偽造品販売への対応を警察に相談する時の注意点

知的財産権・エンタメ

 偽造品販売につき商標権侵害罪の立件を警察に相談する場合、どのような点に注意をする必要がありますか。

 まず、相談先となる警察を選択する必要があり、偽造品販売が行われた場所、偽造品業者の本店所在地、商標権者の本店所在地のいずれかを管轄地域とする警察署に相談へ行くことになります。
 警察へ相談に行く際には、相談を受ける警察官が、その偽造品販売の事案の内容を把握しやすいように、メモや参考資料を事前に準備し、これらを持参して相談をすることをお勧めします。また、警察に相談を行う際には、相談対象となる偽造品販売の案件が、警察の立場から見て刑事立件に適する案件に該当するか否かを意識して相談を行う必要があります。

解説

目次

  1. 相談先の警察署の選択
  2. 警察への相談の際に準備しておくべき点
  3. 刑事立件に適する案件か否かの確認

相談先の警察署の選択

 警察に商標権侵害罪の立件可能性を相談する場合、相談先となる警察署は、商標権侵害を構成する偽造品販売が行われた場所を管轄地域とする警察署偽造品を販売する業者の本店所在地を管轄地域とする警察署被害者である商標権者の本店所在地(海外に本社がある場合には、日本の子会社の事務所や営業所等の所在地)を管轄地域とする警察署が考えられます。いずれの警察署でも、まずは相談しやすいと思われる警察署に相談に行かれることをお勧めします。商標権侵害罪の捜査を担当する部署は、警察署により違いはありますが、生活安全課が担当する場合が多いです。
 なお、商標権侵害罪は親告罪ではないため、商標権者による告訴は不要です。

相談先の警察署の選択

警察への相談の際に準備しておくべき点

 警察に相談に行く際には、相談を受ける警察官が、その事案の内容を把握しやすいように、偽造品業者の偽造品販売と、これに対し商標権者が行った対応の概要を簡潔に記載したメモと、偽造品業者・商標権者に関する情報(法人の場合には全部事項証明書の写し)、偽造品業者が偽造品販売を行っている事実を示す書類(インターネット上の販売ページや注文手続のページ、メールのプリントアウト等)、偽造品と真正品の現物または写真、登録商標の商標登録原簿と公報の写し、商標権者が偽造品業者に対し送付した通告書や偽造品業者からの回答書の写し等の参考資料も持参の上で、これらのメモと参考資料を基に、当該事案の概要や偽造品と真正品の相違点等について、警察官に分かりやすく説明ができるよう事前に準備されることをお勧めします。

相談の際に準備しておくべき資料
  • 偽造品業者の偽造品販売と、商標権者が行った対応の概要を簡潔に記載したメモ
  • 偽造品業者・商標権者に関する情報(法人の場合には全部事項証明書の写し)
  • 偽造品業者が偽造品販売を行っている事実を示す書類
  • 偽造品と真正品の現物または写真
  • 登録商標の商標登録原簿と公報の写し
  • 商標権者が偽造品業者に対し送付した通告書や偽造品業者からの回答書の写し

刑事立件に適する案件か否かの確認

(1) 警察の傾向

 警察に相談を行う際には、以下に説明する通り、相談対象となる偽造品販売の案件が、警察の立場から見て刑事立件に適する案件に該当するか否かを意識して相談を行う必要があります。
 第1に、警察は、登録商標として登録されている商標権者のロゴ・マークと、偽造品に付されているロゴ・マークとの間に顕著な相違(特に外観上の相違)があり、裁判において商標の類似性が争われる可能性がある案件の取り扱いを好まない傾向があります。
 第2に、特に警察は、現在、偽造品の販売が継続されており、その偽造品業者が所持・保管する多くの偽造品の在庫を差し押さえることができる案件の捜査を好む傾向があります。
 第3に、警察が商標権侵害罪の捜査に着手するには、商標権侵害罪の故意、すなわち自身が販売する商品が偽造品であることを偽造品業者が認識していることを、証拠により立証できる、またはその見通しを立てることができる案件であることが必要です。

(2) まずは通告を要請される場合も

 商標権者が、偽造品業者に対し、商標権侵害を理由とする偽造品の販売中止の通告を行ったにもかかわらず、偽造品業者がその後も偽造品の販売を継続している場合には、この通告書の内容証明郵便の控えと配達証明書により、商標権侵害の故意を証明することが可能です。
 警察に相談した時点で、偽造品業者に対する商標権侵害の通告を行っていない場合には、警察から、まずは偽造品業者に対する通告を行うよう要請される場合も少なくありません。

 多くの商標権侵害罪の立件を手がけた経験のある警察署では、商標権者による事前の通告がなくとも、偽造品業者が過去に他の偽造品の販売について商標権者から通告を受けたことがあること、偽造品と真正品の仕様について外観上相違が認められること、偽造品業者が販売する偽造品の販売価格が真正品の販売価格と比べて著しく安いこと等の状況証拠を基に捜査を行い、最終的に偽造品の販売者から商標権侵害の自白を得て、商標権侵害罪で立件する場合もあります。

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