生、東先生のご意見と重複になりますが、「この案件なら私より詳しい人がいるので紹介しますね」と即座に紹介してくれる方はいい行政書士です。

中小企業とお付き合いされてきた中で、企業側への要望や気をつけてもらいたいことなどはありますか?

伊藤氏:
早い段階で相談してほしいですね。案件がどうにもならなくなってから相談しに来る企業の方が本当に多い(笑)。

東氏:
わかります(笑)。以前、ある法人が登記を間違えたまま吸収合併を進めていたことがありました。もつれた糸をひとつずつ解き、正しい状態に戻すまで一年くらいかかりましたね。

行政書士レイ国際法務事務所 東 麻未氏

行政書士レイ国際法務事務所 東 麻未氏

上田氏:
中小企業は契約書にお金をかけたがらない傾向があります。しかし、ご自身で作った契約書のせいで、後から問題になることも結構あるのです。権利義務・事実証明に関する分野は、行政書士業務として許認可程知られてはいませんが、行政書士は予防法務の専門家ですので、契約書に関する相談もしてもらえるとありがたいですね。

行政書士と共に、中小企業はコロナ禍をチャンスに

中小企業が抱える課題に対して、今後どのように取り組まれていきますか?

伊藤氏:
コロナ禍になって2年目。すでに「事業をどう再構築するか」を考える時が来ています。「手放そう」と決断したなら、いかに手放すかが大事です。M&Aや売却も含めて、ビジネスをどう再構築するのか、経営者には今一度見据えてほしいですね。無理してでも続けることが必ずしもいいことではありません。

上田氏:
非対面型の新しいビジネスなど、コロナの影響を受けないビジネスモデルも生まれています。国でも様々な補助金を用意しており、融資もいつもより受けやすくなっています。それらを活用することで将来的な展望が開けるのであれば、積極的にチャレンジできるようにコンサルティングをしていきたいと思います。

東氏:
コロナ禍をチャンスと捉えている経営者はすでに動いています。「コロナ禍だから我慢しないといけない」ではなく、「コロナ禍でもどうにかできる」と考えるだけで動きは違ってきます。

今まで、私はドローンや民泊など新しいビジネスの許認可も数多く手がけてきました。時代が変化し、新しいビジネスが生まれると、新しい許認可が必要になります。

今までだったら考えられいようなことでも、工夫すれば色々なビジネスモデルが出てきます。チャレンジする方々を支援していきたいですね。

(写真:弘田 充、文:枚田 貴人、取材・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

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