連絡可能個人関連情報とは?定義や具体例、企業に求められる対応など

IT・情報セキュリティ

 令和8年改正個人情報保護法で新設される「連絡可能個人関連情報」とは何ですか。個人情報保護法上の「個人関連情報」との関係や、企業として施行までに求められる対応についても教えてください。

 連絡可能個人関連情報とは、それ単体では特定の個人を識別することができないものの、住所・電話番号・メールアドレスや、IPアドレスや端末識別子といったオンライン上の識別符号など(Cookie・広告IDが含まれるかは今後の委員会規則・解釈による)、「特定の個人に対する連絡その他の情報の伝達に利用することができる一定の記述等」を含む個人関連情報をいいます(法2条8項)。

 従来、これらのCookie等は「個人関連情報」として整理され、その第三者提供の場面を除いて正面から規律する仕組みがありませんでした。今回の改正では、個人関連情報のうち「特定の個人に連絡・接触できる」危険性の高い類型を切り出し、不適正利用および不正取得の禁止という新たな規律(法31条の2)を設けます。保護法益を「識別」から「接触・働きかけ」へと広げた点に特徴があります。

 企業が施行までに対応すべき実務ポイントとしては、営業リスト・見込み客データベース・購入名簿などの棚卸し、データ購入・送客・マーケティング委託に関する契約の見直し、スクレイピング等による外部データ取得の適法性の検証、生成AIを用いた営業支援の利用態様の点検などが挙げられます。

解説

目次

  1. 連絡可能個人関連情報とは
    1. 法律上の定義と新設の背景
    2. 「個人情報」「個人関連情報」との関係
    3. 「他の情報と容易に照合することができるもの」の意味
  2. 連絡可能個人関連情報の具体例
    1. 該当するもの
    2. 該当しないもの
  3. 連絡可能個人関連情報に関する規定
    1. 現行法の規定の振り返り
    2. 改正法の規定との比較
  4. 企業に求められる対応
    1. 改正法の施行に向けたタイムライン
    2. 施行までに求められる実務対応
    3. その他の留意点
    4. 衆議院・参議院の附帯決議で示された方向性
  5. 違反した場合のペナルティ
    1. 連絡可能個人関連情報の規律に違反した場合
    2. 課徴金制度

 本稿は、令和8年改正個人情報保護法の成立時点(2026年7月)で公表されている情報に基づく一般的な解説です。連絡可能個人関連情報の具体的な取扱いなどの詳細は、今後、個人情報の保護に関する法律施行規則(以下「委員会規則」といいます)やガイドライン等の整備状況により変わり得ます。施行日を含め、最新の情報をご確認ください 1


 なお、本稿における「法」とは個人情報保護法を指し、また、特に断りのない場合、同法の条文は改正後のものを示します。

連絡可能個人関連情報とは

法律上の定義と新設の背景

(1)連絡可能個人関連情報の5つの類型

 連絡可能個人関連情報は、法2条8項に新設される定義です。「特定の個人に対する連絡その他の情報の伝達に利用することができる一定の記述等」を含む個人関連情報をいい、具体的には次の5つの類型が定められています(同項1号〜5号)。

住所等

住居・勤務先その他、特定の個人が所在し、または所在していた場所の所在地。ただし、郵便・信書便・電報の送達または訪問に利用できるものに限られる。

電話番号

電話またはファクシミリ送信に利用できるものに限られる。

電子メールアドレス

特定電子メール法上の電子メールアドレスで、特定の個人への電子メール送信に利用できるものに限られる。

オンライン上の識別符号

電気通信設備を利用する者または電気通信設備を識別するために付された符号で、特定の個人への電気通信を利用した情報の伝達に利用できるもの。IPアドレスや端末識別子などが想定される。

その他委員会規則で定める記述等

今後の委員会規則の定めにより追加され得る。

 さらに、これらの記述等がデータに直接含まれていなくても、他の情報と容易に照合でき、それによりこれらの記述等を特定できるものも対象に含まれます(詳細は1-3をご参照ください)。
 この定義のポイントは、「特定の個人を識別できるか」ではなく「特定の個人に到達(連絡・接触)できるか」に着目している点にあります。

(2)連絡可能個人関連情報が新設された背景

 連絡可能個人関連情報の新設の背景は、次のように整理できます。

  • 実際の被害は、個人が誰であるかがわかること自体よりも、詐欺・違法な勧誘・取立て・つきまとい・迷惑メールといった「接触行為」から生じることが多い。
  • 電話番号やメールアドレスは、それ単体では直ちに特定の個人を識別できないため、「個人情報ではないから比較的自由に扱える」と整理されがちだった。
  • 従来の個人関連情報の規律(法31条)は、主に「提供先で個人データとして取得されることが想定される場合」の第三者提供を捉えるもので、連絡・接触できる情報そのものを正面から規律する構造ではなかった。

 そこで改正法は、個人関連情報の中から「特定の個人に連絡できる」危険性の高い類型を切り出し、不適正利用・不正取得の禁止を課すこととしました(詳細は3をご参照ください)。

「個人情報」「個人関連情報」との関係

 連絡可能個人関連情報と関連する用語として、個人情報(法2条1項)と個人関連情報(法2条7項)があり、個人情報保護法上の関係性は以下のように整理できます。

連絡可能個人関連情報のイメージ:個人情報保護法における「個人情報」「個人関連情報」との関係

連絡可能個人関連情報のイメージ

 連絡可能個人関連情報は、個人情報には該当せず、あくまで個人関連情報 2 の一部という位置づけです。
 個人関連情報とは、生存する個人に関する情報で、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報のいずれにも該当しないものであり、Cookieや広告ID、Webの閲覧履歴、位置情報などが典型例です。

 個人情報と個人関連情報は、「特定の個人を識別できるかどうか」で区別され、両者は重なりません。したがって、ある情報が個人情報に該当するのであれば、連絡可能かどうかにかかわらず、個人情報としての規律(利用目的、適正取得、第三者提供、開示等)が全面的に及びます。
 連絡可能個人関連情報の規律は、個人情報には至らない段階の「受け皿」として機能します。

 なお、個人情報該当性は、他の情報と容易に照合できるかを含めて判断されます(法2条1項1号)。社内の別の台帳と突合すれば氏名等にたどり着ける情報は、そもそも個人情報に該当し得ます。連絡可能個人関連情報かどうかを検討する前提として、まず個人情報に該当しないかを確認することが重要です。

「他の情報と容易に照合することができるもの」の意味

 法2条8項の柱書は、1号から5号までの記述等がその情報に「直接含まれる」場合だけでなく、次のかっこ書きの場合も連絡可能個人関連情報に含める旨を定めています。

法2条8項柱書
この法律において「連絡可能個人関連情報」とは、次に掲げる記述等が含まれる個人関連情報(他の情報と容易に照合することができ、それにより次に掲げる記述等を特定することができることとなるものを含む。)をいう。

※下線は筆者

 つまり、そのデータ自体に住所・電話番号・メールアドレス等が記載されていなくても、事業者が保有する他の情報と容易に照合することで、これらの記述等(連絡先)を特定できる状態にあるものも、連絡可能個人関連情報に当たります。

 実務上は、データ単体で判断するのではなく、自社が保有する変換表・対応表・関連データベースまで視野に入れて、「照合すれば連絡先に到達できるか」という観点から棚卸しを行うことが重要です。特に、ID・ハッシュ値・Cookie等を「個人情報でも連絡先でもない」として扱ってきたデータフローについては、変換表・突合可能性の有無を改めて確認する必要があります。

 上記のかっこ書きには、次のような意味があります。

(1)「保有」ではなく「到達可能性」で判断

 判断の基準は、「(そのデータ自体に)連絡先を持っているか」ではなく、「(他の情報との照合により)連絡先に到達できるか」です。
 たとえば、会員IDや端末IDだけが記録されたデータであっても、社内に「会員ID→メールアドレス」といった対応表(変換表)を保有していれば、容易照合により連絡先を特定できるため、対象となり得ます。

 もっとも、その対応表により氏名等で特定の個人を識別できる場合には、当該データはそもそも個人情報(法2条1項1号)に該当し、個人関連情報には当たりません。この場合は連絡可能個人関連情報ではなく、個人情報としての規律が全面的に及びます。柱書のかっこ書きが機能するのは、照合により「連絡先」には到達できるが「特定の個人の識別」には至らない場面です。

(2)ハッシュ化・仮名化=当然に対象外ではない

 ハッシュ化した連絡先や仮名化したIDであっても、元の連絡先に戻せる変換表やキーを保有している場合には、「連絡先を含まないデータだから対象外」という整理は成り立ちにくくなります。「ハッシュ化したから対象外」「IDだけだから対象外」という整理を、変換表・突合可能性を検証しないまま用いることはできません。

(3)事業者ごとに相対的に判断

 「容易照合性」は、個人情報の定義(法2条1項1号)と同じ発想であり、事業者ごとに相対的に判断されます。同じ会員IDのデータでも、変換表を保有するA社では容易照合性が認められて対象となる一方、変換表を保有しないB社では対象とならない、ということが起こり得ます。自社が現に保有している他の情報を前提に判断する必要があります。

(4)「容易」性の限界

 要件は「容易に」照合できることです。特別な調査や多大なコストを要して初めて連絡先を割り出せるにすぎない場合は、直ちには含まれないと考えられます。もっとも、通常の業務の範囲で突合できる体制・台帳があれば「容易」と評価されやすい点に留意が必要です。

連絡可能個人関連情報の具体例

該当するもの

 連絡可能個人関連情報の該当性の判断ポイントは、「連絡先を保有しているか」ではなく「連絡先に到達できるか」です。1-1(1)で述べた類型別の具体例は、次のとおりです。

連絡可能個人関連情報に該当し得るもの

法2条8項

類型

具体例

1号

住所等(所在地)

住居・勤務先の住所(郵送・信書便・電報・訪問に利用できるもの)

2号

電話番号

固定電話・携帯電話の番号、FAX番号

3号

電子メールアドレス

特定電子メール法上の電子メールアドレス

4号

オンライン上の識別符号

IPアドレス、端末識別子(委員会規則・解釈次第でCookie・広告ID・アカウント識別子等)

5号

委員会規則で定める記述等

(今後の委員会規則により追加され得る記述等)

柱書かっこ書き

容易照合により特定できるもの

会員ID・端末ID・ハッシュ化した連絡先等で、変換表・突合可能な台帳を保有している場合
(ただし、照合により氏名等で個人を識別できる場合は個人情報に該当)

 法2条8項柱書の「容易に照合することができるもの」に注意が必要です。形式上は住所・電話番号・メールアドレスが記載されていなくても、社内の別データベースと突合すれば連絡先を割り出せる情報は、対象となり得ます(詳細は1-3をご参照ください)。

 なお、Cookie・広告ID等が上記の4号(または5号)に含まれるかは、今後の委員会規則・解釈に委ねられる部分があり、範囲の確定には注意が必要です。

該当しないもの

 連絡可能個人関連情報に該当しないものとしては、次のようなものがあります。

  • 特定の個人に連絡・到達する手段に結びつかない属性情報・行動履歴のみの情報
    (例:連絡先と結びつかない性別・年齢・職業や、単なる閲覧履歴)
  • 統計情報・匿名加工情報など、特定の個人との対応関係が排斥された情報
  • 個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報に該当する情報(これらはそもそも個人関連情報の定義(法2条7項)から除かれる)

 ただし、上記のうち属性情報・行動履歴のみの情報についても、他の情報と容易に照合して連絡先を特定できる場合には、対象となり得ます。もっとも、その照合により特定の個人を識別できる場合には、個人情報に該当し、個人情報としての規律が及びます。

連絡可能個人関連情報に関する規定

現行法の規定の振り返り

 現行法における個人関連情報の規律は、第三者提供に関する確認義務(現行法31条)が中心です。すなわち、提供先が個人関連情報を「個人データとして取得することが想定される」場合に、提供元は本人の同意が得られていること等をあらかじめ確認しなければならない、という仕組みです。

 他方で、個人情報については、次の規律があります。

  • 不適正な利用の禁止(現行法19条)
  • 偽りその他不正の手段による取得の禁止(現行法20条1項)

 しかし、これらは「個人情報」を対象とするものであり、個人関連情報には及びません。その結果、連絡先を含む情報であっても、個人情報に該当しなければ、不適正な利用や不正な取得が正面から規律されないという問題点があります。

改正法の規定との比較

 改正法(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律)は、この間隙を埋めるため、連絡可能個人関連情報について法31条の2を新設しました。

法31条の2(連絡可能個人関連情報の不適正な取扱いの禁止)
  1. 個人関連情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により、連絡可能個人関連情報を利用してはならない。
  2. 個人関連情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により、連絡可能個人関連情報を取得してはならない。

 これらは、個人情報についての法19条、20条1項に対応する規律を、連絡可能個人関連情報にも及ぼすものと理解するとわかりやすいでしょう。
 このほか、次の規定も整備されます。

  • 第三者が統計作成等を行う目的で必要な場合の提供特例(一定の公表・書面合意等を要件とするもの):法31条の3
  • 行政機関の長等についての同旨の規律(不適正利用・不正取得の禁止):法72条の2
  • 国内にある特定の個人への連絡等に利用できる連絡可能個人関連情報を外国で取り扱う場合の域外適用:法171条

 以上をもとに、改正法における連絡可能個人関連情報に関する主な規律を、個人情報と個人関連情報と比較しながら整理したのが下表です。

規律の対照表(個人情報/連絡可能個人関連情報/一般の個人関連情報)

凡例:◯=適用あり、△=一定の場合に適用、×=直接の規定なし

主な規律

個人情報

連絡可能個人関連情報

一般の個人関連情報

不適正な利用の禁止

◯(19条)

◯(31条の2第1項)*

×

不正な取得の禁止

◯(20条1項)

◯(31条の2第2項)*

×

第三者提供に関する規律

◯(27条以下)

△(31条=提供先で個人データ取得が想定される場合の確認)

△(31条)

利用目的による制限

◯(17条、18条)

×

×

漏えい等の報告・本人通知

◯(26条)

×

×

開示・訂正・利用停止等の請求

◯(33条〜40条)

×

×

* 連絡可能個人関連情報は、法31条の2(不適正利用・不正取得の禁止)が上乗せされる点で一般の個人関連情報とは異なる。

 なお、連絡可能個人関連情報は、あくまで個人関連情報の一類型であるため、個人情報・個人データを対象とする利用目的規制(法17条、18条)、要配慮個人情報の取得規制(法20条2項)、漏えい等の報告・本人通知(法26条)、保有個人データの開示・訂正・利用停止等(法33~40条)は、そのままでは直ちに及びません。まずは個人関連情報としての位置付けを前提に、31条の2を中核として整理するのが基本です。

企業に求められる対応

改正法の施行に向けたタイムライン

 改正法(個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律)は、2026(令和8)年7月10日に参議院本会議で可決・成立し、同月17日に公布されました。施行日は、一部を除き、公布日から2年以内の政令で定める日とされています。

 連絡可能個人関連情報については、法2条8項4号のオンライン識別符号の範囲や同項5号の記述等の内容、法31条の2の解釈など、委員会規則・ガイドラインによって具体化される部分が少なくありません。したがって、委員会規則・ガイドラインの整備状況やパブリックコメントの動向を注視しながら、段階的に準備を進めることが現実的です。

成立から施行までのタイムライン(イメージ)

時点

事項

2026年7月10日

参議院本会議で可決・成立

2026年7月17日

公布(令和8年法律第56号)

(施行までの間)

委員会規則・ガイドラインの整備、パブリックコメント
この間に企業は準備

公布から2年以内の政令指定日

施行(一部を除く)

成立から施行までのタイムライン(イメージ)

出所:個人情報保護委員会事務局「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けた 個人情報保護委員会の今後の取組(案)について」(令和8年7月31日)7頁

施行までに求められる実務対応

 改正法が施行されるまでの間に、連絡可能個人関連情報に関して企業として対応すべき項目としては、次のようなものが挙げられます。

(1)営業リスト・見込み客データベースの棚卸し

 電話番号・メールアドレス・所在地等を含むリストについて、取得元・取得態様・利用目的を整理し、「個人情報ではないから自由に扱える」という前提で運用していないかを点検します。

(2)契約の見直し

 データ購入契約、送客契約、マーケティング委託契約などについて、取得・利用・提供の適法性を担保する条項(取得態様の表明保証、利用目的の限定、再提供の制限など)を確認・整備します。

(3)スクレイピング・外部取得データの検証

 公開情報からの収集であっても、アクセス制御の潜脱・利用規約違反の自動取得・なりすまし登録等は態様によっては「偽りその他不正の手段」(法31条の2第2項)に当たり得ます。取得態様の適法性を慎重に検討する必要があります。

(4)生成AI・デジタルマーケティングの点検

 生成AIによる営業リストの補強、自動的な営業文面・勧誘スクリプトの生成、送客データベースの分析などは、その設計・利用態様によっては不適正利用(法31条の2第1項)に触れ得ます。特に「断りにくい相手」「心理的に脆弱な相手」を抽出して接触する運用は問題となりやすいといえます。

(5)社内規程・プライバシーポリシー等の整備

 営業部門のルール、プライバシーポリシー、Cookie・広告ID等の取扱方針を見直し、連絡可能個人関連情報を「本人に到達できる危険性の高い情報」として管理する体制を整えます。

その他の留意点

 容易照合性は、自社が保有する他の情報を前提に、事業者ごとに相対的に判断されます(法2条8項柱書のかっこ書き。上述1-3参照)。ID・ハッシュ値・Cookie等についても、変換表・突合可能性の有無を確認する必要があります。
 国会審議では、「郵便を配達できる住所等は、そもそも個人関連情報ではなく個人情報として整理すべきではないか」との指摘もされました 3。政府は、個人情報該当性は容易照合性を含めて判断される旨を整理していますが、連絡先データの取扱いは、実務上、個人情報に準ずるものとして一段引き上げて管理する運用が安全側といえます。

衆議院・参議院の附帯決議で示された方向性

 改正法の成立に際し、衆議院・参議院の各特別委員会は、それぞれ附帯決議(各14項目)を付しました。附帯決議は法的拘束力を持つものではありませんが、今後整備される委員会規則・ガイドラインの内容を方向づける「予告」として実務上重要です。
 もっとも、連絡可能個人関連情報を名指しした項目はなく、連絡先を含むデータの流通・利用に関わる項目が、実務上の関連事項となります。主に関連するのは、次の項目です。

連絡可能個人関連情報に関連する衆参附帯決議の主な項目

項目

内容の要旨

連絡可能個人関連情報との関係

プロファイリング規制
(第5項)

閲覧履歴・購入履歴等から信条等の機微な情報を推知する精度の高いプロファイリングの普及を踏まえ、規制の在り方を諸外国の法制度等を基に引き続き検討(衆参共通)

Cookie・広告ID等を用いたターゲティング広告・送客は、法31条の2の不適正利用と隣接。将来の規制強化の可能性に留意

オプトアウト届出事業者・闇名簿
(第11項)

オプトアウト届出事業者の監視・監督を徹底。いわゆる闇名簿への流用等の重大な違反には、緊急命令・課徴金納付命令を速やかに発出(衆参共通)

連絡先を含む名簿の不正な流通は、法31条の2(不正取得・不適正利用の禁止)の中心的な問題意識と重なる。執行強化の方向

委員会規則の整備
(第1項)

委員会規則等の制定に当たり、あらかじめ関係者から意見を聴取し、透明性・予見可能性を確保(参議院は「幅広く聴取した意見を的確に反映」と表現を強化)

法2条8項4号(オンライン識別符号)・5号の範囲や法31条の2の解釈が委員会規則で具体化される。パブリックコメント等の活用が重要

※いずれも附帯決議の要旨です。第5項・第11項は衆参でほぼ共通し、第1項は参議院で表現が強化されています。

 これらの附帯決議は、連絡先を含むデータをめぐる規律が、プロファイリング規制の検討・名簿流通への執行強化・委員会規則の整備という形で、今後具体化・強化され得ることを示しています。連絡可能個人関連情報を「個人情報ではないから自由に取り扱える」とする運用は、立法・執行の両面からいっそう狭まる方向にあり、委員会規則・ガイドラインの整備動向やパブリックコメントの機会を注視することが重要です。

違反した場合のペナルティ

連絡可能個人関連情報の規律に違反した場合

 連絡可能個人関連情報の規律(法31条の2)に違反した場合、個人情報保護委員会による監督の対象となります。

  • 個人情報保護委員会は、報告徴収・立入検査、指導・助言、勧告を行うことができ、必要に応じて措置命令を発出する。
  • 措置命令に違反した場合には、行為者に対して1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され得る。法人に対しては、両罰規定により1億円以下の罰金が科され得る。

課徴金制度

 他方、改正法で初めて導入される課徴金制度(法148条の3以下)は、個人情報・個人データに関する一定の違反行為(不適正な提供・利用、法27条1項違反の提供、統計作成等特例の目的外利用、法20条1項違反の不正取得等)を対象とするものです。
 連絡可能個人関連情報についての法31条の2違反そのものは、この課徴金の直接の対象とはされていません

 もっとも、取り扱う情報が実際には個人情報に該当する場合には、個人情報としての規律違反として課徴金の対象となり得ます。また、行政上の措置や罰則にとどまらず、レピュテーションの毀損や民事上の責任といったリスクも生じ得ます。「連絡先だから軽い情報」ではなく「本人に到達できるから危険性が高い情報」として管理することが求められます。


  1. 個人情報保護委員会のウェブサイトなどをご参照ください。 ↩︎

  2. 個人関連情報は、令和2年改正で導入され、2022年4月に施行された概念です。 ↩︎

  3. 第221回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 第7号(令和8年5月14日) ↩︎

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