- 発売日
- 2025年07月28日
- 出版社
- 日本加除出版
- 編著等
- 柿沼 太一、杉浦 健二
生成AIをはじめとするAIビジネスに関して、実務上問題となる法的論点を「開発者」「提供者」「利用者」それぞれの視点から解説。知的財産権、個人情報、機密情報、不正競争防止法、OSS、ライセンス契約、利用契約、知財・契約戦略、社内導入のポイントなど、現場で実際に発生している課題を中心に、法的論点とその解決手法を深掘りして記述。生成AI社内利用ガイドラインのひな形も複数掲載。
目次
表紙
はしがき
凡例
目次
第1章 AI開発・提供・利用に際して各事業者が検討すべき論点
1:AI開発者・AI提供者・AI利用者とは
2:AI開発者・提供者が検討すべき論点
(1) 法律面
(2) 契約面
(3) ガイドライン
3:AI利用者が検討すべき論点
(1) 法律面
(2) 契約面
(3) ガイドライン
(4) 社内業務に生成AIを導入する際のポイント
第2章 生成AI開発・提供・利用と著作権
1:生成AI開発・提供・利用と著作権
(1) 分析の視点
(2) 「開発・学習」段階と「生成・利用」段階の意味
(3) 開発・学習段階と生成・利用段階の著作物利用行為と著作権侵害
2:開発・学習段階における著作物利用行為と著作権侵害
(1) 問題となる場面
(2) 学習済みモデル生成のための既存著作物の利用(パターン1)
(3) 学習用データセットの公開(パターン2)
(4) 学習済みモデルの公開(パターン3)
3:生成・利用段階における著作物利用行為と著作権侵害
(1) 問題となるパターン
(2) 著作物利用行為の分類
(3) 問題となる論点〜依拠性・行為主体性・権利制限規定・故意過失・差止請求の範囲〜
(4) 既存著作物の「入力」について
(5) 類似AI生成物の「生成」について
(6) 生成された類似AI生成物の「利用」について
(7) 生成した類似AI生成物の「送信」について
(8) 生成・利用段階で著作権侵害行為が認められた場合の差止請求等の具体的内容
4:RAG・ロングコンテクストLLMと著作権侵害
(1) RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)とは
(2) RAGにおいて著作権侵害が問題となる著作物の利用行為
コラム RAGとライセンス・契約違反
(3) RAGの分類
(4) タイプ1
(5) タイプ2
コラム 画像生成AI サービスにおいて47 条の5は適用可能か
コラム タイプ1とタイプ2の間
(6) タイプ3(図78)
(7) タイプ4(図79)
(8) タイプ5(図80)
(9) タイプ6(図81)
(10) タイプ7(図82)
(11) タイプ8(図85)
5:AI生成物と著作物性
(1) なぜ議論する必要があるのか
(2) 従前の議論
(3) 「考え方」の記載内容
(4) 生成物の修正
(5) よくある質問
6:日本著作権法の適用範囲
(1) 準拠法について
(2) 事例1(図93)
コラム 契約上の請求
(3) 事例2(図94)
(4) 事例3(図95)
(5) 事例4(図96)
(6) 事例5(図97)
コラム 著作権者が外国企業かは無関係
7:まとめ:AI開発者・AI提供者・AI利用者それぞれの注意事項
(1) AI開発者
(2) AI提供者
(3) AI利用者
第3章 生成AI開発・提供・利用と著作権以外の知的財産権等
1:総論
(1) 対象とする著作権以外の知的財産権等
(2) 問題となる論点
(3) 著作権とそれ以外の知的財産権の異同
2:特許権
(1) 開発・学習段階(図4)
(2) 生成・利用段階(図5)
(3) AI生成物の保護
3:意匠権
(1) 画像意匠
(2) 開発・学習段階
(3) 生成・利用段階
(4) AI生成物の保護
4:商標権
(1) 開発・学習段階
(2) 生成・利用段階
(3) AI生成物の保護
5:不正競争防止法(商品等表示規制)
(1) 開発・学習段階
(2) 生成・利用段階
(3) AI生成物の保護
6:不正競争防止法(商品形態模倣品提供規制)
(1) 開発・学習段階
(2) 生成・利用段階
(3) AI生成物の保護
7:パブリシティ権
(1) パブリシティ権とは
(2) 著名人の「何」についてパブリシティ権が認められるのか
(3) パブリシティ権侵害に該当した場合権利者は何を請求できるのか
(4) 開発・学習段階
(5) 生成・利用段階
(6) 具体的事例の検討
8:肖像権
(1) 肖像権とは
(2) 開発・学習段階
(3) 生成・利用段階
(4) 具体的事例の検討
第4章 生成AI開発・提供・利用と個人情報、プライバシー、名誉毀損
1:本章の内容
2:個人情報、プライバシー、名誉毀損の基礎知識
(1) 個人情報
(2) プライバシー
(3) 名誉毀損
3:AI開発者と個人情報、プライバシー、名誉毀損
(1) 問題となる場面
(2) パターン1(AI開発者が個人情報を収集して学習用データセットを作成し、当該データセットでAIモデルを生成する行為)
コラム 学術研究機関等による要配慮個人情報の取得
(3) パターン2(学習用データセットを第三者に提供・公開する行為)
(4) パターン3(AIモデル(学習済みモデル)を第三者に提供・公開する行為)
(5) パターン4(生成AIサービスをクラウドサービスとして提供している場合における各行為)
4:AI利用者によるAIの追加学習等と個人情報、プライバシー、名誉毀損
(1) 問題となる場面
(2) ①自社領域で管理・運用するAIモデルの追加学習等を行う場合
(3) ②外部生成AIサービス(SaaS)を利用した追加学習等を行う場合
5:AI利用者によるAIの利用と個人情報、プライバシー、名誉毀損
(1) 問題となる場面
(2) 自社領域で管理・運用するAIモデルを利用する場合
(3) 外部生成AIサービス(SaaS)・外部APIを利用する場合
コラム AI開発者等の二重構造
(4) 第三者が提供するRAGサービスと個人情報保護法
第5章 生成AI開発・提供・利用と機密情報・営業秘密・限定提供データ
1:本章の内容
2:機密情報・営業秘密・限定提供データ
(1) 機密情報とは
(2) 自社の営業秘密
(3) 第三者から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報・営業秘密
(4) 限定提供データとは
3:AI利用者がAIの追加学習等に機密情報等を利用する際のポイント
(1) 問題となる場面
(2) 自社領域で管理・運用するAIモデルの追加学習等を行う場合
(3) 外部生成AI サービス(SaaS)を利用した追加学習を行う場合
4:AI利用者がAIに機密情報等を入力する際のポイント
(1) 問題となる場面
(2) 自社領域で管理・運用するAIモデルに入力する場合
コラム RAGと自社の営業秘密
(3) 外部生成AIサービスに入力する場合
第6章 AI開発とOSS・ライセンス
1:公開されているデータ等をAI開発に利用する際に検討すべき事項
コラム 紙の書籍の利用
2:対象物の分類
(1) 単体データ
(2) 学習用データセット(データベース)
(3) 学習済みパラメータ
(4) プログラム(ライブラリやモジュール等)
3:各ライセンスの概要
(1) ライセンスの基礎
(2) CCライセンス
(3) ODCライセンス
(4) OSSライセンス
(5) その他のライセンス
4:各ライセンスの詳細解説
(1) AI開発にとって重要な2つのポイント
(2) CCライセンス
コラム あるライセンスが付された著作物の「翻案物」について異なるライセンスを付して配布する場合には、元のライセンスよりも条件を緩めることはできないのはなぜか。
(3) ODCライセンス
(4) OSSライセンス① 寛容型ライセンス(Apache License 2.0、BSD、MIT等)
(5) OSSライセンス② 互恵的ライセンス
コラム 伝播性(伝搬性)とは
5:AI開発とCCライセンス、ODCライセンス、OSSライセンス
(1) AI開発とCCライセンス
(2) AI開発とODCライセンス
(3) AI開発と寛容型ライセンス(Apache License 2.0、BSD、MIT等)
(4) AI開発とGPLv3
(5) AI開発とそれ以外のライセンス
(6) まとめ
6:AI開発において、あるライセンスの下に公開されているデータ・DS・学習済みパラメータ(重み)を元に自分が作った成果物(データセットやプログラム、学習済みパラメータ)を「オープン」な形で公開するに際しての注意事項
(1) 考えなければならないこと
(2) 成果物にどのようなライセンスを付して公開したらよいか
第7章 生成AIサービス利用規約
1:生成AIサービス利用規約等の主なチェックポイント
(1) 個人情報・機密情報の観点
(2) 知的財産権の観点
(3) 一般条項の観点
2:具体例(OpenAI社のリーガルドキュメントを題材に)
(1) 個人情報・機密情報の観点
(2) 知的財産権の観点
(3) 一般条項の観点
第8章 AIシステム開発と知財戦略・契約戦略
1:AIシステムとは
2:AIシステム開発と知財戦略・契約戦略の全体像
(1) 対象物
(2) 「知財戦略」と「契約戦略」
3:前提知識
(1) プログラムにおけるアルゴリズムとコードの関係
(2) 特許権・著作権・営業秘密(不正競争防止法)の違い①どのようにすれば特許権・著作権・営業秘密が発生するか
(3) 特許権・著作権・営業秘密(不正競争防止法)の違い②保護範囲の違い
(4) まとめ
第9章 AIシステム開発と知財戦略
1:対象ごとの知財戦略
2:アルゴリズム・ノウハウの知財戦略〜秘匿化か権利化か〜
(1) 秘匿化と権利化
(2) 秘匿化と権利化をどう使い分けるか
(3) 秘匿化の具体的方法
(4) 権利化(特許化)の具体的方法
3:コードの知財戦略〜秘匿化+著作権による保護〜
4:学習済みパラメータの知財戦略〜秘匿化〜
5:プロンプトの知財戦略〜秘匿化+著作権による保護〜
第10章 AIシステム開発と契約戦略
1:よくある相談
2:交渉・合意のポイント
(1) ユーザ・ベンダ双方が納得する成果物の利用条件をゴールとして設定し、当該利用条件を達成するために合理的な交渉を行う
(2) AIシステム完成後のユーザ・ベンダの関係について認識を共有する
(3) 通常のITシステム開発と比較したAI システム開発の特殊性についてユーザ・ベンダが共通認識を持つ
コラム ガイドライン・モデル契約
(4) AIシステム開発の一般的なプロセスと様々なバリエーションを知る
(5) 当該案件の開発プロセスをスタート前の段階で大まかに合意する
(6) 開発プロセスにおけるフェーズごとに問題となる論点について合理的な交渉・合意をする
3:情報交換フェーズ
(1) NDAの内容
(2) 秘密情報の定義・範囲
(3) 知的財産権
(4) チェックリスト
4:コンサルティングフェーズ
(1) 業務内容
(2) 成果物・納品物
(3) 品質
(4) 知的財産権
5:PoCフェーズ
(1) 業務内容
(2) 成果物・納品物
(3) 品質
(4) 知的財産権
6:本開発フェーズ
(1) 業務内容
コラム ソフトウェア開発委託契約か共同研究開発か
(2) 成果物・納品物
コラム 成果物の納品有無と知的財産権の帰属の関係
(3) 品質(精度保証、検収、契約不適合責任)
コラム 外部AIサービスを利用するAI システムの精度保証
コラム AIの「品質」とは
(4) 知的財産権
コラム コンタミネーションリスク
コラム AIシステム本開発契約における学習用データセットの取扱い
コラム 業務の対価支払いと知的財産権の帰属
コラム 秘密保持義務との関係にも気をつけて
(5) 責任
(6) 競業禁止
7:利用フェーズ
(1) 通常の運用・保守契約
(2) 追加学習を含む運用支援契約
(3) ライセンス契約・SaaS契約
(4) 本開発したAIシステムを用いた共同事業(レベニューシェア等)
8:まとめ
9:生成AI利用システム開発契約
(1) 生成AI利用システムとは
(2) 生成AI利用システム開発委託契約と従来型AIシステム開発委託契約との共通点及び相違点
第11章 社内業務に生成AI システムを導入する際のポイント
1:全体像〜生成AIシステムを導入する目的と対応ポイント〜
2:技術・システム的対応〜安全なツール選定・システム構築〜
(1) 3つの生成AI 導入パターン
(2) 外部生成AIサービス選定の際のチェックポイント
(3) 自社システム開発・利用の際のチェックポイント
3:社内ルール対応〜社内生成AIガイドライン〜
(1) 2種類のガイドライン
(2) 生成AIをそのまま業務で利用するユーザ向けガイドライン(利用ガイドライン)
(3) 社内向けシステムとして追加学習・ファインチューニングを行ったりRAGを構築するユーザ向けのガイドライン(開発ガイドライン)
事項索引
あとがき
著者紹介
奥付