- 発売日
- 2025年12月15日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 吉川美華
現代韓国の血統主義が、実は植民地期に日本の法整備によりもたらされた、日本由来の「創られた概念」であることを明らかにする。
目次
表紙
目次
はじめに──現代韓国の父系血統をめぐる起源の再考
凡例
序章 先行研究において抜け落ちた視角と本書の視角枠組み
1 植民地政策批判の再考
1-1 同化政策批判への批判
2 近代化という名の日本化を克服する議論──植民地近代性論、又は植民地的近代
2-1 植民地近代性論の視角
2-2 植民地近代性論の問題点
2-3 植民地近代性論の指標となる日本型近代と朝鮮の儒教との交差
3 本書の進め方
3-1 視角枠組み
3-2 史料の妥当性
3-3 本書の構成
第1部 ──韓国併合以前の日本と朝鮮の世代承継と血統
第1章 植民地朝鮮に持ち込まれた血統とは何か
1 明治期日本の世代承継と血統
2 明治期日本と東アジアの血統観の相違点と日本型血統観の普遍化
3 小括
第2章 朝鮮時代の私領域における規範上の婚姻と親子
1 朝鮮時代の国制書の編纂方式──一貫した規範の維持
2 国制書をとおして見る父子の生物学的つながりに対する認識の変遷
3 庶孽の後嗣をめぐる観念の生成
4 小括
第3章 公領域での朝鮮時代の庶孽差別
1 科挙受験に及ぼす実母の婚姻上の立場
2 庶孽禁錮之法の緩和
3 刑法大全の施行までの経緯と制度上の庶孽差別の「消滅」
4 小括
第4章 「三宗の血脈」と英祖の憂鬱
1 王位継承の要件
2 世子の選定と王位継承の風儀
3 景宗──英祖の王位継承「三宗の血脈」の誕生
4 小括
第2部 ──植民地朝鮮における旧慣温存政策のあとさき
第5章 旧慣温存政策の朝鮮民事令への波及
1 日本の司法権の拡大と旧韓国の司法の委縮
2 日本人司法官の手による旧韓国の法治国家化の頓挫
3 「帝国憲法の適用」と朝鮮の慣習
4 朝鮮民事令と旧慣温存政策
5 小括
第6章 植民地朝鮮の法源となる慣習の認定過程
1 梅謙次郎と旧韓国の司法整備
2 慣習調査事業と「慣習調査報告書」の作成方針
3 各地の慣習調査報告と朝鮮総督府の「慣習調査報告書」
4 小括
第7章 民籍法における「朝鮮の慣習」という名の日本型父系血統主義の導入
1 民籍法以前の戸籍制度にみる戸籍の機能
2 民籍法の制定
3 民籍法改正による「家」と日本型父系血統主義の導入
4 小括
第8章 裁判における日本型父系血統の「朝鮮の慣習」化
1 史料と先行研究
2 日本と朝鮮の血統概念の枠組みの相違
3 朝鮮時代後期の父子の推定の事例
4 朝鮮民事令施行前の日本人裁判官の判断──庶子相続権ヲ有スルコトハ韓国ニ於ケル法則ナリ
5 朝鮮民事令施行後の日本人裁判官の「慣習に依る」判断
6 判断の変更──庶子がいる場合の養子縁組は名門勢家各自の一個の専断行為
7 小括
第9章 姓は男系の血統の標識・氏は家の称号
1 朝鮮民事令における旧慣温存政策の目的
2 朝鮮民事令の制定と改正
3 朝鮮民事令第一一条の一九三九年改正
4 姓氏の概念規定と政策の亀裂──「姓は男系の血統の標識・氏は家の称号」
5 皇民化政策の亀裂のその先
6 小括
第10章 韓国の民法制定過程に見る父系血統主義の誕生
1 民法制定のプロセス
2 血統の自画像と家族法
3 国会審議に見る男系血統主義と戸籍
4 父系血統主義の「解体」の始まり
5 小括
終章 植民地朝鮮における「父系血統主義」と司法政策の臨界
1 朝鮮半島における父系血統の系譜
2 植民地朝鮮という二重拘束(ダブル・バインド)の空間の効果
3 受身の主体とヘゲモニーへの同意──再生産される植民地近代性
4 日本は血統を重視しない文化なのか──日韓の比較家族史・家族社会学・日韓比較文化論・ジェンダー研究
5 本書の限界と展望──日本型血統概念から波及した研究の再考に向けて
資料及び参考文献
韓国の礼との出会い──あとがきにかえて
奥付