- 発売日
- 2020年09月18日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 中野公義
「リストラしようかと考えているのだが」と相談を受けたときに「整理解雇の4要素とは~」と説明したところで、相談者はどれだけ納得するでしょうか? 「協調性がなく勤務態度の悪い従業員を辞めさせたい」といった相談者について、何が問題となるか具体的にアドバイスできるでしょうか?本書は、およそ過去5年間の労働裁判例を中心に、解雇及び懲戒解雇を理由とする法律上及び事実認定上の裁判所の判断を整理してまとめたものです。
目次
表紙
目次
第1章 解雇に関する基礎知識
1 解雇及び労働基準法等による制限
(1) 定義 ~解雇とは?~
(2) 解雇制限 ~どのような場合に解雇が制限されるか~
(3) 解雇のための手続規定 ~予告期間or予告手当~
2 普通解雇の権利濫用無効
(1) 労働契約法16条 ~解雇が無効となる場合~
(2) 解雇事由の分類 ~整理解雇が難しい理由~
(3) 整理解雇の4要素 ~裁判例の蓄積~
(4) 内定取消し ~法律の規定?~
3 懲戒解雇と権利濫用無効
(1) 労働契約法15条 ~解雇と懲戒解雇の違い~
(2) 懲戒事由の追加 ~使用者が認識していなかった非違行為~
(3) 手続保障 ~弁明手続の付与~
第2章 解雇制限による解雇無効
1 労働基準法19条
(1) 1項本文違反の解雇の効力~ 「解雇してはならない」とは?~
(2) 休職期間満了 ~「自然退職」に労働基準法19条の適用はあるか?~
(3) 休業する期間~労災となっただけでは制限されない~
(4) 打切補償 ~使用者の災害補償義務に代わる労災保険給付~
(5) 裁判所の判断と行政の判断 ~どちらが優先するか~
2 労働組合法7条(不当労働行為)
(1) 不当労働行為の成立を認めた裁判例
(2) 不当労働行為の成立を否定した裁判例
3 均等法9条
(1) 均等法9条3項 ~解雇その他不利益な取扱いの禁止~
(2) 均等法9条4項 ~使用者の証明責任~
4 その他 ~申告を理由とする解雇その他不利益な取扱い~
第3章 労働契約法による解雇無効(普通解雇)
1 総論
(1) 各種解雇の比較 ~懲戒解雇は無効だが普通解雇は有効?~
(2) 注意・指導 ~重い処分に至る可能性を認識させること~
2 能力不足
(1) 能力不足 ~向上の見込みがあるか~
(2) 適格性 ~向いているかどうか?~
(3) 能力不足を基礎付ける具体的事実 ~客観的な数値化~
(4) 注意・指導等の留意点 ~解雇の必要性をなくすため~
(5) 専門的能力の不足 ~能力を期待して採用した場合
(6) 解雇回避努力 ~配置転換による能力の活用~
(7) 事業場の規模 ~小規模な事業場~
3 業務命令違反と勤務態度
(1) 業務命令違反 ~正当化する理由の有無~
(2) 業務命令違反と勤務態度 ~注意・指導に対する反発~
(3) 事業の種類や職種の性質 ~事業の基本理念等~
(4) 復職協議 ~団体交渉時の発言は復職命令か?~
4 休職期間満了による退職
(1) 解雇と自然退職の違い ~「解雇」は避けたい?~
(2) 主張立証責任 ~休職事由が消滅したこと~
(3) 休職事由消滅の判断資料 ~医師の診断書~
(4) 休職事由 ~就労不能の状態~
(5) その他 ~休職規定の適用等~
5 整理解雇
(1) 主張立証責任 ~手続が不相当であったことは労働者が証明~
(2) 整理解雇か否か ~整理解雇とは異なる理由の解雇の可否~
(3) 人員削減の必要性の程度 ~「高度の必要性」は認められない?~
(4) 解雇回避措置 ~希望退職の募集等~
(5) 事業の一部を閉鎖する場合 ~解雇回避措置が軽減されるか?~
(6) 人選の合理性 ~客観的で合理的な基準~
6 事業の廃止等に伴う解雇
(1) 会社解散に伴う解雇 ~事業の廃止は経営判断?~
(2) 解雇に至るまでの手続 ~通知・説明・再就職支援~
(3) 法人格否認 ~法人格の濫用・形骸化~
(4) 会社分割 ~契約承継についての協議の必要性~
7 その他の解雇
(1) 試用期間 ~採用時に知ることができなかった事実~
(2) 採用内定 ~解約権を留保した始期付労働契約~
(3) 期間の途中の解雇 ~「やむを得ない事由」~
(4) 経歴詐称 ~その経歴を重視して採用したかどうか~
(5) 不当な目的による解雇 ~労働者に対する嫌悪感~
8 手続上の諸問題
(1) 地位確認請求 ~異なる職種での勤務を命じる権利の存在~
(2) 死亡した労働者の地位確認請求 ~一身専属的な労働者としての地位~
(3) 解雇理由の追加主張の却下 ~時機に遅れた攻撃防御方法~
(4) 手続の相当性 ~解雇理由や退職に向けた協議の必要性~
(5) 手続違反 ~手続の瑕疵の軽重~
第4章 労働契約法による解雇無効(懲戒解雇)
1 規定の整備
(1) 規定の不備 ~規定にない種類の懲戒処分ができるか?~
(2) 就業規則の周知 ~周知による効力発生~
2 対象となる行為
(1) 事実の特定 ~5W1Hの特定~
(2) 証拠の信用性 ~長時間拘束した後の自白~
3 懲戒規定の適用
(1) 非違行為の程度 ~重大な損害発生の蓋然性~
(2) 情報漏洩 ~ハードディスクの持ち帰り行為?~
(3) 名誉・信用毀損 ~不特定の者への公表の有無~
(4) 私生活上の非違行為 ~私的行為に対する秩序罰?~
(5) 配転命令拒否 ~不当な動機・目的・著しい不利益~
(6) 債務不履行と非違行為 ~就労時間中の私的行為~
4 運用上の留意点
(1) 二重処罰の禁止 ~減給のち懲戒解雇は可能か?~
(2) 公平性 ~起訴されたか不起訴とされたか~
(3) 注意・指導の必要性 ~勤務態度の改善のため~
(4) 情状 ~反省の様子や過去の処分歴~
5 手続上の問題
(1) 弁明の機会 ~認否を求め弁解を聴く機会の付与~
(2) 予備的普通解雇 ~懲戒解雇が無効でも普通解雇なら有効か?~
(3) 退職金 ~請求が権利濫用となる場合~
第5章 保全手続
1 保全決定の概要
(1) 要件 ~被保全権利と保全の必要性~
(2) 被保全権利 ~保全すべき権利又は法律関係~
2 保全の必要性(賃金の仮払い)
(1) 賃金の仮払いの必要性 ~著しい損害又は急迫の危険~
(2) 仮払いの金額 ~保全の必要性の認められる範囲~
(3) 仮払いを命じる期間 ~本案の第1審判決まで?~
(4) 原状回復 ~仮払賃金の返還~
3 保全の必要性(地位保全)
(1) 地位保全の仮処分 ~任意の履行を期待する地位保全~
(2) 地位保全の必要性が認められる場合 ~特段の事情の存在~
4 賃金仮払いの不履行による役員の損害賠償責任
〈巻末資料〉
労働契約法(抄)
労働基準法(抄)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(抄)
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(抄)
労働組合法(抄)
民法(抄)
民事訴訟法(抄)
民事保全法(抄)
会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(抄)
商法附則(平成12年5月31日法律第90号)(抄)
参考裁判例一覧
奥付