偽造品の商標権侵害が成立するための要件は

知的財産権・エンタメ

 自社商品のロゴ・マークの商標登録がある場合、そのロゴ・マークを模倣した偽造品販売について、商標権侵害が成立するためには、どのような要件を満たす必要がありますか。

 偽造品販売について、模倣されたロゴ・マークの登録商標の商標権侵害が成立するためには、以下の各要件を満たす必要があります。

① 登録商標の存続期間が満了していないこと
② 偽造品に表示されている模倣されたロゴ・マークが、商標登録されているロゴ・マークと同一または類似すること
③ 偽造品が、登録商標の「指定商品」と同一または類似すること

解説

目次

  1. 商標登録の登録内容の確認
  2. 商標登録の存続期間の確認
  3. 模倣ロゴ・マークと登録商標との同一性・類似性の確認
  4. 偽造品と登録商標の指定商品との同一性・類似性の確認

商標登録の登録内容の確認

 自社商品のロゴ・マークを模倣した偽造品の販売を発見した場合には、まずは、偽造品により模倣された真正品のロゴ・マークが商標登録されているか否か、商標登録されている場合には、その登録内容を確認する必要があります
 この商標登録の確認は、特許庁が提供する知的財産権(特許、実用新案、意匠、商標)のインターネット登録検索サービス「J-PlatPat」(特許情報プラットフォーム)を利用して行うことができます。

商標登録の存続期間の確認

 模倣された真正品のロゴ・マークの商標登録がある場合、その登録商標の存続期間が満了していないかまたはその満了が間近に迫っていないかを確認する必要があります
 日本の登録商標の存続期間は商標権設定登録日より10年間で(商標法19条1項)、その後10年ごとに何度でも更新することが可能です(商標法19条2項)。

 したがって、存続期間の満了日が迫っている場合には、速やかに更新登録料を支払って更新登録申請を行う必要があります。
 また、存続期間が満了していても、満了日から6か月以内であれば、更新登録料に、更新登録料と同額の割増登録料を支払うことにより、登録商標を更新することが可能です(商標法20条)。

 登録の費用については「特許・実用・意匠・商標の手数料及び登録料一覧表(平成29年4月1日現在)」を参照ください。

模倣ロゴ・マークと登録商標との同一性・類似性の確認

 次に、商標登録されている真正品のロゴ・マークと、偽造品に表示された模倣ロゴ・マークが、同一であるか、または類似しているかを確認する必要があります
 商標法では、商標の類似性は、対比される2つの商標が、同一または類似の商品にそれぞれ使用された場合に、商品の出所につき需要者に誤認混同を生じさせるおそれがあるか否かにより判断されます。

 そして、このような類似性の有無は、商標の外観、称呼および観念等が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、かつ、商品または役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況も考慮し判断されます。
 なお、商標の外観、称呼および観念の類似は、商品または役務の出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎませんので、その1点において類似するものであっても、他の2点において著しく相違し、商品または役務の出所について需要者に誤認混同を生じさせるおそれがない場合には、商標の類似性は否定されます。

模倣ロゴ・マークと登録商標との同一性・類似性の確認

偽造品と登録商標の指定商品との同一性・類似性の確認

 また、偽造品が、その登録商標の「指定商品」(登録商標を使用する対象として指定されている商品)として列挙されているいずれかの商品と、同一または類似する商品といえるか否かを確認する必要があります
 この商品類似の判断の重要な指標となるのが、特許庁が各指定商品について定める「商品類似群コード」です。

 これは、特許庁が出願された商標の登録審査において、出願商標の指定商品が、先に出願・登録されている他人の登録商標の指定商品と類似しているか否かを判断する際に用いるもので、商品の生産部門、販売部門、原材料、品質等の共通性に基づき、商品を種類ごとに分類し、各商品分類に5桁の数字とアルファベットを組み合わせたコードを付したものです。

 したがって、登録商標の指定商品と偽造品が属する種類の商品の類似群コードが同じであれば、商標権侵害の有無に必要な商品の類似性が認められる可能性が高くなります。
 ただし、この商品類似群コードは、あくまで特許庁が出願商標の登録審査を行う際に用いる基準であり、商標権侵害の有無が裁判で争われる際の商品の類似性の有無は、商品類似群コードを参照しつつも、取引の実情も考慮した上で、偽造品が属する種類の商品と登録商品の指定商品に、それぞれ同一または類似の商標を付した場合に、需要者が両商品を誤認混同するおそれがあるか否かという観点から、案件ごとに個別具体的に判断されます。

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