建設廃棄物処理およびリサイクルの法規制と実務上の留意点(前編)

不動産

目次

  1. はじめに(建築現場における再生リサイクル処理の必要性)
  2. 実務上問題となる建設廃棄物
  3. 廃棄物として扱う必要があるかどうかの判断のポイント
    1. 廃棄物の定義
    2. 廃棄物処理法が適用されるかどうかの判断基準
    3. 建設汚泥が廃棄物にあたるかの判断
  4. 廃棄物の適正処理
    1. 廃棄物処理法上求められる廃棄物の処理・処理委託
    2. 不適切な廃棄物処理・処理委託を行った場合の法的リスク
  5. 建設廃棄物を自ら利用する場合の留意点

はじめに(建築現場における再生リサイクル処理の必要性)

 環境省の報告によれば、建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量および最終処分量の約2割を占め、また不法投棄量の約6割を占めるという状況であり、今後も、建設廃棄物の排出量の増大が予測されます 1
 廃棄物処理においては、法令に基づく適正な処理が求められ多額の費用もかかることから、建築現場において廃出される廃棄物や土砂について、再生リサイクル処理をすることでコストを削減することが検討されます。
 しかしながら、建築廃棄物の処理の規制については行政から発出されている通知等が多数あるうえ、相互の関係も複雑であり、また廃棄物で規制される対象の区別も容易ではありません(たとえば、後述のとおり、基本的に建設汚泥は廃棄物として扱う一方で、土砂は廃棄物としては扱われない、など)。
 本稿においては、建築現場において排出される廃棄物や土砂について、どのような規制があるのか、再生リサイクル処理を行ううえでの実務上の留意点について、2回にわたり解説します。

 廃棄物のリサイクル処理全般の留意点については、猿倉健司「廃棄物のリサイクルを目的とする処理(廃棄物処理)の実務的な留意点(牛島総合法律事務所ニューズレター)を参照してください。

実務上問題となる建設廃棄物

 建設工事で発生する廃棄物はきわめて多量に上ります。

建設廃棄物の量

(出典)国土交通省中部地方整備局資料

 建設工事で発生する建設副産物には、そのままリサイクルの原材料となるもの(建設発生土等)のほか、原材料として利用が不可能な廃棄物や、再生処理によって利用可能な廃棄物(アスファルト・コンクリートの塊、建設汚泥等)などがあります。後者については、廃棄物処理法の対象として規制を受ける可能性があります。
 これらの関係については、以下の図のように説明されています 2

建設副産物 再生資源(資源有効利用促進法)

(出典)国土交通省中部地方整備局資料

廃棄物として扱う必要があるかどうかの判断のポイント

廃棄物の定義

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」といいます)において、「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」をいうと定義されています(廃棄物処理法2条1項)。
 事業活動に伴って生じた「廃棄物」のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物(ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず等)を、「産業廃棄物」といいます(廃棄物処理法2条4項、廃棄物処理法施行令2条)。

廃棄物処理法が適用されるかどうかの判断基準

 廃棄物処理法が適用されるのか否かについては、昭和52年の厚生省通知 3 において、「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきもの」であることが明確にされました(最高裁平成11年3月10日判決・刑集53巻3号339頁も同旨)。このような考え方を総合判断説といいます。環境省の平成17年通知 4・平成25年通知 5 においては、総合判断の内容について、詳細に規定されています。
 当該通知の詳細や、この点に関する裁判例、またいわゆる「逆有償」の問題については、猿倉健司「廃棄物のリサイクルを目的とする処理(廃棄物処理)の実務的な留意点」を参照してください。

建設汚泥が廃棄物にあたるかの判断

(1)廃棄物処理法の適用のない土砂といえるかどうかの判断

 土砂については、建設発生土であり、廃棄物処理法の対象となる廃棄物ではないとされています 6
 もっとも、土砂か汚泥かは目視で容易に判別できるものではなく、実務上もどのように取り扱うべきかが問題になるケースが多くみられます。
 この点については、平成23年の環境省の通知において、以下のような見解が示されています 7

(以下、抜粋)
  • 地下鉄工事等の建設工事に係る掘削工事に伴って排出されるもののうち、含水率が高く粒子が微細な泥状のものは、無機性汚泥(以下「建設汚泥」という。)として取扱う。また、粒子が直径74マイクロメートルを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物にあっては、容易に水分を除去できるので、ずり分離等を行って泥状の状態ではなく流動性を呈さなくなったものであって、かつ、生活環境の保全上支障のないものは土砂として扱うことができる。

  • 泥状の状態とは、標準仕様ダンプトラックに山積みができず、また、その上を人が歩けない状態をいい、この状態を土の強度を示す指標でいえば、コーン指数がおおむね200kN/㎡以下又は一軸圧縮強度がおおむね50kN/㎡以下である。

  • しかし、掘削物を標準仕様ダンプトラック等に積み込んだ時には泥状を呈していない掘削物であっても、運搬中の練り返しにより泥状を呈するものもあるので、これらの掘削物は「汚泥」として取り扱う必要がある。なお、地山の掘削により生じる掘削物は土砂であり、土砂は廃棄物処理法の対象外である。

  • この土砂か汚泥かの判断は、掘削工事に伴って排出される時点で行うものとする。掘削工事から排出されるとは、水を利用し、地山を掘削する工法においては、発生した掘削物を元の土砂と水に分離する工程までを、掘削工事としてとらえ、この一体となるシステムから排出される時点で判断することとなる。
※下線は筆者による。

(2)建設泥土改良土が廃棄物となるかどうかの判断

 建設泥土を改良した場合の取扱いについては、平成17年の環境省通知 8 に記載されています。

(以下、抜粋)
  • 特に建設汚泥処理物については、建設資材として用いられる場合であっても、用途(盛土、裏込め、堤防等)ごとに当該用途に適した性状は異なること、競合する材料である土砂に対して現状では市場における競争力がないこと等から、あらかじめその具体的な用途が定まっており再生利用先が確保されていなければ、結局は不要物として処分される可能性が極めて高いため、その客観的な性状だけからただちに有価物(中略)と判断することはできない

    また、現状において建設汚泥処理物の市場が非常に狭いものであるから、建設汚泥処理物が有償譲渡される場合であってもそれが経済合理性に基づいた適正な対価による有償譲渡であるか否かについて慎重な判断が必要であり、当事者間の有償譲渡契約等の存在をもってただちに有価物と判断することも妥当とは言えない。これらのことから、各種判断要素を総合的に勘案して廃棄物であるか否かを判断することが必要である。

  • なお、建設汚泥又は建設汚泥処理物に土砂を混入し、土砂と称して埋立処分する事例が見受けられるところであるが、当該物は自然物たる土砂とは異なるものであり、廃棄物と土砂の混合物として取り扱われたい

  • 第二 総合判断に当たっての各種判断要素の基準

  • 具体の事例においては、以下の一から五までの判断要素(以下「有価物判断要素」という。)を検討し、それらを総合的に勘案して判断することによって、当該建設汚泥処理物が廃棄物に該当するか、あるいは有価物かを判断されたい。

  • (略)

    一 物の性状について

  • 当該建設汚泥処理物が再生利用の用途に要求される品質を満たし、かつ飛散・流出、悪臭の発生などの生活環境の保全上の支障が生ずるおそれのないものであること。当該建設汚泥処理物がこの基準を満たさない場合には、通常このことのみをもって廃棄物に該当するものと解して差し支えない。

  • 実際の判断に当たっては、当該建設汚泥処理物の品質及び再生利用の実績に基づき、当該建設汚泥処理物が土壌の汚染に係る環境基準、「建設汚泥再生利用技術基準(案)」(平成11年3月29日付け建設省技調発第71号建設大臣官房技術調査室長通達)に示される用途別の品質及び仕様書等で規定された要求品質に適合していること、このような品質を安定的かつ継続的に満足するために必要な処理技術が採用され、かつ処理工程の管理がなされていること等を確認する必要がある。

  • 二 排出の状況

    (略)

    三 通常の取扱い形態

  • 当該建設汚泥処理物について建設資材としての市場が形成されていること
    なお、現状において、建設汚泥処理物は、特別な処理や加工を行った場合を除き、通常の脱水、乾燥、固化等の処理を行っただけでは、一般的に競合材料である土砂に対して市場における競争力がないこと等から、建設資材としての広範な需要が認められる状況にはない

  • 実際の判断に当たっては、建設資材としての市場が一般に認められる利用方法以外の場合にあっては、下記四の「取引価値の有無」の観点から当該利用方法に特段の合理性があることを確認する必要がある。

  • (略)

    四 取引価値の有無

  • 当該建設汚泥処理物が当事者間で有償譲渡されており、当該取引に客観的合理性があること。

  • 実際の判断に当たっては、有償譲渡契約や特定の有償譲渡の事実をもってただちに有価物であると判断するのではなく、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する資材の価格や運送費等の諸経費を勘案しても営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要である。

  • (略)

    五 占有者の意思

  • 占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡しようとする、客観的要素からみて社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思があること。したがって、占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡できるものであると認識しているか否かは、廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素になるものではない。

  • 実際の判断に当たっては、上記一から四までの各有価物判断要素の基準に照らし、適正な再生利用を行おうとする客観的な意思があるとは判断されない、又は主に廃棄物の脱法的な処分を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず廃棄物に該当するものと判断される。

  • ※下線は筆者による。

廃棄物の適正処理

廃棄物処理法上求められる廃棄物の処理・処理委託

 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないとされ(廃棄物処理法3条1項)、廃棄物の不法投棄は禁じられています(廃棄物処理法16条)。
 自らが産業廃棄物の運搬または処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬および処分に関する基準に従わなければならないとされています(廃棄物処理法12条1項)。他方、産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合には、政令で定める基準に従い、産業廃棄物収集運搬業者、産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならないとされています(廃棄物処理法12条5項、6項)。
 なお、法律上の規制のほか、各事業所に適用される自治体の条例による規制がかかる可能性がありますので、留意すべきです。

不適切な廃棄物処理・処理委託を行った場合の法的リスク

 法令に従った適切な処理を行わなかった場合には、行政処分を受けるほか刑事責任を問われる可能性があります。
 廃棄物処理法に違反して廃棄物を不法投棄した者は、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金か、これらの両方が科されます(廃棄物処理法25条1項14号)。企業の場合には、3億円以下の罰金が科されます(廃棄物処理法32条1項1号)。
 その他、取締役その他の役員は、これによって当該企業が被った損害について賠償する責任を負うこともあります 9
 実際にも、廃棄物のリサイクル製品(埋戻し材)について成分を偽装して認定を受けたうえで販売・不法投棄したケースで、株主代表訴訟が提起された例があります。第1審は、元役員ら3名の責任を認め、そのうち1名に対しては請求額のほぼ全額である485億8,400万円の支払いを命じました(大阪地裁平成24年6月29日判決・裁判所ウェブサイト)。
 これらの点については、猿倉健司「廃棄物のリサイクルを目的とする処理(廃棄物処理)の実務的な留意点」(牛島総合法律事務所ニューズレター)を参照してください。

建設廃棄物を自ら利用する場合の留意点

 前述3−2のとおり、昭和52年の厚生省通知によれば、「占有者が自ら利用」することができるものについては廃棄物ではないとして扱うことができることになります。
 この点については、平成17年の環境省通知(前述)10 にも記載されています。

(以下、抜粋)
第三 自ら利用について
  • 自ら利用についても、第二で規定する各有価物判断要素を総合的に勘案して廃棄物該当性を判断する必要がある。

  • ただし、建設工事から発生した土砂や汚泥を、適正に利用できる品質にした上で、排出事業者が当該工事現場又は当該排出事業者の複数の工事間において再度建設資材として利用することは従来から行われてきたところであり、このように排出事業者が生活環境の保全上支障が生ずるおそれのない形態で、建設資材として客観的価値が認められる建設汚泥処理物を建設資材として確実に再生利用に供することは、必ずしも他人に有償譲渡できるものでなくとも、自ら利用に該当するものである。

  • 排出事業者の自ら利用についての実際の判断に当たっては、第二で規定する各有価物判断要素の基準に照らして行うこと。
    ただし、通常の取扱い形態については、必ずしも市場の形成まで求められるものでなく、上述の建設資材としての適正な利用が一般に認められることについて確認すること。また、取引価値(利用価値)の有無については第二の四の後段部分を参照すること。

  • (略)

    ※下線は筆者による。

 なお、「占有者が自ら利用」とは、発生した廃棄物を他人に有償売却できる性状まで加工することによって得られた物を自らが利用することであり、「がれき類の自ら利用」と称して土地造成を行っていても、それが廃棄物である限り、廃棄物処理法が適用されることに留意すべきです 11

 以上、廃棄物処理法が定める廃棄物の定義や、法令上求められている処理方法について特に建設廃棄物を中心に説明し、建設廃棄物を自ら利用する場合の留意点についても解説しました。後編では、建築廃棄物の再生・リサイクル処理に関する規制と実務上のポイントを解説していきます。


  1. 環境省ウェブサイト「建設リサイクル法の概要』 ↩︎

  2. 国土交通省中部地方整備局資料 ↩︎

  3. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について」(昭和52年3月26日環計第37号厚生省環境衛生局水道環境部計画課長通知) ↩︎

  4. 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」(環廃産発第050725002号、平成17年7月25日) ↩︎

  5. 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知「行政処分の指針について(通知)」(環廃産発第1303299号、平成25年3月29日) ↩︎

  6. 東京都建設リサイクルガイドライン」(令和2年4月)57頁 ↩︎

  7. 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」(環廃産第110329004号、平成23年3月30日) ↩︎

  8. 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」(環廃産発第050725002号、平成17年7月25日) ↩︎

  9. 猿倉健司「産業廃棄物の不法投棄事案から考える、不正発覚後の対応・再発防止策策定のポイント」(BUSINESS LAWYERS 【連載】近時の不祥事ケースと危機管理・リスク予防 第2回) ↩︎

  10. 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」(環廃産発第050725002号、平成17年7月25日) ↩︎

  11. 大阪府ら「『がれき類の自ら利用に関する指導指針』の解説」3頁、「廃棄物の定義と事業者の特定に関するFAQ」Q8 ↩︎

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