2021年ベトナムPPP法改正のポイント

国際取引・海外進出
原 智輝 弁護士 明倫国際法律事務所

 ベトナムでは、2021年1月1日より、PPP法が改正施行されると聞きました。この度の改正は今後のベトナムにおける投資活動にどのような影響を与えるのでしょうか。

 官民共同事業に関するPPP法については、投資プロジェクトの事業分野に関する見直しがなされ、PPP方式による投資環境が整えられました。PPP方式を利用する場合は各手続の流れを確認する必要があります。

解説

目次

  1. 改正の概要
  2. PPP事業分野の見直し

ベトナムにおいて日本企業が参画したこれまでのPPP事業

フーミー2−2ガス火力発電(BOT)(2002年)
*ベトナム初の民活発電事業
フーミー3ガス火力発電BOT(2003年)
*安定操業15周年で2019年に標章
ギソン2石炭火力発電BOT(2018年)

改正の概要

ベトナムにおいて、官民共同事業に関するPPP事業(Public Private Partnership)は、従前政令(No.63/2018/ND-CP)などにより行われていましたが、改正によりPPP法を中心に行われることとなります。

 改正の主要な点は、PPP事業分野の見直し、プロジェクト実施プロセスの整備、投資家の選定、PPP契約履行保証に関する規定、PPP契約内容に関する規定、資本構成やリスクシェアリングとなります。

PPP事業分野の見直し

 事業分野の見直しについては次の点が注目されます。

  • 削除された事業分野
    1. 公共照明システム、公園、自動車・車両・機械設備の駐車場・置き場、墓地
    2. 国家機関庁舎、公務用住宅、社会住宅、再定住住宅
    3. 文化、スポーツ、観光、科学技術・水文・気象
    4. 商業インフラ、都市区・経済区・工業団地・産業クラスター、ハイテクインフラ、インキュベーション施設、技術施設、中小企業を支援するコワーキングエリア
    5. 農業・農村開発、農業商品の加工・消費を伴う生産連携開発サービス
    6. 首相が決定するその他分野
  • 投資規模について
     プロジェクト投資金額の規模が2,000億VND(医療、教育・訓練は1,000億VND)以上が最低額となりました(O&M契約を除く)。

  • プロジェクト分類について
     従前は建設法によるA、B、Cのグルーピングにより区分されていましたが、改正PPP法では投資決定の決定権者により区分されることとなりました。そのため、改正法の決定権者は、国会、政府首相、大臣、人民委員会の4つの主体のうちいずれかとなります(改正PPP法4条)。

  • プロジェクト実施プロセス
     プロジェクト実施過程においては、投資が優先されるハイテクノロジーに属するプロジェクトと、これに該当しないその他の2つに区分されます。両者の違いは実施プロセスにあり、ハイテクノロジーに属するプロジェクトの場合は投資家の選定がプロジェクト承認前に行われ、選定された投資家がFS(Feasibility Study)報告書等を作成することが予定されています。逆にその他プロジェクトの場合は、プロジェクトが承認された後に投資家の選定が行われます。

     なお、投資家の選定は入札等の方式によります。投資家の選定については、従前ガイドラインが公表されていましたが、改正PPP法ではこれに加え、基本となる基準が明文化されています(改正PPP法41条、42条)。投資家が選定されると、PPP契約に基づき、当該投資家に対して、概ねプロジェクト総投資額の1%~3%の履行保証のためのデポジットが求められます。

  • PPP契約
     PPP契約については、プロジェクト期間の設定と売上の増減に併せたプロジェクトの期間修正が改正法により可能となりました(改正PPP法51条3項)。資本構成については、国の出資率が最大50%とされ、投資家の自己資本金は最低基準が15%とされました。これにより、従前総投資額に応じた最低自己資本金が設定されていたところ、一律の基準により取り扱うものとなりました。

     また、PPP契約を通じた事業において、提案段階の売上と比較し、25%以上の売上があった場合、超過分の50%を国と利益配分し、逆に25%以上の売上減が見られる場合には、超過下落分の50%を国と損失配分をするものとされています。

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