シェアリングエコノミーの種類と業法の規制

取引・契約・債権回収

 「シェアリングエコノミー」ビジネスへの参入を検討するよう社長から指示されたのですが、「シェアリングエコノミー」にはどのような種類がありますか。ビジネスを行う場合の法的な規制や、登録・届出の必要性についても教えてください。

 マッチングを行うプラットフォーム事業者への規制のあり方がたびたび議論されていますが、現時点では、「シェアリングエコノミー」ビジネスを統一的に規制する法律は存在しません。他方で、展開するビジネスモデルやシェアする対象の資産の種類により、業法が適用される可能性があります。

 分野によっては新たにルールが整備され、登録・届出が必要になっているので、スムーズな事業展開のためにも、ビジネスモデルの構築の段階から法的な検討が必要です。また、シェアリングエコノミーに伴う課税漏れ対策として、税制面の見直しも進んでいるので注意が必要です。

解説

目次

  1. 「シェアリングエコノミー」ビジネスの種類
  2. 法規制の全体像
  3. 自動車に関するビジネス(ライドシェアリング・カーシェアリング)
  4. 宿泊施設に関するビジネス
  5. 金融に関するビジネス
  6. 古物に関するビジネス

「シェアリングエコノミー」ビジネスの種類

 「シェアリングエコノミー」ビジネスは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しをマッチングするサービスを指します。このようなサービスを利用することで、貸主には遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがあり、さまざまな種類のビジネスが展開されています。日本国内では、自動車、自転車、宿泊施設のビジネスが著名ですが、他にも、金融、人材、農地等多岐にわたります。

分類
(1)シェア×モノ フリマ・レンタルサービス
(2)シェア×空間 ホームシェア・農地・駐車場・会議室
(3)シェア×スキル 家事代行・介護・育児・知識・料理
(4)シェア×移動 カーシェア・ライドシェア・コストシェア
(5)シェア×お金 クラウドファンディング

 出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミービジネスについて

法規制の全体像

 現時点では、シェアリングエコノミー全体を規制する法律は存在しませんが、だからといって、全面的に自由にビジネスを展開していてもよい、というわけではない点に注意が必要です。これは、ビジネスモデルやシェアする対象の資産の種類によっては、従前から存在する業法による規制が適用されることが少なくないためです。

 自動車であれば道路運送法、宿泊施設であれば旅館業法、古物のシェアであれば古物営業法、といった業法規制が問題となってきます。さらに宿泊施設について、2017年6月に住宅宿泊事業法(民泊法)が成立したように、新たなルールも整備されつつあります。

自動車に関するビジネス(ライドシェアリング・カーシェアリング)

 自動車をめぐるシェアリングエコノミービジネスは、ライドシェアリングカーシェアリングに大別できます。

 ライドシェアリングについては、まず、「旅客自動車運送事業」(道路運送法2条3項)に該当しないかが問題となります。該当する場合は国土交通大臣の許可が必要です。
 仮に「旅客自動車運送事業」に該当しない場合でも、自家用自動車は有償で運送の用に供することはできないというルールがあります(道路運送法78条1項)。このため、海外のように、自家用車を用いて運送サービスを提供したい者と移動したい人をマッチングする事業は困難といわれています。

 また、自家用自動車自体の貸し借りについても、国土交通大臣の許可がない限り、自家用車を反復継続して有償で貸し渡すこともできません(道路運送法80条1項)。このため、自家用車を貸したい人と借りたい人をマッチングするサービスも困難となります。「共同使用」あるいは「無償」であれば「貸し渡し」に該当しないとする整理もあるようです。

宿泊施設に関するビジネス

 住宅宿泊事業法(民泊法)が施行されると、年間180日を超えない範囲で、住宅に人を宿泊させることにつき都道府県知事等へ届出するだけで可能となります。他方、宿泊者と住宅宿泊事業者との間の宿泊契約の締結のマッチングをする事業を営もうとする場合は観光庁長官の登録が必要となります。宿泊施設に関しては別稿で詳しく解説します。

金融に関するビジネス

 海外では、資金に余裕があって貸し付けたい人と資金に余裕がなくて借りたい人を結びつけるマッチングサービス(ソーシャルレンディング)が盛んですが、日本では貸金業法との抵触が問題になります。反復継続して金銭の貸し付けを行う行為は、貸金業に該当する可能性があるためです。

古物に関するビジネス

 古物をシェアの対象とする場合は、ビジネスモデルのあり方によっては、古物営業法の規制が適用されかねないため、注意が必要です。古物を買い取って賃貸したり、古物の買い取りを受託する方法をビジネスモデルとして採用するのであれば、古物営業許可が必要になります。

 他方、貸し借りのマッチングサービスを提供するプラットフォームを運営する場合や新品を購入し共有する場合は古物営業に該当せず許可は不要と考えられます。これは、古物営業法が、古物を売買、交換、委託を受けて売買、もしくは交換する営業(古物営業法2条2項1号)や、古物商間でこれらを売買交換するための古物市場を経営する営業(古物営業法2条2項2号)、古物の売買をしようとするもののあっせんを競りの方法により行う営業(古物営業法2条2項3号)を規制対象としているためです(古物営業法3条1項)。

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