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ヴェーバー理論の研究と「精神構造」としての天皇制

発売日
2023年11月20日
出版社
日本評論社
編著等
長山恵一

長年の精神療法の臨床研究が辿りついた知の沃野。既存の社会諸科学との鋭利な格闘を通して天皇制の謎=本質に迫る瞠目の論考。

目次

表紙

はじめに――本書の概要

目次

第1部 ヴェーバー社会学の認識論・方法論・支配の〔正当性/正当化〕論の整理・検証

第1章 ヴェーバーの支配の〔正当性/正当化〕論の概説――諸家の議論の整理を通して

Ⅰ はじめに

Ⅱ 『経済と社会』(新稿)を中心とした支配の正当性Legitimitätにかかわる議論

Ⅲ 『経済と社会』(旧稿)を中心とした支配の正当性論について

第2章 ヴェーバーの行為論的社会学の方法論の整理・検証

Ⅰ 「個人の行為論」の系列

Ⅱ 「関係論・コミュニケーション論」の系列

Ⅲ 「社会組織論」の系列――「目的結社」「アンシュタルト」と「団体」

Ⅳ ヴェーバーの行為論的社会学に隠されている方法論的な二重構造(二相性)

第3章 ヴェーバーの社会科学的認識論の整理・検証

Ⅰ ヴェーバーの社会科学的認識論で抑止・排斥された脱構築の経験相と認識論における二項対立

Ⅱ 脱構築、差延、同一性の存在論的二重性にかかわる哲学・思想的な系譜

Ⅲ 精神療法における自己超越的な脱構築の経験(自己洞察体験)の実際

第4章 支配の[正当性/正当化(Legitimität/Legitimieren)]の二相性

Ⅰ ヴェーバーの支配の正当性Legitimitätと支配の正当化Legitimieren・Legitimationにかかわる諸家の議論の整理・検証

Ⅱ [支配の正当性/支配の正当化(Legitimität/Legitimieren)]の二相性について――松井の「諒解」研究とヴェーバーの「政治ゲマインシャフト」論を中心に

第2部 ヴェーバー理論における「カリスマ」論の混乱

第5章 ヴェーバー支配論における「カリスマ的支配」と「カリスマ(カリスマ体験・カリスマ状態)」

Ⅰ ヴェーバー支配論における「カリスマ」と「カリスマ的支配」の混乱について――佐野誠の論考を通して

Ⅱ ヴェーバー理論の合法性Legalität と正当性Legitimitätについて――水林論文(2007)を通して

第6章 ヴェーバーの宗教社会学における「カリスマ体験(観照=神秘論)」の位置づけ――二種類の『禁欲』(カルヴァン派的な禁欲と伝統的な禁欲)の意味論の違いと〔(伝統的な)禁欲/観照〕論にみられるヴェーバー宗教社会学の理論的混乱とジレンマ

Ⅰ 近代組織(近代社会)を生み出した『禁欲』――カルヴァン派にみられる『禁欲』の特異性:『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の原理的な問題

Ⅱ ヴェーバーの〔禁欲/観照〕論の混乱――「プロテスタンティズム的な禁欲」と「伝統的な禁欲」の原理的な違いを「禁欲」「観照」の場所的な違い(現世内、現世外)の問題として論じようとしている

Ⅲ ヴェーバーの宗教社会学における「カリスマ体験(カリスマ状態)」の位置づけ

第7章 「カリスマ体験(カリスマ状態)」の理論的な不備とヴェーバーの人間学の構造的特質――「方法論的合理主義」「価値自由」「価値討議」と精神科学的『診断学』の方法論的な共通性と精神療法的ダイナミズムの欠落

Ⅰ ヴェーバーの方法論的合理主義――文化・歴史的事象に対する診断学的方法(ヴェーバー理論における「合理性」「合理化」の意味)と精神病理学的診断学(ヤスパース)・精神療法的診断学(フロイト、アンナ・フロイトの防衛機制論)との方法論的な類似性

Ⅱ 行為の合理性と行為者間の関係性(の対称/非対称)および「諒解」概念――ヴェーバー理論における〔目的合理性/価値合理性〕〔目的合理性/整合合理性〕と「諒解」概念の関連について

Ⅲ 「価値自由」「価値討議」の原理的方法論的な問題――対人的なコミュニケーションの原理的な理解とヴェーバーの「諒解」概念の特異性(諒解A+諒解B、そして諒解Cの欠落)、および洞察志向的精神療法の臨床経験からみえてくるもの

Ⅳ ヴェーバーの人間学に欠けているもの:「観照」の実現に不可欠な「伝統的な禁欲」の役割と機能、精神療法実践における「事実」と「価値」のダイナミズム――受肉化・合理化の二様態(「内的受肉化・合理化」と「外的受肉化・合理化」)との関連から

第3部 精神構造としての天皇制

第8章 「精神構造としての天皇制」――赤坂憲雄の天皇制論の整理・検証を通して

Ⅰ 赤坂憲雄の天皇制論の概略と古代天皇制について

Ⅱ 赤坂憲雄の天皇制論の問題の所在

Ⅲ 赤坂憲雄の象徴天皇制論について(その1)――二重王権としての非農業民の支配共同体

Ⅳ 赤坂憲雄の象徴天皇制論について(その2)――非農業民の支配共同体のコスモロジーと被支配者大衆である農業民のコスモロジーを「接合」する原理とは何か?

第9章 「精神構造としての天皇制」を論ずるための枠組みについて

Ⅰ ヴェーバー理論の検証からみえてきた天皇制(支配)を論じるためのポイント――支配のX軸のモーメント、支配のY軸のモーメント、支配のZ軸のモーメント

Ⅱ 支配にかかわる三つのモーメント(X軸、Y軸、Z軸)から従来の天皇制論を概観する

Ⅲ 「精神構造としての天皇制」を論じる際のいくつかのポイント

第10章 実践合理的な「わざの知」のあり様からみた赤坂憲雄の天皇制論の二つのテーゼ

Ⅰ カミ(祭祀)とタマ(葬祭)と祖先神の関係について

Ⅱ 超越的存在そのものの出現(顕現)あるいはそれと遭遇する際の人間側の反応・体験について

Ⅲ 超越存在が顕れ出る「通路(構造)」にかかわる諸問題――超越存在・神意の顕れ出る通路としての「ワザ」「わざ(技術)」の特性とそれが生み出されるメカニズム(『生き残り』)

Ⅳ 「わざ」体験における体験者と構造(治療者・指導者・師匠を含む)の二つの「かかわり方」――赤坂憲雄の天皇制論の第一のテーゼと第二のテーゼを『接合』するメカニズム:マツリ(祀り・祭り)・マルロフ(服従)の二種性と『素直(素直A/素直B)』(素直コンプレックス)

第11章 天皇制における支配のX軸、Y軸、Z軸のモーメントの関係――水林彪『天皇制史論』に関連させて

Ⅰ 天皇制における「権威」と「権力」の二相構造(支配のX軸のモーメントにかかわる「権威」「権力」の視座の妥当性と問題点)――天皇制の本質は専ら法史学的問題(つまり法的正当性)であり、呪術宗教的問題ではないとする水林の主張は妥当であるのか?

Ⅱ 『天皇制史論』(水林彪)の全体的な構成と日本の 歴史区分にかかわる理解の的確さ、およびその問題点について――支配のZ軸のモーメント(実践合理的な「わざの知」と論理合理的な概念知)にかかわる〈権力〉の内部秩序の二類型(〈人的身分制的統合秩序〉と〈制度的領域国家体制〉)

Ⅲ 水林の『律令天皇制的原型への対抗形態の権威・権力秩序(神仏ないし天(権威)――一揆的身分契約的に編成された合議的権力秩序)』の問題――ヴェーバーの諒解(諒解A・諒解B)概念と呉座勇一の一揆研究との関連から

Ⅳ 社会の大変動期においてZ軸のモーメントで引き起こされる逆Y軸のモーメント(カリスマの賦活化・再活性化)と天皇制の変容と継続

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おわりに

奥付

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