土壌汚染調査はどのような場合に要求されるか

不動産

 所有地を売りたいと考えておりますが、購入希望者から土壌汚染調査をして欲しいと言われています。しかし、土壌汚染調査をするためには相当の期間と費用が必要となるため、できれば土壌汚染調査をしないで売りたいのですが、土地の売主には土壌汚染調査をすることが法律上要求されるのでしょうか。

 工場跡地や大規模な土地を売却するような場合に、土壌汚染対策法や地方公共団体の条例によって土壌汚染調査をすることが法律上義務とされることがあり、そのような場合には調査をする必要があります。しかし、それ以外の場合であれば、たとえ土壌汚染のおそれはあったとしても、土地の売主は調査義務を当然に負うわけではありませんので、調査の要否や調査する際の費用負担などについては当事者間の交渉で決めることができます。

解説

目次

  1. 土壌汚染調査が必要とされる根拠(法定調査と任意調査)
  2. 法定調査の概要(土壌汚染対策法に基づく調査)
    1. 土壌汚染対策法とは
    2. 土壌汚染対策法に基づき調査義務が発生する場合
    3. 誰が調査義務を負うのか
  3. 条例などで土壌汚染調査が必要となる場合
  4. ダイオキシン類に注意
    1. ダイオキシン類に関する規制
    2. なぜダイオキシン類について調査義務がないのか
  5. 任意調査についての交渉の留意点

目次

  1. 土壌汚染調査が必要とされる根拠(法定調査と任意調査)
  2. 法定調査の概要(土壌汚染対策法に基づく調査)
    1. 土壌汚染対策法とは
    2. 土壌汚染対策法に基づき調査義務が発生する場合
    3. 誰が調査義務を負うのか
  3. 条例などで土壌汚染調査が必要となる場合
  4. ダイオキシン類に注意
    1. ダイオキシン類に関する規制
    2. なぜダイオキシン類について調査義務がないのか
  5. 任意調査についての交渉の留意点

土壌汚染調査が必要とされる根拠(法定調査と任意調査)

 ある程度の規模の土地の取引で、土壌汚染調査が求められることが増えています。ただし、一言で土壌汚染調査といっても、大きく、法律等により調査が必要とされる場合(法定調査)と、当事者の希望で任意に調査を行う場合(任意調査)の二つがあります。 法律等により調査が必要となる場合の典型例は土壌汚染対策法(一般に「土対法(どたいほう)」と呼ばれます)によって調査が要求される場合です。そのほか、条例で調査が要求される場合があります。
 もっとも、土地の取引に際して調査が実施される場合の多くは、当事者の希望で任意に実際されています。土壌汚染の存在を懸念する買主が調査を求めるのが一般的ですが、売主側で任意に行う場合もあります。

法定調査の概要(土壌汚染対策法に基づく調査)

土壌汚染対策法とは

 土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握や土壌汚染による人の健康被害の防止を目的とする法律で、平成15年2月に施行され、その後も何度か法改正がなされています。この法律に、誰がどのような場合に土壌汚染調査をすべきかが定められています。

土壌汚染対策法に基づき調査義務が発生する場合

 土壌汚染対策法上、調査義務が発生するのは、以下の3つの場合があります。

条文 どのような場合に義務を負うか 解説
3条 水質汚濁防止法上の「特定施設」を廃止する場合 「特定施設」とは、特定有害物質を使用する、鉱業、畜産、水産、食品、石油化学その他の業種における工場施設等のことをいいます。
4条 3000㎡以上の土地の形質変更を行った者による事前届出の結果、知事が土壌汚染のおそれありと認定した場合 「土地の形質の変更」とは、土地の掘削などのことをいいます。
5条
上記のほか、知事が、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれありと認定した場合 人の健康被害が生ずるおそれがあるか否かは、地下水の利用状況や、土壌汚染地に人が立ち入ることができるかなどにより判断されます。

 これらの調査は、土壌汚染対策法の条文に応じて、それぞれ「3条調査」「4条調査」「5条調査」などと呼ばれます。

 3条調査は、工場施設を廃止する際などに要求される調査です。
 4条調査は、対象地における形質変更(掘削等)の規模が大きい場合の調査です。ここで定められている「3000㎡以上の土地の形質」の基準となるのは、実際に土地の掘削等を実施する部分の広さのことであり、対象地の面積のことではありません。
 5条調査は、工場廃止や大規模な土地の形質の変更などの事情がなくても、人の健康被害の保護を理由に行政から要求される調査です。

誰が調査義務を負うのか

 いずれの調査においても、土壌汚染対策法上の調査義務を負うのは、その土地の所有者、管理者または占有者とされていますので、ほかに管理者や占有者にあたる当事者がいなければ、所有者である売主が調査義務を負うことになります。

条例などで土壌汚染調査が必要となる場合

 東京都の環境確保条例(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)を始め、各地方公共団体の定める条例により土壌汚染調査や対策が要求されることがあります。東京都の環境確保条例で要求される調査についてみると、工場設置者が工場を廃止しようとするような場合に要求される調査(いわゆる「116条調査」)と、3,000㎡以上の土地の改変を行おうとする者に要求される調査(いわゆる「117条調査」)があります。土壌汚染対策法と条例では、土壌汚染調査が求められる基準は必ずしも一致しません。

環境確保条例 どのような場合に義務を負うか 解説
116条 工場設置者が工場を廃止したり、工場や作業場の全部または一部除去しようとする場合 工場設置者は廃止や除却をしようとする日の30日前までに敷地内の土壌の汚染状況を調査して、その結果を知事に届け出る必要があります。工場設置者から土地を譲り受けた者がその義務を負う場合もあります。
117条 3,000㎡以上の土地の改変(土地の掘削その他土地の造成など)を行おうとする場合 土地の切り盛りや掘削など(土地の改変)を行おうとする者に要求される調査であり、工場設置者以外も義務を負います。地歴調査、汚染状況を調査して、その結果を知事に届け出る必要があります。

 「117条調査」とは3,000㎡以上の土地で、土地の切り盛りや掘削など(土地の改変)を行おうとする者に要求される調査ですが、土壌汚染対策法の4条調査とは異なり、土地の改変を行う面積でなく、対象地の面積が基準となります。つまり、対象地の一部だけ土地の改変を行うような場合、改変の対象となる面積は3,000㎡未満であっても、その対象地の面積が3,000㎡以上であれば調査が求められますのでご注意下さい。

ダイオキシン類に注意

ダイオキシン類に関する規制

 ダイオキシン類は、ダイオキシン類特別措置法で規制されています。しかし、土壌汚染対策法で規制される有害物質(特定有害物質と呼ばれます)と異なり、ダイオキシン類については、所有者等の法的な調査義務はありません
 また、東京都の安全確保条例などでも調査対象とされていません(なお、大阪府生活環境の保全等に関する条例など、一定の場合に調査義務が課される自治体もあります)。

なぜダイオキシン類について調査義務がないのか

 ただ、これはダイオキシン類が特定有害物質に比べて危険性が低いためではありません。むしろダイオキシン類は特に危険性が高い有害物質であるため、土地所有者等による民間の調査に委ねるのではなく、調査も含め公的に規制されるものとなっています。実際には、土地取引の場面でも、特定有害物質の調査に加え、ダイオキシン類の調査が求められることが多いですが、ダイオキシン類の特殊性、調査・対策費用が高額となることなどについては十分理解しておく必要があります。

任意調査についての交渉の留意点

 法律や条例による調査義務がなければ、原則として、売主は土壌汚染調査をしないまま売却することもできます。ただし、土壌汚染のおそれのある土地を調査しないで売却する場合、通常、買主からそのリスク相当額を売買代金額から減額するよう求められたり、契約後に汚染が発見された場合の調査・対策義務や損害賠償義務を負うことを求められることがあります。
 最終的には、売買代金の減額や損害賠償義務の可能性等と、任意の土壌汚染調査を実施する手間や費用等を総合的に考慮して、実施の有無等を検討する必要があります。

無料会員にご登録いただくことで、続きをお読みいただけます。

1分で登録完了

この実務Q&Aを見ている人はこちらも見ています

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

1分で登録完了

無料で会員登録する