従業員が退職したときに必要となる労働保険・社会保険に関する手続について

人事労務

入社後まもなく会社で総務を担当することになりました。このたび、従業員が退職することになりました。そこで従業員が退職する時に会社がやらなければならない労働・社会保険の手続を教えてください。
 また、手続に関して退職前に従業員に確認しておかなければならないことや従業員から提出してもらうものなどもあれば、あわせて教えてください。

従業員が退職する場合、労働・社会保険の手続きは大きく2点あります。
 まず、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失手続」を年金事務所に対して行います。資格喪失手続の際は、本人および被扶養者の健康保険被保険者証などを回収してください。
 また、雇用保険に関しては「雇用保険被保険者資格喪失手続」を、事業所を管轄する公共職業安定所に対して行います。資格喪失手続には原則として雇用保険被保険者離職証明書を添付することになります。

解説

目次

  1. 退職の申出があった場合の必要書類と確認事項
  2. 退職時の社会保険等関係手続
  3. 健康保険・厚生年金保険資格喪失届
    1. どのような手続をするのか
    2. 退職者の保険料は退職日によって扱いが変わる
    3. マイナンバー制度への対応
  4. 雇用保険被保険者資格喪失届および雇用保険被保険者離職証明書
    1. どのような手続をするのか
    2. 本人の署名・押印をもらう
    3. 退職者の雇用保険の保険料
    4. マイナンバー制度への対応
  5. マイナンバー制度に伴う、廃棄・削除

目次

  1. 退職の申出があった場合の必要書類と確認事項
  2. 退職時の社会保険等関係手続
  3. 健康保険・厚生年金保険資格喪失届
    1. どのような手続をするのか
    2. 退職者の保険料は退職日によって扱いが変わる
    3. マイナンバー制度への対応
  4. 雇用保険被保険者資格喪失届および雇用保険被保険者離職証明書
    1. どのような手続をするのか
    2. 本人の署名・押印をもらう
    3. 退職者の雇用保険の保険料
    4. マイナンバー制度への対応
  5. マイナンバー制度に伴う、廃棄・削除

退職の申出があった場合の必要書類と確認事項

 従業員の退職が決定した場合、本人から以下を提出してもらうとともに必要な事項を確認します。

  1. 提出物
    • 退職願(届)
    • 健康保険被保険者証(被扶養者がいる場合は全員分)
    •  → 以下の証書などがある場合は、あわせて回収が必要です。
    • 高齢受給者証
    • 健康保険特定疾病療養受給者証
    • 健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証
  2. 確認事項
    • 離職票作成の必要の有無
    •  → 離職票が不要な場合は、雇用保険被保険者資格喪失手続のみを行います
    • 健康保険任意継続希望の有無
    •  → 希望者には資格喪失後20日以内に退職後の従業員が、全国健康保険協会にて手続を行う必要があることを伝えます(健康保険法37条)

退職時の社会保険等関係手続

 従業員の退職時には、次の社会保険等の関係手続が必要となります。
 具体的な提出方法などは、3.以降で解説します。

届出書 提出時期
1. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 退職日の翌日から5日以内
2. 雇用保険被保険者資格喪失届 退職日の翌日から10日以内
3. 雇用保険被保険者離職証明書 雇用保険被保険者資格喪失届に添付

健康保険・厚生年金保険資格喪失届

どのような手続をするのか

 退職日の翌日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を事業所の所在地を管轄する年金事務所へ提出します(健康保険法施行規則29条、厚生年金保険法施行規則22条)。
 その際、全国健康保険協会の健康保険被保険者の場合は、本人より回収した健康保険被保険者証などを添付します。
 紛失等により本人から回収ができない場合は、資格喪失届にその理由を付記するか、「健康保険被保険者証回収不能・滅失届」を添付することとなります。

退職者の保険料は退職日によって扱いが変わる

 退職者の健康保険・厚生年金保険の保険料については、退職日が月の末日である場合は退職月分までの保険料を給与から徴収することとなり、月の途中に退職日がある場合は、退職月分の保険料の徴収は不要となります。

マイナンバー制度への対応

 平成29年以降、個人番号(マイナンバー)の記載が必要となります。

雇用保険被保険者資格喪失届および雇用保険被保険者離職証明書

どのような手続をするのか

 退職日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所へ提出します(雇用保険法施行規則7条)。
 本人が離職票を希望する場合は、雇用保険被保険者離職証明書を作成し、資格喪失の事実、資格喪失日および資格喪失の状況が確認できる書類(労働者名簿、出勤簿、賃金台帳、退職願など)を添えて資格喪失届とともに提出します。

本人の署名・押印をもらう

 雇用保険被保険者離職証明書には退職者本人の署名・押印欄が2箇所ありますので、離職証明書を作成後、本人に記載内容を確認の上、署名・押印をしてもらいます。
 もしも本人から署名・押印をもらうことができなかった場合は、同欄にその理由を記入し事業主が押印または署名をすることで、手続をすることが可能です。
 手続後、公共職業安定所にて発行された雇用保険被保険者離職票-1と2については退職者本人に渡します。

退職者の雇用保険の保険料

 退職者の雇用保険の保険料については、退職日までの給与に対して保険料を徴収することになりますので、通常の月と同じように給与支給額に保険料率を乗じて計算します。

マイナンバー制度への対応

 平成28年1月以降、個人番号(マイナンバー)の記載が必要となります。

マイナンバー制度に伴う、廃棄・削除

 退職社員の個人番号(マイナンバー)については、それらの事務を処理する必要がなくなった場合、保存期間を経過したら、個人番号をできるだけ速やかに廃棄または削除しなければなりません(その個人番号部分を復元できない程度にマスキングまたは削除したうえで保管を継続することは可能)。

 保存期間は以下のとおりです。

雇用保険関係書類の場合 完結の日より4年間
(雇用保険法施行規則143条)
健康保険・厚生年金保険関係書類の場合 完結の日より2年間
(健康保険法施行規則34条、厚生年金保険法施行規則28条)

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