中小企業再生支援協議会を利用した債務整理はどのような手続きか

事業再生・倒産

 当社は、近年業績が悪化しており、金融機関からの借入について元本の返済が難しくなったので、この1年、金融機関と協議して、元本の返済を猶予してもらっていました。しかし、最近、金融機関から、中小企業再生支援協議会(以下「支援協」といいます)を利用した債務整理をしてはどうかと言われました。これはどのような手続きなのでしょうか。過去に売上の過大計上などがあった場合でも利用できる手続きなのでしょうか。

 支援協は、産業競争力強化法に基づき、経済産業大臣の認定により設置された機関で、中小企業の再生に向けて、経営改善・事業再生の取り組みを支援することを目的としています。支援協に支援を申込み、適当であると判断されると、支援協は、再生計画策定を支援したり、金融機関等利害関係人との調整を行います。いわゆる第二会社方式による事業再生支援を受けることもできます。

解説

目次

  1. 総論
    1. 会社と金融機関との協議(支援協のメリット)
    2. 支援協のメリット
  2. 具体的な支援協の手続(会社による再生計画案の策定まで)
    1. 窓口相談(第一次対応)
    2. 再生計画策定支援(第二次対応)
  3. 具体的な支援協の手続(金融機関による再生計画案の承認まで)
    1. 再生計画案の調査検証
    2. 再生計画案の承認
  4. 支援協の手続に要する時間と費用
    1. 手続に要する時間
    2. 手続に要する費用
  5. おわりに

総論

会社と金融機関との協議(支援協のメリット)

 従前、業績が悪化し、金融機関からの借入について元本の返済が難しくなるなどした場合、破産手続や民事再生手続など法的倒産手続が選択されるケースが少なくなかったように思われますが、平成20年のリーマンショック後に施行された中小企業金融円滑化法(平成25年3月末にて終了)の影響もあり、会社と金融機関との協議・合意のもと、元本返済が一時猶予されるなどするケースが増えました。
 しかし、①債務超過の程度が大きい、②会社が作成した再生計画が実績と乖離するなど、実現可能性に疑義がある、③従前の決算に会計上不適切な処理があった(粉飾決算)、④一時猶予の期間が長くなっているなどの事情によっては、会社と金融機関との協議だけでは合意に達しない場合もあります。

支援協のメリット

 そのような場合、公正中立な公的機関である支援協から会社作成の再生計画案のチェックを受けることで、金融機関の合意を得やすくなることが期待できます。また、支援協を利用しても、その事実は公表されず、秘密が保持され、無用に会社の信用が毀損されることはありません。

具体的な支援協の手続(会社による再生計画案の策定まで)

窓口相談(第一次対応)

 具体的には、まず各都道府県に設置されている支援協に連絡し、窓口相談をします。支援協には企業・事業再生について詳しい専門家(金融機関出身者や中小企業診断士、税理士等)がおり、対応してくれます(第一次対応)。
 これまでの経緯や会社の現状を決算報告書や月次試算表などを提出して支援協に説明すれば、そもそも支援協の手続を選択することが適切であるか否かも含め、今後の進め方についてアドバイスを受けることができます。

再生計画策定支援(第二次対応)

 窓口相談で支援協での支援が妥当であると判断されると、再生計画策定支援に移ります(第二次対応)。
 ただし、自分の事業計画は自分でしか作れませんので、アドバイスは受けられるものの、あくまで再生計画案(返済計画を含みます、以下同じです)を策定するのは会社自身となります。
 再生計画案の策定には難しいところがありますが、会社が弁護士や公認会計士に依頼して助力を得ることも考えられますし、金融機関(主にメインバンク)の協力が得られることもあります。また、再生計画案を策定する前提として、会社の現状等を詳細に把握・分析することが必要ですので、デューデリジェンスといわれる財務調査・事業調査も必要となります。

具体的な支援協の手続(金融機関による再生計画案の承認まで)

再生計画案の調査検証

 再生計画案を策定すると、支援協は、専門的知見を有する弁護士および公認会計士の協力のもと、再生計画案を調査検証します。この調査検証において、再生計画案に修正するべき点があると指摘されたら、適宜修正して再度調査検証を受けます。
 過去に粉飾決算などがあったとしても、その内容・程度等にもよりますが、適切にそれを開示・補正し、実態に基づいた再生計画案を策定している場合は、調査検証を通る可能性はあります。

再生計画案の承認

 そして、最終的に再生計画案に特段の問題がないことが確認されると、金融債権者会議において金融機関に再生計画案の是非を問い、金融機関が全員この再生計画案を了解すれば、この再生計画案が実行され、会社は、経営改善施策に努力し、また返済計画に基づく返済を行うなどすることになります。
 金融機関にとっては、公平・中立な支援協および専門家の調査検証を経ていることから、再生計画案の信頼性が高まり、協力しやすくなると考えられますので、支援協の活用により事業再建への期待が高まると思います。

支援協の手続に要する時間と費用

手続に要する時間

 支援協の手続に要する時間としては、少なくとも半年程度を要します。事前に会社において再生計画案を策定しているなど、事前準備がなされていれば、期間の短縮を期待できます。一方、再生計画案の策定や金融機関の説得に時間がかかり、期間が延びることもあります。

手続に要する費用

 上記のとおり、支援協は、再生計画案の調査検証において弁護士および公認会計士等専門家に依頼しますので、この専門家費用は会社において負担する必要があり、規模や会社での事前準備の程度、複雑さなどによって左右されます。一定の補助もありますので、具体的な金額の見込みや目安については、支援協にご相談ください。

おわりに

 相応の時間、費用および労力を要しますが、再生計画案が承認されたならば、事業を継続することが可能ですので、事業再建における一手段として支援協に相談されてみてはいかがでしょうか。

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する