2019年3月期定時株主総会の傾向と想定問答例

コーポレート・M&A

目次

  1. 2019年3月期上場会社の定時株主総会の傾向
    1. 定時株主総会最集中日の集中率
    2. 招集通知の早期発送
    3. 早期ウェブ開示
  2. 2019年定時株主総会の想定問答例

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュースNo.162」の「トピックス」「特集」の内容を元に編集したものです。

2019年3月期上場会社の定時株主総会の傾向

 東京証券取引所(以下、東証といいます)は、4月22日に「建設的対話の場としての株主総会の活用に関する取組み状況-2019年3月期の定時株主総会調査」(以下、本調査といいます)を公表しました。
 本調査は、2019年4月21日時点の3月期決算の上場会社の回答内容をまとめたものですが、その後も情報が更新されているため、本記事は5月28日時点の東証ホームページに掲載された情報をもとに作成しています。

定時株主総会最集中日の集中率

 本年の3月期上場会社の定時株主総会の開催は、6月27日(木曜日)が最も集中する日となることが見込まれています。
 4月21日時点の本調査では、大阪府を本社所在地とする会社では、G20の開催に伴う会場確保の影響もあり、最集中日に開催を予定する会社が25.6%と前年より5.1ポイント低下していることが指摘されています。

招集通知の早期発送

 招集通知を定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に発送する予定の会社の割合は、23.5%と前年に比べて減少しました。

早期ウェブ開示

 招集通知を定時株主総会の3週間(中15営業日)以上前に自社ウェブサイトなどにて電子的に公表する予定の会社の割合は、69.2%と前年に比べて減少しました。

2019年定時株主総会の想定問答例

 株主総会では、会社の経営や事業等に関する質問のほかに、マスコミ等で話題になっているテーマに関する質問が比較的多く見られます。本記事では、最近話題になっている主なテーマ(コーポレート・ガバナンス、働き方改革、バーチャル総会、東京証券取引所の市場構造見直し等)に関する想定問答例をご案内します。
 なお、以下の想定質問に対する回答例は、あくまで一例です。各社の状況に応じて適宜ご修正くださいますようお願いいたします。

Q1.社外取締役は2名選任すれば十分というものでもないと思う。欧米のように社外が過半数というのはかなり先の話にしても、当面は3分の1を目標に取り組むのがよい。3分の1以上の社外取締役を選任することについて、当社としては、どのように考えているか。

A:当社は、取締役会の監督機能を強化するため、昨年の定時株主総会において社外取締役を2名に増員したところであります。当社には別に社外監査役が2名おりますので、社外役員は合計4名となり、その比率は役員全体の3分の1以上となります。当社の事業規模等も勘案いたしますと、当面はこうした役員構成を維持することが適切と判断しております。

<想定問答の背景>

  • 取締役の員数に占める独立社外取締役の比率を3分の1以上とすることを求める機関投資家が増えつつあるように思われます。また、議決権行使助言会社のグラスルイスは、2017年より、監査役会設置会社についても役員(取締役+監査役)の3分の1以上が独立役員(独立社外取締役+独立社外監査役)でなければならないとの助言方針を設けています(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社については従来から3分の1以上の独立社外取締役の選任を求めています)。
  • ISSは、2019年より、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社に対して、取締役の3分の1以上を社外取締役とすることを求め、株主総会後の取締役会に占める社外取締役の割合が3分の1未満の場合、経営トップである取締役選任議案への反対を推奨しています。
  • コーポレートガバナンス・コードの原則4−8では「業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである」とされています。

Q2.「働き方改革関連法」が2019年4月から施行されているが、当社としては働き方改革にどのように取り組んでいるのか。

A:当社では、これまでもワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでまいりました。例えば、部署ごとの「ノー残業デー」の設定、有給休暇取得推進のための「アニバーサリー休暇」や「リフレッシュ休暇」の推奨、営業・管理部門を中心としたフレックスタイム制の採用などを行っております。
政府が取り組む「働き方改革」につきましても、積極的に対応してまいる所存ですが、当社の当面の課題としては、いわゆる長時間残業の削減にさらに取り組む必要があると認識しております。具体的な取り組みとしては、フレックスタイム制をより柔軟に活用できるよう、これまで設けておりましたコアタイムを廃止すること、また、在宅勤務制度の導入を検討しているところであります。

Q3.役員報酬に関する開示の方針や基準はあるか。

A:役員報酬については、「企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、提出会社の役員の報酬の額または算定方法の決定に関する方針、役員の区分ごとの報酬総額、報酬種類別の総額、対象となる役員の員数、連結報酬総額1億円以上の役員の提出会社役員および連結子会社役員としての報酬総額ならびにそれらの報酬の種類別の額を有価証券報告書へ開示する必要があり、当社は開示しております。(1億円以上の役員報酬はございませんので、該当ない旨、開示しております。)また、情報提供の観点より、事業報告や統合報告書へも開示しております。
一方、「企業内容等の開示に関する内閣府令」が2019年1月31日付で改正(公布即施行)され、2019年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書より、役員の報酬について、業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等詳細な開示が求められています。
当社は、改正された開示府令に基づき、本定時株主総会後の有価証券報告書で開示予定です。

<想定問答の背景>
開示府令の改正で新たに記載が必要となる事項は以下のとおりです。

  1. 役員報酬等に業績連動報酬が含まれる場合、業績連動報酬とそれ以外の報酬の支給割合の決定方針を定めているときは、当該方針の内容。業績連動報酬に係る指標、当該指標を選択した理由、当該業績連動報酬の額の決定方法
  2. 役員報酬等の額・算定方法の決定に関する役職ごとの方針を定めている場合は、当該方針の内容
  3. 役員報酬等に関する株主総会の決議年月日、決議の内容、取締役の員数
  4. 役員報酬等に業績連動報酬が含まれる場合、当事業年度における業績連動報酬に係る指標の目標・実績
  5. 役員報酬等の額・算定方法の決定に関する方針の決定権限者の氏名・名称、その権限の内容・裁量の範囲
  6. 役員報酬等の額・算定方法の決定に関する方針の決定に関与する委員会(任意の委員会等)が存在する場合、その手続の概要
  7. 役員報酬等の額の決定過程での取締役会、委員会(任意の委員会等)の活動内容

Q4.任意の指名委員会、報酬委員会の設置を検討するよりも、より監督機能が強化されている指名委員会等設置会社に移行するべきではないか。機関設計について検討したことはあるのか。

A:ご指摘のとおり、指名委員会等設置会社は、業務執行は執行役が行い、社外取締役が過半数を占める各委員会が指名、報酬を決定しますので、より監督機能が強化されます。当社は、これまでも機関設計について検討してまいりましたが、まずは、取締役の指名・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するのが最優先の課題と判断し、独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会、報酬委員会の設置を行うことといたしました。

Q5.米国では、バーチャル総会を実施しているところもあるようである。日本ではハイブリッド型(リアル+バーチャル)総会であれば開催可能と思うが、当社で実施してはどうか。

A:ハイブリッド型総会とは、従来どおり、株主総会を開催しつつ、株主総会会場以外の場所にいる株主様がインターネット等を通じて株主総会に出席することができる総会と認識しております。これが実現しますと、株主総会会場へお越しいただけない株主様もインターネットを通じて株主総会に参加できるため、一層の対話促進につながるものと期待されております。
しかしながら、現時点では、インターネットを通じて参加いただく株主様の本人確認方法や質疑応答の対応など課題も多いため、現時点での実施は難しいと考えております。
当社といたしましては、わが国のバーチャル総会の実施環境が整備された段階でその利用の是非を検討してまいりたいと考えております。

<想定問答の背景>
経済産業省は、本年5月22日に「ハイブリッド型バーチャル株主総会」に係る論点整理にも言及した「さらなる対話型株主総会プロセスに向けた中長期課題に関する勉強会とりまとめ(案)」を公表し、意見・情報提供を募集しています(提出期限は7月10日)。
今後、公開で行う研究会を設置した上で、寄せられた意見・情報等も踏まえた検討を行い、秋頃を目途に成案の公表を行う方針を示しています。

Q6.東京証券取引所の改革にからめ、時価総額を上げる手段について教えてほしい。

A:現時点では、東京証券取引所から、市場構造に関する関係者からの意見や課題が公表され、引続き議論されていくとうかがっておりますが、東証の改革にかかわらず、中期経営計画に掲げた目標を達成することを通じて、市場からの評価をいただき、株価の向上にも努めてまいる所存です。

<想定問答の背景>
我が国の市場構造の在り方については、これまで東京証券取引所の懇談会において検討が行われ、本年3月27日に論点整理が取りまとめられました。その後、さらに議論を深めるため金融審議会に「市場構造専門グループ」が設置され、現在も議論が継続しています(第1回会合は5月17日に既に開催されています)。

問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務コンサルティング室
03-3212-1211(代表)

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