- 発売日
- 2026年03月16日
- 出版社
- 中央経済社
- 編著等
- 佐久間弘明
AIにつきまとう漠然とした不安の正体とは。AIを取り巻く批判的な言説から「AIリスク」が何を指すかを読み解き、建設的に議論を進めるための思考の機軸と道筋を示す。
目次
表紙
はじめに
目次
第1章 AIのリスクはどのように語られ,広がったか
1.1 生成AIの流行
1.2 政策決定者のAIリスク言説:日米欧の異なるアプローチ
日本の議論動向
米国の議論動向
EUの議論動向
1.3 社会運動のAIリスク言説:在野プレイヤー間での協働と反発
第2章 言説のフレーミング分析というアプローチ
2.1 「リスク」は必ず語られることで存在する
2.2 リスク社会学とリスクコミュニケーション研究
2.3 リスク言説のフレーミング分析という方法
2.4 フレーミングのテーマの設定
主題の特定
損害の評価
利益の評価
対策の存在
リスク言説のフレーミングのテーマ
第3章 政策決定者のAIリスク言説
3.1 資料の概要と分析の方向性
G7・OECD
AI Safety Summit
米国
EU
日本
分析の方向性
3.2 主題のフレーミング:幅広いAI利活用への着目
主題の認識:幅広いAIの利活用
リスクベースアプローチ
まとめ:幅広い行為を主題化
3.3 損害のフレーミング
損害の認識:発生原因に着目した3類型の問題
高度化起因の損害をめぐる認識の相違
まとめ:幅広い損害が扱われるが,一部の認識に相違
3.4 利益のフレーミング
利益の認識:社会全体にもたらされる恩恵
AIを活用しないことのリスク
まとめ:利益を強調し,AI利活用を奨励
3.5 対策のフレーミング
対策の認識:各主体を担い手とするリスク管理
対策のインセンティブ設計
まとめ:各主体に損害の防止・低減を求める
3.6 政策決定者によるAIリスクのフレーミング
第4章 社会運動のAIリスク言説
4.1 資料の概要と分析の方向性
FLI
PAI運動
DAIR
分析の方向性
4.2 主題のフレーミング
FLI・PAI運動による主題の認識:高度なAIへの注目
DAIRによる主題の認識:幅広いAIの利活用
まとめ:一部の開発行為か,幅広い利活用か
4.3 損害のフレーミング
FLI・PAI運動による損害の認識:長期的な脅威への警戒
DAIRによる損害の認識:足もとの権利侵害や差別への警戒
まとめ:損害をめぐる鋭い認識対立
4.4 利益のフレーミング
FLI・PAI運動による利益の認識:過当競争か,人類への福音か
DAIRによる利益の認識:限られた人間への恩恵
まとめ
4.5 対策のフレーミング
FLI・PAI運動による対策の認識:開発停止によるモラトリアム
DAIRによる対策の認識:強い規制による対応
まとめ:規制・ガバナンスの方向性に相違
4.6 社会運動によるAIリスクのフレーミング
第5章 フレーミング対立と「責任」のありか
5.1 AIリスクをめぐるフレーミング対立
主題のフレーミング:損害に準拠した差異
損害のフレーミング:「高度化起因の損害」をめぐる認識対立
利益のフレーミング:利益と損害の範囲をめぐる認識対立
対策のフレーミング:規制か,自主的な取組か
まとめ:政策決定者と社会運動のフレーミングのすれ違い
5.2 リスクと責任:ルーマン理論における2つの観察図式
フレーミング分析をルーマン理論とつなげる
リスクの2つの観察図式:自ら決めたことか,「押し付け」か
フレーミングから「リスク/危険」の帰属を理解する
5.3 AIリスク言説を「リスク/危険」図式から読む
政策決定者の提示する「集合帰属モデル」
社会運動の提示する「部分帰属モデル」
補足:AIエコシステムの視点と「リスク/危険」
集合帰属モデルと部分帰属モデル
5.4 利益のフレーミングの重要性
第6章 リスクを見通し,乗り越えるために─「フレーミング予測」の提案
6.1 AIリスク「対策」の鍵となる技術とコミュニケーション
技術とコミュニケーションの視点
AIリスク対策はステークホルダーのリスク認識から始まる
6.2 リスクの「フレーミング予測」
Step1:パースペクティブの特定
Step2:リスクフレーミングの予測
Step3:リスク対策の検討
6.3 ケーススタディ①採用AIにおけるフレーミング予測
主題のフレーミング:不採用は誰の行為によるものなのか?
損害のフレーミング:「不採用」の裏にどのような問題がありうるか?
利益のフレーミング:A社/採用候補者にとってAI判定は「得」なのか?
対策のフレーミング:採用候補者が求める対策は何か?
採用候補者への損害は「危険」として経験される
技術とコミュニケーションの両輪でリスク対策計画を練る
6.4 ケーススタディ②音声生成AIにおけるフレーミング予測
主題のフレーミング:AIの開発〜利用のうち,どのフェーズが問題になるか?
損害のフレーミング:個人としての声優と,労働者集団としての声優
利益のフレーミング:AI声優は誰を利するのか?
対策のフレーミング:どのようにAIの影響を補償するのか?
声優への損害は「危険」として経験される
技術とコミュニケーションの両輪でリスク対策計画を練る
終章 本書でわかってきたこと
「今,ここ」と「これから」のAIリスクを考える
なぜ話が噛み合わないのか
今後の課題
対立を理解し,乗り越えるために
おわりに
引用・参考文献
奥付