- 発売日
- 2021年12月30日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 岡 伸浩、小賀野晶一、鎌野邦樹、神田秀樹、北居 功、棚村政行、道垣内弘人
高齢社会にかかわる民法、信託法の論点を軸に、現代日本が直面する問題に多角的に考察を加える重厚な論考群。
目次
表紙
献呈の辞:はしがきに代えて
目次
第I部 拡大する信託法理
新発想のリバースモーゲージと税制支援のあり方
1 はじめに
2 従来型リバースモーゲージのリスクと課税問題
3 新発想のリバースモーゲージの発展可能性
4 おわりに
金融商品取引法の構造と信託
1 はじめに
2 金融商品取引法における開示制度と業規制
3 信託受益権と発行開示制度
4 信託受益権と業規制
5 むすびに代えて
譲渡担保と信託的構成Mortgage and Trust Structure(Doctrine)
1 はじめに
2 譲渡担保における譲渡法理と契約法理
3 民法における譲渡担保の位置
4 譲渡担保法の展開:判例における譲渡担保の担保権化
5 譲渡担保 の法的構成:学説における三つの類型
6 譲渡担保の規範定立:法的構成論の捉え方
7 金融取引と信託法理:民法大宇宙からの概観
8 おわりに
破産管財人の受託者的地位と担保価値維持義務をめぐる考察
1 はじめに
2 最判平成18年の概要と論点の概観
3 担保価値維持義務をめぐる考察
4 最判平成18年と担保価値維持義務承継論
5 破産管財人の受託者的地位からの考察
6 まとめに代えて
第Ⅱ部 民法とその展開
不当利得における非統一説の展開
1 はじめに
2 法律の規定下の非統一説
3 非統一説のもとでの不当利得体系の構成
4 それぞれ有意義な不当利得返還責任
5 結論
保証の「補充性」概念の序論的考察――普通保証と連帯保証・連帯債務との比較を通じて
1 はじめに:問題意識
2 前提:保証人による催告・検索の抗弁
3 保証人による相殺の抗弁
4 債権者による主債務の消滅時効完成猶予・更新と保証債務への影響
5 おわりに代えて
売却代金の返還義務――他人物の無権限処分者の価値賠償義務
1 はじめに
2 わが国の判例・学説
3 ドイツの判例・学説
4 おわりに
法解釈・契約解釈における信義則――最判平成23年4月22日民集65巻3号1405頁の批判的検討
1 問題提起に代えて
2 平成23年判決
3 契約法構成の内容
4 平成23年判決の検討
5 むすびに代えて
遺言信託と遺留分
1 台湾における遺言と遺言信託の実態
2 台湾における遺言信託に関する裁判例
3 遺言信託と相続法との衝突
4 むすびに
将来債権譲渡における債権移転の時期【再論】
1 将来債権を含む集合債権譲渡
2 債権譲渡の効力発生の時期(債権の移転時)、対抗要件の効力発生の時期
3 アメリカ法
4 アメリカ法との異同
5 旧民法下の問題状況
6 債権法改正
債権者の責めに帰すべき事由による催告解除の制限――受領遅滞にある債権者の履行請求権の帰趨
1 はじめに
2 債務不履行と受領遅滞の関係
3 債権者の取立行為の懈怠
4 債権者の協力義務違反
5 おわりに
日本法における里親の無権利性
1 問題の所在
2 日本法上の里親の法的地位
3 裁判例の検討
4 日本法の現状を踏まえた残された課題
損害賠償種類論における時期的区分説の骨子
1 はじめに
2 時期的区分説の区別基準
3 時期的区分説による各損害項目の扱い
4 時期的区分説の整理・検討
5 判例
6 まとめ
第Ⅲ部 信託法とその展開
「福祉型の信託」を基礎づける
1 はじめに
2 福祉型の信託
3 福祉と法
4 福祉型信託を基礎づける
5 結語
信託法の立法趣旨と条文規定との整合性
1 受益者以外の者による信託の利益の享受の可否および「何人の名義」の意義(8条)
2 有償で受益者として指定することの可否ほか(11条)
3 金銭の分別管理義務(34条1項2号)
4 信託財産責任負担債務の記帳義務のみなし主体(37条)
信託受託者が行う自己取引における一般的忠実義務の適用
1 はじめに:営業信託における自己取引の実施の必要性とその要件の明確化の必要性
2 信託法における忠実義務と利益相反行為に対する規制の概要
3 信託業法における忠実義務と利益相反行為に対する規制の概要
4 英米信託法における忠実義務と利益相反行為に対する規制の概要
5 論点①ないし③に対する解釈
6 おわりに
「預金口座」の法的性質と救済としての信託法理
1 預金口座と財産管理機能
2 預金の信託的構成
3 預金の信託的構成に関する判例法理
4 ドイツ「特別口座(Anderkonto)」の法理
5 成年後見制度における「専用口座」
信託が潜在力を発揮するには
1 信託の利点
2 信託が泣いている
3 信託に伴う問題・リスク・課題
第Ⅳ部 高齢社会と法
現行法定後見における3類型の限界と解消策
1 法定後見制度の社会的役割
2 現行法定後見制度の構造
3 事理弁識能力により類型化するということ
4後見の対象者に関する理解の混乱
5 後見と保佐2類型の基本的問題点
6 3類型のなかに置かれた補助制度
7 多元的枠組み採用の根拠
8 障害者権利条約との適合性
9 わが国の法定後見制度の方向性
オーナー経営者の高齢化に伴う事業承継と信託
1 はじめに
2 検討の対象となる信託の概要
3 後見制度からの考慮:遺贈・死因贈与との比較
4 遺留分制度からの考慮
5 金融業規制からの考慮
6 上場会社である場合の考慮
7 おわりに
高齢社会における高経年団地の建替え――建築後50年超の大規模団地の法律問題を中心に
1 はじめに
2 本件団地における法律問題
3 本件団地における建替え
4 1983年改正法前に分譲された本件団地について
5 むすび:将来に「負財」を残さないために
成年後見制度の中長期的課題に関する覚書――成年後見法再改正に向けて
1 はじめに
2 法定後見制度の基本原則
3 法定後見制度の基本枠組み
4 申立てに関する規律の見直し
5 家庭裁判所の後見人交代権限の新設等
6 後見業務に関する損害保険の義務化
7 人格権に関する代行決定権限
8 公的後見制度の導入
9 任意後見制度の課題
高齢社会における民事訴訟の諸相
1 はじめに
2 介護業者の養子縁組:《ケース1》
3 遺言能力と遺言内容:《ケース2》
4 高齢者の財産は狙われている
5 高齢者はあなどれない
6 熟年離婚は切ない
7 むすび
成年後見制度における法定代理と本人への帰責――障害者権利条約時代下の基礎的考察
1 序論:障害者権利条約における法定代理の評価
2 成年後見制度における法定代理の本質
3 成年後見制度における本人への帰責の原理
4 暫定的結論
祭祀財産・遺骨等の承継
1 はじめに
2 祭祀財産の承継規定の沿革
3 祭祀承継の法的性質と法構造
4 祭祀財産の承継原則と承継基準の変容
5 遺骨・遺骸・遺体の承継
6 おわりに
第V部 グローバル社会と法
担保としての信託における受益者の優先返済権と被担保債権の関係――韓国大法院2017年6月22日宣告2014ダ225809全員合議体判決を中心に
1 序論
2 対象判決
3 評釈
4 結論
韓国における成年後見の利用現況と公共後見の展開
1 序言
2 成年後見制度施行の現状と問題点
3 公共後見事業の施行の根拠と現状、問題点
4 公共後見事業の発展に向けた課題
イギリスのEU離脱と北アイルランド国境問題の解決――EU法からの一考察
1 はじめに
2 メイ合意:旧離脱協定と旧北アイルランド議定書
3 ジョンソン合意:新離脱協定と新北アイルランド議定書
4 結語:英EU将来関係における北アイルランド国境問題
台湾の任意後見制度と今後の課題――日本の任意後見制度との比較
1 はじめに
2 日本の任意後見制度の主な内容と施行後の問題点
3 台湾における任意後見の主な内容と法施行後の整備
4 任意後見制度の総合的分析と展望
委任と信託の交錯――台湾法の視点から
1 はじめに
2 委任と信託に関する台湾法の紹介と分析
3 財産管理における委任と信託の異同
4 名義貸しと信託、委任の交錯
5 委任、信託と民法における遺産の問題
6 遺言信託と相続財産
7 委任契約と任意後見制度の運用
8 結論
編者・執筆者・翻訳者一覧
奥付