マイナンバーを取得してから廃棄するまでに注意すべきポイント

IT・情報セキュリティ

 マイナンバーの取得から廃棄に至るまでの留意点について教えてください。

 個人番号の取得・利用・提供は、法令で決められた場合だけに限られています。これ以外の場合、個人番号は「取れない」「使えない」「渡せない」こととなっています。保管についても、必要がある場合だけ認められます。

解説

目次

  1. 個人番号の取得
    1. 利用目的の通知、公表
    2. 本人確認の方法
  2. 特定個人情報の利用・提供
  3. 特定個人情報の保管・廃棄

個人番号の取得

利用目的の通知、公表

 個人情報保護法上の「個人情報」の取得に際しては、利用目的の通知または公表で足ります。

 これに対して、番号法上の「特定個人情報」の取得に際しては、①番号法の範囲内で利用目的を特定して通知または公表をすることに加えて、②なりすまし防止のための厳格な本人確認が必要となります。

 民間事業者による個人番号の取得は番号法で定められた税と社会保険の手続に使用する場合のみ可能で、それ以外の目的(自社の顧客管理など)で取得することはできません。
 利用目的の特定としては、「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」などの例が挙げられます。

 利用目的の通知または公表の方法としては、社員へのメール等での通知、社内掲示板への掲示、イントラネットへの公表が考えられます。

本人確認の方法

番号の確認ができ、顔写真付きの身分証明書の提示が可能な場合

 本人確認は、なりすまし防止のため、番号確認(正しい番号であることの確認)のほか、身元確認(手続を行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認)が必要となります。

 顔写真付きの身分証明書である個人番号カードの場合は、これ1つで番号確認と身元確認が可能です。

 顔写真付きでない通知カードや個人番号が記載された住民票の写しの場合は、顔写真付きの運転免許証やパスポート等を身元確認のために求めることになります。

番号確認のための書類の提示が困難な場合

 個人番号カード、通知カード、個人番号の記載された住民票の写しといった番号確認のための書類の提示が困難な場合は、過去に本人確認の上で作成したファイル等の確認等が認められています。

顔写真付きの身分証明書の提示が困難な場合

 個人番号カード、運転免許証、パスポート等の身元確認のための書類の提示が困難な場合(顔写真付きの身分証明書を持っていない従業員)は、健康保険被保険者証と年金手帳などの2つ以上の書類の提示が必要となります。

身元確認書類が不要となる場合

 雇用関係にあるなど、人違いでないことが明らかな場合は身元確認書類不要となります。ただし、過去の本人確認と同等の確認をしたことが前提ですのでご注意ください。

 本人確認は、対面による確認のほか、郵送やオンラインによる方法等も認められています。

特定個人情報の利用・提供

 民間事業者は、個人情報保護法上の個人情報(個人データ)については、本人の同意があれば、利用目的の追加や第三者への提供が認められます。

 これに対して、番号法上の特定個人情報については、番号法で定められた社会保障・税に関する手続書類に従業員等の個人番号を記載して行政機関に提出することは認められますが、委託をする場合や一定の法令で認められた場合など限られた場合しか、民間事業者は個人番号や特定個人情報を利用・提供することはできません

 たとえば、個人番号を社員番号や顧客管理番号として利用することは、仮に本人の同意があってもできません。
 また、源泉徴収票作成事務の目的のみで取得した個人番号を健康保険・厚生年金関係事務のために利用することは本人の同意があってもできません。

 同様に、民間事業者は、従業員が他社に転籍する場合、本人の同意があっても、転籍先に当該従業員の個人番号の提供をすることはできません。個人情報保護法で認められている「オプトアウト制度」や「共同利用の制度」も認められていません。

 一方で、民間事業者は個人番号関係事務を他の事業者に委託をするために、特定個人情報を提供することは許されます。この場合、委託先に対する厳格な安全管理措置が求められます。

個人番号の利用・提供に関するポイント

個人番号の取得・利用・提供は、法令で決められた場合だけ
これ以外では、「取れない」「使えない」「渡せない

特定個人情報の保管・廃棄

 個人情報保護法上の個人情報については、利用しなくなった個人情報についての廃棄・削除義務はありません。(ただし、平成27年通常国会において成立した個人情報保護法の改正法により、利用しなくなった個人情報についての廃棄の努力義務が定められます)

 番号法上の特定個人情報は必要がある場合だけ保管が認められます。たとえば、翌年以降も継続的に雇用契約が認められる場合や法令によって一定期間保存が義務付けられている場合などです。

 保管義務期間が決まっている場合、その期間は個人番号を保管することができます。

 保管と廃棄について、特に注意すべき点は以下の解説も参照ください。

 参考:「マイナンバーの保管と廃棄について注意すべきポイント

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