インターネット上で偽造品が販売されていた場合どう対応するべきか

IT・情報セキュリティ

 インターネット上の偽造品販売に対する対応については、どのような点に注意をする必要がありますか。

 まず、偽造品販売業者に対して通告書を送ることが有効な手段ですが、インターネット上で偽造品を販売する業者の身元が明らかでなく、送付先が不明な場合には、プロバイダ責任制限法に基づき、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対する発信者情報の開示請求を行うことを検討する必要があります。
 また、偽造品業者に対する通告後も、偽造品販売が継続される場合には、商標権侵害を理由とするISPに対する通知と送信防止措置請求を行うことが有効です。

解説

目次

  1. 偽造品の製造、輸入、販売の問題点は
  2. プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求
  3. プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求

偽造品の製造、輸入、販売の問題点は

 他人が製造・販売する正規商品(「真正品」)のロゴやマークまたはこれと類似するロゴ・マークを、第三者が権限なく使用して、他人の真正品をコピーまたは模倣した商品(「偽造品」)を製造、輸入、販売する行為は、商標権侵害や不正競争行為に該当する違法な行為です。

 インターネット上のショッピングモール、オークションサイト、SNS、自社サイト等で偽造品業者が偽造品を販売する場合についても、偽造品業者に対して採るべき権利者の対応は、基本的に、実店舗で偽造品を販売する偽造品業者に対して採るべき対応と同じです。
 偽造品販売を行う偽造品業者に対する民事・刑事の対応の詳細については、それぞれ「偽造品の販売と民事上の法的措置」「偽造品の販売と刑事上の法的措置」の各Q&Aをご参照ください。

 本稿では、インターネット上の偽造品販売に対する対応について特に留意すべき事項に限定して説明をします。

プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求

 インターネット上では情報発信の匿名性のため、偽造品を販売する偽造品業者の身元の特定が困難な場合が少なくありません。特定商品取引法(特商法)に基づき、インターネット上での商品販売業者に対し、その氏名・名称、住所、連絡先を表示することが義務付けられていますが、虚偽の内容を表示している場合や、表示自体を行っていない場合もあります。
 このような場合には、通告書を問い合わせ先のメールアドレス宛にメールで送付しても、販売業者が通告を無視し、そのまま偽造品が販売されるケースも少なくありません。また、販売業者の氏名や住所が不明なため、販売業者に対する仮処分申立て、訴訟提起等の法的措置をとることも困難です。

 そこで、このような場合には、販売業者が偽造品を販売・出品するインターネット上のショッピングモール、オークションサイトの運営者や、販売業者に対しサーバーレンタル、ドメインネーム、その他のインターネット接続サービスの提供者であるインターネットサービスプロバイダISP)に対し、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(通称「プロバイダ責任制限法」)第4条の発信者情報の開示請求を行い、偽造品販売による商標権侵害の情報発信者である偽造品業者の氏名・名称、住所、連絡先、IPアドレス等の身元情報の開示を求める必要があります。

 ISPに対する発信者情報開示請求書の書式やガイドラインは、「プロバイダ責任制限法 関連情報Webサイト」にて入手可能です。

プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求

 ISPは、自身が運営するショッピングモール、オークション、インターネット接続サービス等を利用して、偽造品業者がインターネット上で偽造品を販売していることを認識し、または認識することができたにもかかわらず、それを放置していた場合には、偽造品業者と共に、偽造品販売について商標権者に対する損害賠償責任を負う可能性があり、そのことを明示した裁判例もあります(平成24年2月14日付知財高裁判決・「チュッパチャップス事件)。
 したがって、商標権者は、インターネット上で自身の商品の偽造品販売を発見した場合には、まず、その販売業者に対し商標権侵害の通告を行い、販売業者が通告後も偽造品の販売を継続する場合には、販売業者にインターネットサービスを提供するISPに対し、偽造品業者の偽造品販売による商標権侵害行為を通知し、インターネット上の偽造品販売ページの削除等、商標権侵害情報の送信防止措置を請求することが考えられます。
 ISPに対する送信防止措置請求の手続については、「偽造品の販売業者に対する通告書の記載方法は」にて説明します。

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する