夫の育児休業開始日を繰り上げられるか

人事労務

 私は、勤め先を産前休業中で、出産予定日は4月1日です。別の会社で働く夫は、出産日から6か月間育児休業を取得する予定で、すでに勤め先に4月1日からの育児休業の取得を申し出ており、了承されています。ところが、出産予定日より早い3月15日に子どもが生まれました。夫は、申出済みの育児休業の開始日を繰り上げる変更ができるでしょうか。

 上記の事情の下では、育児休業開始日の繰上変更が認められます。ただし、会社が休業開始日を指定できる可能性があります。

解説

目次

  1. 育児休業開始日の繰上変更
  2. 育児休業期間の開始・終了予定日の事後的変更についてのまとめ
  3. おわりに

育児休業開始日の繰上変更

 労働者は、1歳までの育児休業を申し出た後、休業開始日とした日の前日までに、以下のいずれかの事由が生じた場合には、休業開始日を繰上変更することができます。繰上変更のためには、事業主に申し出ることが必要です。また、繰上げは1回に限り行うことができます。(育児・介護休業法7条1項、育児・介護休業法施行規則10条)

  1. 出産予定日前に子が出生したこと(質問のケース)
  2. 育児休業申出にかかる子の親である配偶者(以下単に「配偶者」といいます)の死亡
  3. 配偶者が、負傷または疾病により育児休業申出にかかる子を養育することが困難になったこと
  4. 配偶者が育児休業申出にかかる子と同居しなくなったこと
  5. 育児休業申出にかかる子が負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、二週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき
  6. 育児休業申出にかかる子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき

 希望日通りに繰上げ変更を行うためには、変更後の休業開始日の1週間前までに変更の申出をすることが必要です。変更の申出がこれより遅れた場合、事業主は、変更申出日の翌日から起算して1週間を経過する日までの日を変更後の休業開始日として指定できます。少しややこしいですが、事業主は、申出日から繰上変更後の開始予定日まで1週間のリードタイムを保証されているということです(育児・介護休業法7条2項、育児・介護休業法施行規則14条)。

育児休業開始日の繰上変更

 事業主による変更後の開始予定日の指定は、原則として、変更申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日までにする必要があります(育児・介護休業法施行規則15条)。

育児休業期間の開始・終了予定日の事後的変更についてのまとめ

 上記に関連して、育児休業の開始・終了予定日の事後的変更について、育児・介護休業法上の取扱いをまとめたのが下の表です。

1歳までの育休 1歳6か月までの育休 2歳までの育休
開始日の繰上 1回に限り、特別事由がある場合可能 法律上定めなし 法律上定めなし
開始日の繰下 法律上定めなし 法律上定めなし 法律上定めなし
終了日の繰上 法律上定めなし 法律上定めなし 法律上定めなし
終了日の繰下 1回に限り、事由を問わず可能 1回に限り、事由を問わず可能 1回に限り、事由を問わず可能

 上記のとおり、育児・介護休業法は、育児休業期間を事後的に長くする変更(開始日の繰上・終了日の繰下)を一定の範囲で認めています。反対に、育児休業期間を事後的に短くする変更(開始日の繰下・終了日の繰上)については、法律上強制せず、事業主ごとの取扱いに委ねているといえます。

おわりに

 1歳までの育児休業は、原則として1か月前までに申し出ることが必要であるため、申出から休業開始までに事後的な変更が生じることが十分予想されます。特に、男性従業員の育児休業については、女性従業員と異なり、産後休業(原則8週間)が育児休業に先行しないため、より突発的な変更があり得るものと思われます。事業主としては、法律上対応する必要があるか否か、そうでなくとも変更を認めるかどうか、判断することが求められるといえます。

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