- 発売日
- 2017年04月20日
- 出版社
- 法律文化社
- 編著等
- 滝川敏明
知的財産権[特許権]に関わる企業活動と米国・EUや日本・中国の競争法との関係を解説。ビジネスパーソンを対象に基礎知識を丁寧に解説し、図表や具体例を盛り込んで、企業活動の競争法上の問題点と適用範囲をわかりやすく示す。
目次
表紙
はしがき
目次
本書の見取図
本書の概要
第1章 知的財産権と競争法適用の調和
1 特許の排他権
2 特許濫発と「特許の藪」
3 特許の濫発を抑える方策
⑴ 申請特許の厳格審査
⑵ 進歩性の要件審査の徹底
⑶ ビジネス方法特許の制度改善
4 クレーム開示
5 クレーム開示と均等論―米国最高裁Festo 判決
⑴ 均等論の意義
⑵ 均等論とFesto判決
6 サブマリン特許
コラム1 ミッキーマウス法とフェアユース
7 特許の排他権と消尽論
⑴ 消尽論の意義
⑵ 消尽論の適用範囲
第2章 競争者間協調と競争法・独禁法―技術標準化とパテントプール
1 技術「標準化」のための協調行動
2 パテントプールのメリット
⑴ プール集積特許の「ワンストップショッピング」
⑵ 「特許の藪」と「ブロッキングパテント」の解消
⑶ バイオテク産業リサーチツールの「特許の藪」とパテントプール
⑷ 「ロイヤルティ積上げ」の解消
3 パテントプール・標準化団体での競争者間協調と競争法ガイドライン
⑴ 競争者間協調に対する競争法・独禁法規制
⑵ パテントプールの競争制限効果をどう防ぐか
⑶ 米国知財ガイドラインとパテントプール
⑷ EUの知財ガイドラインとパテントプール
⑸ 日本の知財ガイドラインとパテントプール
4 必須特許権者のFRAND 宣言―合理的ロイヤルティ額と無差別ライセンス
⑴ 特許権者がFRAND宣言する理由
⑵ ロイヤルティ・フリーからFRANDへ
⑶ FRAND条件の不明確性
⑷ パテントプールとの対比
5 ロイヤルティ額共同決定の競争法リスク軽減
⑴ ロイヤルティ額上限の事前表明が普及しない理由
⑵ 購買者カルテルとしての一括ロイヤルティ
⑶ 供給者カルテルとしての一括ロイヤルティ
⑷ 一括ロイヤルティの顧客利益
⑸ アメリカ「標準化団体促進法」
⑹ 一括ロイヤルティと反トラスト法
⑺ 一括ロイヤルティとEU競争法――通常合法
⑻ 一括ロイヤルティと日本独禁法――合法
コラム2 音楽著作権管理団体とJASRAC 独禁法事件
第3章 知財行使による競争者排除と競争法・独禁法
1 「競争者排除」規制か「搾取的濫用」規制か
⑴ 「技術導入契約」規制
⑵ 「搾取的濫用」規制
2 知財に認められた排他権と競争者排除行為規制
⑴ 競争当局のガイドライン
⑵ 「パテントスコープ」論
⑶ 米国最高裁アクタビス判決
3 競争者排除行為の規制基準
⑴ 市場支配力と不当性の2段階判定
⑵ 不当性判定についての国際的差異
4 知財ライセンス拒絶と競争法
⑴ 通常の取引拒絶と知財ライセンス拒絶
⑵ 取引拒絶が競争法に違反する場合
⑶ 競争法適用による「強制ライセンス」命令
⑷ ライセンス拒絶と米国反トラスト法
⑸ ライセンス拒絶とEU 競争法――「不可欠施設」論
⑹ ライセンス拒絶と日本の独禁法
⑺ ライセンス拒絶と中国独禁法
5 特許製品と非特許製品の抱合せと競争法
⑴ 特許プリンターと非特許インクの抱合せ
⑵ 特許プリンターと非特許インクの技術的一体化
コラム3 アイチューンズ/アイポッド抱合せと「デジタル著作権管理」
第4章 標準化ホールドアップと競争法・独禁法
1 「標準必須特許」の市場支配力
2 パテント・トロール問題
3 標準化団体によるホールドアップ対策
4 特許探索と開示義務
⑴ 特許開示義務付け――米国とEUの対応差
⑵ 開示義務のあいまい性
5 FRAND宣言と差止請求
⑴ FRAND 内容のあいまい性
⑵ FRAND 宣言趣旨からの差止め否定
⑶ 米国最高裁eBay判決
⑷ アメリカ国際通商委員会の輸入禁止命令
6 標準化ホールドアップと競争当局
⑴ 米国当局と反トラスト判例
⑵ EU――委員会の規制と欧州裁判所ファーウェイ判決
⑶ 日本の公取委2016年知財ガイドライン改定
⑷ 中国独禁当局クアルコム事件――「搾取的濫用」規制
7 民法上の権利濫用論と標準化ホールドアップ
⑴ ホールドアップに対する民法上の対処――契約法と不法行為法
⑵ 知財高裁アップル対サムスン判決――「権利濫用」論
8 FRAND宣言特許の合理的ロイヤルティ額
⑴ 特許一般についての合理的ロイヤルティ額
⑵ 標準必須特許についての合理的ロイヤルティ額
⑶ 必須特許の個数割りによる合理的ロイヤルティ額
⑷ 米国判例と日本知財高裁判決の共通論理
⑸ 中国ファーウェイ対IDC判決
第5章 知財ライセンス条項と競争法・独禁法
1 ライセンスに対する競争法適用の留意点
⑴ 製品市場・技術市場・研究開発市場
⑵ 「水平的制限」と「垂直的制限」の区別
⑶ 「技術内競争制限」と「競合技術排除」の区別
2 競争法と特許権の調整
⑴ 「技術内競争制限」と「パテントスコープ論」
⑵ 競争当局の好意的姿勢
⑶ 特許イコール市場支配力ではない
3 米国反トラスト当局の規制基準
⑴ 反トラスト当局の知財ガイドライン
⑵ ごく少数の当然違法条項以外は総合判断
⑶ 20%市場シェア以内のセーフハーバー(安全圏)
⑷ 用途分野制限と地域・顧客制限は合法
⑸ 垂直的価格制限――GE判決基準により合法あるいは合理の原則
⑹ 競合技術排除条項に対する合理の原則
4 EU欧州委員会の規制基準
⑴ ガイドラインの特徴とセーフハーバー数値
⑵ ブラックリスト該当のライセンス条項
⑶ セーフハーバー枠外ライセンス条項に対する総合判断
5 日本―公正取引委員会の規制基準
⑴ 「不公正な取引方法」規制がもたらすあいまい性
⑵ セーフハーバーとその限界
⑶ 水平的制限
⑷ 垂直的制限
⑸ 競合技術排除
6 中国の知財ガイドライン
⑴ 中国統一知財ガイドライン案
⑵ 高額ロイヤルティ規制
7 「競合技術排除」規制の米EU日中比較
⑴ 排他的グラントバック
⑵ 非係争条項(NAP条項)
⑶ 不争条項
事項索引
事件・判決 索引
著者紹介/底本奥付
電子版奥付