- 発売日
- 2016年08月23日
- 出版社
- 中央経済社
- 編著等
- 石嵜 信憲、橘 大樹、石嵜 裕美子
企業運営上、遵守が必要な労働条件を、経営環境の変化等で変更せざるを得ない場合を解説!企業が生き残るため、労働者の待遇を不利益に変更する際の実務を、法的に解き明かす。
目次
表紙
はしがき
目次
第1章 労働条件の設定と変更
第1節 従業員の労働条件を設定するもの
1 当事者間の合意
2 労働基準法による最低労働条件の設定
3 労働協約による労働条件の設定
4 就業規則による労働条件の設定
5 まとめ
第2節 従業員の労働条件を変更する方法
1 労働条件変更の3つの方法
2 労契法8条の合意原則と労契法10条
3 就業規則による不利益変更が認められる根拠
4 労働条件変更を検討する際の基本的視点
5 労働契約法7条,10条の周知
第2章 労働条件の不利益変更と判例法理
第1節 日本の雇用社会と労働条件の不利益変更
1 はじめに
2 世界経済のグローバル化と雇用社会の変化
3 労働条件の不利益変更が訴訟となる例は少ない
4 労働条件の不利益変更における実務と理論の一致
第2節 就業規則による労働条件変更の判例法理
1 はじめに
2 昭和期の最高裁判決
3 平成期の最高裁判決
第3節 第四銀行事件とみちのく銀行事件の相違点
⑴ 事案の共通点
⑵ 就業規則等に基づく既得権保障
⑶ 労働条件の改善
⑷ 特定層ねらいうちとの関係
第4節 判例法理の考え方の整理
⑴ 労働条件の一方的変更の要件
⑵ 高度の必要性
⑶ 極度の必要性
⑷ 賃金の計算方法の変更
⑸ 合理性の一応の推測
⑹ 応分負担の原則
第3章 労働条件変更の実務手法・その1(労働組合が関係しない場合)
第1節 労働条件変更に必要な手続
1 手続の重要性
2 合意,就業規則,労働協約
第2節 個別合意による変更
1 変更の合理性は問題とならない
2 黙示の同意
3 個別同意の取り方
4 就業規則改訂を忘れない
5 不利益変更に係る合意の有効性(最判平28.2.19)
第3節 就業規則改訂による変更
1 変更の合理性を担保する
2 7条の「合理性」と10条の「合理性」
3 変更後の就業規則の周知
4 届出,意見聴取の手続
第4章 労働条件変更の実務手法・その2(労働組合が関係する場合)
第1節 労働協約の規範的効力
1 労働協約とは
2 労働協約の規範的効力とは
3 規範的効力の例外
4 労働協約の締結を実現できない場合
5 過去に締結した労働協約の存在に注意
6 解約を忘れた場合は
第2節 労働協約の一般的拘束力
1 一般的拘束力とは
2 一般的拘束力の要件
3 一般的拘束力が及ぶ範囲
4 一般的拘束力の例外
5 一般的拘束力の要件を満たさない場合
第3節 実務手続の考え方の整理
⑴ 就業規則改訂を忘れない
⑵ 変更の合理性を満たすための措置をとる
⑶ 就業規則の実質周知
⑷ 同意を取得する場合は明示の同意と情報提供が重要
⑸ 労働組合がある場合は労働協約の締結を選択肢に
⑹ 既存の労働協約の終了手続を忘れない
第5章 賃金制度の変更
第1節 賃金変更の2つのタイプ
1 はじめに
2 経営難による賃金切下げ
3 人事制度の変更
第2節 賃金切下げの実務ポイント
1 業務上の必要性
2 切下げ幅の目安
3 特定層への不利益の偏りを避ける
4 経過措置,暫定措置
5 多数者の賛成
6 就業規則の改訂方法
7 経営難による賃金切下げの裁判例
8 手当の減額
第3節 人事制度変更の実務ポイント
1 不利益変更に該当するか
2 総額人件費の維持がポイント
3 変更の必要性
4 不利益の程度に関するポイント
5 評価手続を整備する
6 労働組合との交渉など
7 人事制度変更に関する裁判例
第4節 配偶者手当の見直し
1 平成28年4月検討会報告書
2 趣旨・目的
3 労働条件の不利益変更論
第6章 退職金・企業年金の変更
第1節 退職一時金の変更
1 退職金の変更とは
2 退職金減額と労働契約法10条
3 退職金減額の裁判例検討
4 退職金減額の実務上の考え方
5 成果主義移行に伴う変更の実務ポイント
6 従業員との個別合意,労働協約による変更
第2節 企業年金の変更
1 問題点
2 企業年金の減額・廃止の判断枠組み
3 裁判例における判断ポイント
第7章 労使慣行の是正・破棄
第1節 労使慣行の法的効力
1 労使慣行とは
2 労使慣行が法的効力を持つための要件
3 同種の行為又は事実の反復継続
4 労使双方の規範意識
5 就業規則,労働協約等に反する労使慣行
6 就業規則,労働協約の解釈基準となる労使慣行
第2節 労使慣行の是正・破棄
1 法的効力のない労使慣行の場合
2 法的効力のある労使慣行の場合
第3節 本章のまとめ
1 実務上の考え方
2 冒頭CASEについて
第8章 賞与の減額・不支給
第1節 賞与の減額・不支給と不利益変更論
1 はじめに
2 賞与請求権
3 賞与規定に応じたタイプ分け
4 賞与の減額・不支給のハードル
第2節 平成24年立命館事件判決をどう理解するか
1 問題点
2 事案の概要
3 判決のポイント
4 労使慣行の法的効力とその要件
5 判決に対する疑問点
第3節 本章のまとめ
1 実務上の考え方
2 冒頭CASEについて
第9章 福利厚生の廃止・変更
第1節 福利厚生と労働契約法10条の関係
1 労働条件のランク付け
2 事例検討
第2節 福利厚生の不利益変更─裁判例等の検討
1 単身赴任手当の打切り─アルプス電気事件
2 社宅の居住期間制限─ JR東日本事件
3 共同利用施設の廃止
4 作業服の無償提供の廃止
第3節 本章のまとめ
第10章 労働時間制度の変更
第1節 労働時間と労働契約法10条の関係
1 労働条件のランク付け
2 賃金減を伴う労働時間の変更
3 業務上の必要性のポイント
第2節 事例で見る労働時間の変更
1 所定労働時間の延長
2 所定労働時間の短縮
3 休憩時間の増加(拘束時間の延長)
4 始業・終業時刻の変更
5 休日の減少
6 休日の増加
7 休日の変更
8 残業代固定払いの導入
9 変形労働時間制の導入
10 フレックスタイム制の導入
11 裁量労働制の導入
12 結語
第11章 役職定年制の導入
第1節 役職定年制と不利益変更論
1 役職定年制とは
2 平成初期の制度導入と現在の制度導入の違い
3 労働契約法10条との関係
4 役職手当を対象とする場合
5 基本給を対象とする場合
第2節 役職定年制に関する裁判例
1 平成12年みちのく銀行事件判決(最高裁)
2 平成26年熊本信用金庫事件判決(熊本地裁)
3 平成16年第三銀行事件判決(津地裁)
第3節 裁判例を踏まえた実務ポイント
1 変更の合理性の考え方
2 役職定年年齢の設定について
第12章 休職規定の変更
第1節 休職と不利益変更論
1 休職とは
2 休職規定見直しの必要性
3 変更の合理性の考え方
第2節 事例で見る休職規定の変更
1 休職事由の追加─断続欠勤への対応
2 復職取消規定─繰返し欠勤への対応
3 休職期間の短縮
4 休職期間中の無給化
5 リハビリ出勤制度の新設
6 復職時の賃金引下げ
7 復職要件の変更
第13章 その他の労働条件変更
1 懲戒処分規定の変更
⑴ 懲戒事由の追加
⑵ 懲戒の程度の厳罰化
⑶ 退職金不支給・減額規定の新設・変更
2 降格規定の新設
⑴ 降格規定の必要性
⑵ 降格規定の新設と労働契約法10条
⑶ 職務等級制における降格
3 国内出向規定の新設
4 海外転勤・出向規定の運用
⑴ 規定の必要性と従業員の不利益
⑵ 海外転勤について
⑶ 海外出向について
⑷ 海外派遣特別加入制度
第14章 有期契約労働者の労働条件変更
1 はじめに
2 期間途中の場合
3 期間満了時の場合
⑴ 問題点
⑵ 雇止めか,新契約の不成立か
⑶ 平成22年河合塾事件判決
第15章 労働協約の役割
第1節 労働協約による不利益変更
1 はじめに
2 組合員に対する効力(労組法16条)
3 非組合員に対する効力(労組法17条)
第2節 労働協約終了後の法律関係
1 問題点
2 学説の状況
3 戦前・戦後の労働協約の実態
4 空白が問題となる場合
〈理解度チェック・回答〉
著者紹介
奥付