中小企業再生支援協議会を利用するとどのような事業再生が実現できるか

事業再生・倒産

 当社は10年前に比べると売上が大幅に落ち込み、人員削減もしていますが、借入が過大で、仮に金融機関と協議して元本の返済方法を今より緩やかにしてもらったとしても、到底全額返済できるとは思われません。当社が中小企業再生支援協議会(「支援協」といいます)を利用すると、具体的にどのような事業再生を実現することができるのでしょうか。

 借りたお金は原則全額返済するべきではありますので、まずは金融機関からの借入の全額返済を前提とした、各月における返済元本の減額(いわゆるリスケジュール)を検討しますが、借入が過大で完済にかなりの年数を要する場合や、多額の利払いによって十分な設備投資ができなくなどする場合には、いわゆる「第二会社方式」による債務圧縮や、中小企業再生ファンドを活用した債務圧縮、支援協版資本的借入金の活用による債務圧縮などによる事業再生も考えられます。

解説

目次

  1. まずは事業改善を
  2. リスケジュールによる事業再生
  3. 第二会社方式による方法
    1. 第二会社方式とは
    2. 第二会社方式のメリット・デメリット
  4. その他の事業再建手法
  5. 課税など

まずは事業改善を

 借入が過大で、到底全額返済できるとは思えないというようなケースでも、まずは遊休資産の処分により有利子負債を圧縮できないか、営業を強化できる具体策はないか、不採算の取引先を見直すなど粗利を上げる方法がないか、人件費等経費削減の余地はないかなど、事業改善施策を徹底的に検討することになります。

 過去のしがらみ等もあって不採算の取引先であっても契約を打ち切ることが難しかったり、余剰人員を解雇等するのは難しいなど、事業改善施策には様々な障壁があると思いますが、支援協の助力が必要なところまで会社の状況が悪化した訳ですから、痛みを伴う改革であっても実行できる良い機会と捉えることもできると思います。

 ここで改革を実行できなければ、支援協を活用しても、事業再生は難しいかもしれません。支援協からは、このような再生計画案の前提となる事業改善施策についても、支援を受けることができ、これも改革断行の契機・追い風になります。

リスケジュールによる事業再生

 事業改善施策を一定の時間をかけて実施すれば収支が改善し、その後は相応の弁済ができる見込みがある再生計画案を描け、例えば今後10年から15年程度の時間をかければ完済できる見込みがあるのであれば、金融機関との間の当初約定よりも長期間で、かつ傾斜があるなどする返済計画について、支援協の調査検証を受けた上で、金融機関に打診することになります。一つの典型例としては、このようなリスケジュールによる事業再生があります。

第二会社方式による方法

第二会社方式とは

 一方、徹底的に事業改善施策を実施しても限定的な効果しか期待できず、また事業価値を維持するための適切な設備投資などを実施すれば、金融機関への返済原資を十分確保することができず、例えば今後20年、30年かけても完済は難しいというような状況であれば、金融機関からの借入債務の圧縮を伴う事業再建方法が検討されることになります。
 実務的には、第二会社方式と呼ばれる手法がとられることが少なからずあり、例えばスポンサーに収益性のある事業を承継し(金融機関からの借入れは承継しません)、スポンサーからその事業の対価を取得し、この対価の全部または一部を金融機関に弁済します

第二会社方式のメリット・デメリット

 事業承継の方法としては、事業譲渡という方法や、会社分割を利用した方法などがありますが、従業員の雇用を守ることができますし、通常は取引債務を全額支払う形で調整しますので、連鎖倒産などを避けることも期待できます。
 返済できなかった残りの金融機関からの借入債務は、元の会社を特別清算することなどにより圧縮・処理することができますが、そのような負担を金融機関に強いることとの引き換えに、元の会社の株主はその株式を失い、また旧経営陣も取締役等の立場を失うことになります(株主・経営責任の明確化)。
 ただ、旧経営陣が当該事業運営におけるノウハウを有するなど、活躍の場があるのであれば、スポンサーのもとで雇用が確保される可能性もありますし、第二会社方式を活用したことで金融機関の回収を増加できたのであれば、「経営者保証に関するガイドラインの適用を受けるための要件とは」で説明しています、経営者保証に関するガイドラインの活用により、破産等を回避できる可能性も出てきます。

その他の事業再建手法

 債務圧縮を伴う事業再建方法としては、第二会社方式以外に、金融機関からの借入を劣後化する(返済する順番を後順位にする)デット・デット・スワップと呼ばれる手法や、中小企業再生ファンドに金融機関の貸付債権を買い取ってもらうことで債務圧縮を図り、今の会社をそのまま継続させつつ事業再建を図る手法などがあります。

課税など

 なお、債務圧縮をする場合は免除益課税と呼ばれる税金が発生するおそれがありますし、会社が公租公課をすでに滞納しているなどすると事業再生に困難を来すおそれがあります。支援協を利用する事業再生を検討される場合には、是非事業再生に精通した弁護士などの専門家に相談されることをお薦めします。

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