- 発売日
- 2019年06月25日
- 出版社
- 有斐閣
- 編著等
- 山本 弘
2018年3月に急逝した著者の論文集。民事訴訟法・倒産法の議論の深化に多大な貢献をしてきた著者の論文は,現在でも参照する意義が大きい。生涯にわたる研究の素となった発想を論じた「権利保護の利益概念の研究」をはじめとする,主要な論文を収録した。
目次
目次
初出一覧
権利保護の利益概念の研究
序――問題の提起及び関心の所在
第1章 権利保護請求権論の法技術的,法思想的前提
はじめに
第1節 私法的訴権論批判
第2節 抽象的公法的訴権論批判
第3節 R・シュミットの権利保護請求権論
まとめ
第2章 給付訴訟の権利保護の要件論
はじめに
第1節 給付請求権の訴求可能性論
第2節 「権利侵害(Rechtsverletzung)」要件論
第3節 請求権の権利保護の資格
第4節 給付の訴えの権利保護の必要
まとめ
第3章 確認訴訟の権利保護の要件論
はじめに
第1節 訴訟追行権と確認の利益――ヘルヴィッヒ
第2節 確認の訴えの権利保護の利益
結――権利保護請求権論における確認の利益概念の意義
権利能力なき社団の当事者能力と当事者適格
Ⅰ はじめに
Ⅱ 他人の権利についての訴訟追行権のあり方
Ⅲ 共同所有の形態論・共同所有者団体の組織法的規律と訴訟追行権・代表者の権限
Ⅳ 平成6年最判の検討
遺言執行者の当事者適格に関する一考察
Ⅰ はじめに
Ⅱ 受遺者および受益相続人との関係における遺言執行者の当事者適格の性質
Ⅲ 最近の判例の検討
Ⅳ おわりに
遺産分割の前提問題の確認の訴えに関する一考察――遺産確認の訴えの当事者適格を中心として
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最大決昭和41年3月2日民集20巻3号360頁
Ⅲ 確認対象としての遺産帰属性の適格性
Ⅳ 遺産分割の前提問題と固有必要的共同訴訟
Ⅴ 相続分の全部を他の共同相続人に譲渡した者の遺産確認の訴えの当事者適格
Ⅵ おわりに
遺産分割の前提問題と訴訟手続の保障――具体的相続分確認の適法性について
Ⅰ はじめに――問題の所在
Ⅱ 最判平成12年2月24日の事案および判旨
Ⅲ いわゆる相続分説(訴訟事項説)と遺産分割分説(審判事項説)の対立
Ⅳ 特別受益またはみなし相続財産の性質
Ⅴ 「ある贈与・遺贈が特別受益に当たること」の確認の適否
Ⅵ 検討――具体的相続分の権利性
Ⅶ むすびに
将来の損害の拡大・縮小または損害額の算定基準の変動と損害賠償請求訴訟
Ⅰ はじめに
Ⅱ 将来給付としての損害賠償請求と損害額算定基準の変動
Ⅲ 現在給付としての賠償請求における将来の損害発生の予測の齟齬
Ⅳ 発生が予測される後続損害についての賠償請求の懈怠と遮断効
Ⅴ おわりに――ZPO323条の「変更の訴え」との関係
判決理由中の判断の拘束力
Ⅰ はじめに
Ⅱ 争点効の根拠――敗訴結果に対する自己責任
Ⅲ 矛盾挙動禁止および権利失効の原則
Ⅳ 新堂説による「権利失効の原則」批判
Ⅴ 新堂・竹下論争の争点
Ⅵ おわりに
明示一部請求に対する相殺の抗弁と民訴法114条2項の既判力
Ⅰ はじめに
Ⅱ 相殺の抗弁と外側説
Ⅲ 外側部分の請求債権消滅に充てられた自働債権の額と既判力
Ⅳ おわりに
弁論終結後の承継人に対する既判力の拡張に関する覚書
Ⅰ はじめに
Ⅱ 形式説とそれに対する伊藤眞教授の批判
Ⅲ 分析
Ⅳ 従来の学説に対する疑問
Ⅴ 原点としての兼子説
Ⅵ 現在の有力学説の分析
Ⅶ おわりに
多数当事者訴訟
Ⅰ はじめに
Ⅱ 片面的独立当事者参加
Ⅲ 参加承継・引受承継の規定の整備
Ⅳ 同時審判の申出がある共同訴訟
権利主張参加の要件について――不動産の二重譲渡事例を中心として
Ⅰ はじめに
Ⅱ 参加制度を通じた紛争の一回的・統一的解決の実現
Ⅲ 参加制度機能拡大論の到達点
Ⅳ 判例・実務の「冷ややかな」対応
Ⅴ 学説の「反転」
Ⅵ 民訴法47条4項による40条準用の意義
Ⅶ 不動産の二重譲渡事例の権利主張参加該当性
Ⅷ おわりに
送達の瑕疵と民訴法338条1項3号に関する最近の最高裁判例の検討
Ⅰ 事実上利害が対立する者への補充送達と再審
Ⅱ 不実の公示送達・付郵便送達と再審
平成23年改正民事訴訟法における管轄権――併合請求および反訴を中心として
Ⅰ はじめに
Ⅱ 法改正前の判例の状況
Ⅲ 旧法下の判例法理を併合請求に適用した場合の問題点――その1 客観的併合
Ⅳ 旧法下の判例法理を併合請求に適用した場合の問題点――その2 主観的併合
Ⅴ 現行民訴法3条の6の立案過程
Ⅵ 改正法の下での解釈上の問題点
Ⅶ 反訴の管轄権
Ⅷ おわりに
法人格なき社団の財産に対する強制執行の方法――最判平成22年6月29日が残した問題点
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最判平成22・6・29の事案及び判旨並びに田原補足意見の概要
Ⅲ 法廷意見と有力説の理論的及び実践的な優劣
Ⅳ 法廷意見への疑問――社団を総有権確認の訴えの被告とする必要性
Ⅴ 債務者を被告とすべき実質的根拠及びそれに対する批判
Ⅵ おわりに
ドイツ連邦共和国における倒産法改正の試み――Ubertragende Sanierungの位置付けを中心として
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 倒産法委員会第一報告書の提案
Ⅲ 譲渡による企業更生劣後化の根拠
Ⅳ 譲渡による企業更生劣後化に対する批判
Ⅴ 市場適合性原則からの批判
Ⅵ 連邦司法省試案及び同参事官草案
Ⅶ むすび――試案及び草案における企業所有者の再建と譲渡による企業更生
破産法61条考
Ⅰ はじめに
Ⅱ 破産法61条[現58条]の存在意義
Ⅲ 再建型倒産処理手続における確定期売買の取扱い
Ⅳ 会社更生法の下での確定期売買の取扱い
Ⅴ 若干の解釈論
Ⅵ むすび
現行倒産法制における営業譲渡の規律
Ⅰ はじめに
Ⅱ 破産における営業譲渡
Ⅲ 会社更生における営業譲渡
Ⅳ 民事再生における営業譲渡
あとがき…高橋宏志
事項索引
判例索引
奥付