認定個人情報保護団体の役割、取り扱う業務は

IT・情報セキュリティ

 認定個人情報保護団体とはどのような団体ですか。改正個人情報保護法によりどのように規制が変わりますか。

 「認定個人情報保護団体」とは、個人情報の適正な取扱いの確保を目的として、個人情報保護団体(改正前は主務大臣)の認定を受けた団体のことです。消費者と対象事業者の間に立って苦情処理の仲立ちや、事故の発生時に対象事業者に代わり個人情報保護委員会に報告をします。

 改正個人情報保護法により、取り扱う業務が個人情報に加えて、匿名加工情報も追加されます。認定や認定取消し等の権限が、主務大臣から個人情報保護委員会に集約されます。また、認定個人情報保護委員会が個人情報保護指針を策定するにあたっては、消費者の意見を代表する者の意見を聴くよう努めるとともに、同指針を策定した場合には個人情報保護委員会に届け出る必要があります。認定個人情報保護団体が対象事業者に対して個人情報保護指針を遵守させるために必要な措置をとることが義務となります(改正前は努力義務)。

解説

目次

  1. 認定個人情報保護団体制度
  2. 改正事項
  3. 認定の対象となる業務
  4. 認定基準
  5. 対象事業者
  6. 苦情処理
  7. 個人情報保護指針
    1. 個人情報保護指針の作成
    2. 個人情報保護委員会への届出・公表
    3. 認定個人情報保護団体による公表後の対応
    4. 改正個人情報保護法による機能強化の趣旨

※本QAの凡例は注の通りです1

認定個人情報保護団体制度

 個人情報保護法の基本理念の実現のためには、各個人情報取扱事業者が実情に応じた適正な取扱いを確保するための自発的な取組が不可欠です。そのような取組を支援する民間団体(法人格の有無は問わない)の役割が非常に重要となります。
 認定個人情報保護団体制度とは、当該分野において活動を行う団体を個人情報保護団体(改正前は主務大臣)が認定することにより、当該団体による自主的な取組みを支援する制度です。

改正事項

 改正個人情報保護法により、以下の項目が改正されました。

  • 取り扱う業務として、個人情報に加えて、匿名加工情報も追加されたこと。
  • 認定や取消し等の権限が主務大臣から個人情報保護委員会に集約されたこと。
  • 認定個人情報保護委員会が個人情報保護指針を策定するにあたっては、消費者の意見を代表する者の意見を聴くよう努めるとともに、同指針を策定した場合には個人情報保護委員会に届け出る必要があること。個人情報保護委員会は、同指針を公表すること。
  • 認定個人情報保護団体がその対象事業者に個人情報保護指針を遵守させるために指導、勧告等をとることが改正前は「努力義務」とされていたのが「義務」とされたこと(改正前個人情報保護法43条2項、改正個人情報保護法53条4項)。

認定の対象となる業務

 認定個人情報保護団体の認定の対象となる業務は以下のとおりです(改正個人情報保護法47条1項)。

  • 業務の対象となる事業者の個人情報および匿名加工情報の取扱いに関する苦情の処理(1号)
  • 個人情報保護指針の作成・公表など、個人情報および匿名加工情報の適正な取扱いの確保に寄与する事項についての対象事業者に対する情報の提供(2号)
  • その他、対象事業者の個人情報および匿名加工情報の適正な取扱いの確保に関し必要な業務(3号)

 改正個人情報保護法の全面施行前に主務大臣から認定を受けている認定個人情報保護団体は、改正後も、業務に変更がない場合には、新たに認定を受け直す必要はありません(改正個人情報保護法附則4条)。
 これに対して、新たに、匿名加工情報に関する業務を行う場合には、個人情報保護団体から認定を得る必要があり、認定の基準(下記4、改正個人情報保護法49条)を満たす必要があります

 なお、改正個人情報保護法の施行により、認定個人情報保護団体は、個人情報に関する業務と匿名加工情報に関する業務の両方を行う必要はなく、いずれかの業務のみを行うこともできます。

認定基準

 認定個人情報保護団体の認定基準は以下のとおりです(改正個人情報保護法49条)

  • 認定業務(苦情処理・情報提供等)を適正かつ確実に行うために必要な業務の実施方法が定められていること(1号)。
  • 認定業務を適正かつ確実に行うに足りる知識および能力並びに経理的基礎を有すること(2号)。
  • 認定業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって認定業務が不公正になるおそれがないこと(3号)

対象事業者

 認定個人情報保護団体は、その構成員または認定業務の対象となることについて同意を得た個人情報取扱事業者および匿名加工情報取扱事業者を対象事業者としなければならず(改正個人情報保護法51条1項)、対象事業者の氏名または名称を公表しなければなりません(改正個人情報保護法51条2項)。

苦情処理

 認定個人情報保護団体は、本人その他の関係者から対象事業者の個人情報または匿名加工情報の取扱いに関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該対象事業者に対し、その苦情の内容を通知してその迅速な解決を求めなければなりません(改正個人情報保護法52条1項)。

 認定個人情報保護団体は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該対象事業者に対し、文書もしくは口頭による説明を求め、または資料の提出を求めることができます(改正個人情報保護法52条2項)。

 対象事業者は、認定個人情報保護団体から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではなりません(改正個人情報保護法52条3項)。

個人情報保護指針

個人情報保護指針の作成

 認定個人情報保護団体は、対象事業者の個人情報または匿名加工情報の適正な取扱いの確保のために、個人情報に係る利用目的の特定、安全管理のための措置、開示等の請求等に応じる手続その他の事項または匿名加工情報に係る作成の方法、その情報の安全管理のための措置その他の事項に関し、消費者の意見を代表する者その他の関係者の意見を聴いて、個人情報保護法の規定の趣旨に沿った個人情報保護指針を作成するよう努めなければなりません(改正個人情報保護法53条1項)。

個人情報保護委員会への届出・公表

 認定個人情報保護団体は、個人情報保護指針を作成したときは、遅滞なく、当該個人情報保護指針を個人情報保護委員会に届け出なければなりません。同指針を変更したときも、同様です(改正個人情報保護法53条2項)。
 個人情報保護委員会は、個人情報保護指針の届出があったときは、インターネットの利用その他の適切な方法により、当該個人情報保護指針を公表しなければなりません(改正個人情報保護法53条3項、個人情報保護法施行規則25条)。

認定個人情報保護団体による公表後の対応

 認定個人情報保護団体は、個人情報保護委員会による公表がされた後、遅滞なく、インターネットの利用その他の適切な方法により、届け出られた個人情報保護指針を公表しなければなりません(個人情報保護法施行規則26条)。
 また、認定個人情報保護団体は、個人情報保護委員会により個人情報保護指針が公表されたときは、対象事業者に対し、当該個人情報保護指針を遵守させるため必要な指導、勧告その他の措置をとらなければなりません(改正個人情報保護法53条4項)。

改正個人情報保護法による機能強化の趣旨

 改正個人情報保護法の全面施行により、個人情報保護指針の機能が強化されたのは、とりわけ、改正個人情報保護法で新設された匿名加工情報について、加工の対象となる個人情報の種類や項目等に応じて、きめ細かいルールがあることが望ましく、民間の自主的なルールである指針が担う役割が増すことに鑑みたものです(瓜生和久編著「一問一答 平成27年改正個人情報保護法」(商事法務、2015)138頁)。


    • 改正個人情報保護法:個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年9月9日法律第65号)に基づく改正後の個人情報保護法
    • 改正前個人情報保護法:全面改正前の個人情報の保護に関する法律
    • 個人情報保護法施行規則:個人情報の保護に関する法律施行規則(平成28年10月5日個人情報保護委員会規則第3号)

    ↩︎

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