- 発売日
- 2020年07月01日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 西川幸孝、佐藤誠
トラック運送業の現状や課題、関連する法制度について解説した上で、合理的な賃金制度設計・構築の手順を細部にわたって解説していきます。また、第4章では、事例に基づいた制度設計のシミュレーションを収録し、必要な書式や規定例等も盛り込んでいます。
目次
表紙
はじめに
Contents
第1章 課題山積のトラック運送業
1 トラック運送業界の現状、経営環境
2 人手不足
少子・高齢化の進展と若年労働力不足
3 働き方改革関連法
(1) 働き方改革関連法の全体像
(2) 労働時間法制見直しの内容の詳細、検討すべき項目、対応策
(3) 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)の具体的内容
(4) 長時間労働の撲滅
4 長時間労働がもたらす経営上のリスク
(1) 事故リスク
(2) 違法残業リスク(労働基準法36条違反)
(3) 私傷病の労災認定リスク
(4) 割増賃金未払い発生
5 労働者の権利意識の高まり
(1) インターネット等を通じた情報取得の容易さ
(2) 労働者支援サービスの発達
6 昭和・平成的概念はもはや通用しない
第2章 よくあるドライバー賃金の問題点と法的考え方
1 不公平さ
(1) 職種や車種による格差
(2) 入社時期による格差
(3) 正規ドライバーと非正規ドライバー間の格差
(4) その他の事情による格差
2 残業代に関する問題点
(1) 残業代は◯◯に含まれている
(2) 固定残業手当等で払い済み
(3) 賃金の組替えで形式を整えている
3 その他の問題点
(1) 歩合給制に関する問題点
(2) 労働条件不利益変更に係る問題点
4 定額残業代に関する考察
(1) そもそもなぜ定額残業代を設定するのか
(2) 定額残業代のリスク
(3) 定額残業代を判断したリーディングケース
(4) 定額残業代冬の時代
(5) 常識的な判断を示した最高裁
(6) 2020年3月30日の最高裁判決
5 歩合給に関する法的位置づけ
(1) 平均賃金の算定方法
(2) 大きな違いがある残業代の支払い方
(3) 年次有給休暇を取得した場合の賃金
(4) 出来高払制(歩合給制)の保障給
(5) 歩合給制と最低賃金
(6) 社会保険の扱い
6 労働条件不利益変更の法理
(1) 労働条件の不利益変更
(2) 不利益変更の判断基準
7 同一労働同一賃金
第3章 賃金制度設計手順
1 雇用形態と賃金制度
(1) ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用
(2) ジョブ型雇用と賃金制度
(3) 人事労務マネジメントの3要素のバランスをとる
2 賃金設計手順
3 賃金設計における各プロセスの内容
[1] 賃金実態確認
(1) 賃金支給一覧をつくる
(2) 世間水準と比較する(外部相当性の確認)
(3) 各種偏りを確認する(内部公平性の確認)
(4) 割増賃金未払いの発生確認
[2] 課題の明確化
(1) 解決すべき課題の明確化
(2) 制約条件の明確化
(3) 実現すべき状態の確認
[3] 改革の方向性
(1) 賃金制度改革の大義名分を立てる
(2) 合理的な賃金格差の実現
(3) ルールに基づく変更が可能な賃金制度
(4) 労働時間の管理強化
[4] 賃金基本構造の検討
《賃金構成要素》
(1) 固定給
《基幹的賃金》
《補助的賃金》
(2) 変動給
(3) 割増賃金
《賃金構造と割増賃金の影響》
[5] 職種区分と賃金構成・賃金水準の検討
《職種を決める要素》
(1) トラックの種類
(2) 運転免許証の種類
(3) 運行形態
《職種区分とそれぞれの賃金水準》
《職種ごとの賃金構成》
(1) 職種を貫く共通要素を増やす
(2) 職種ごとの賃金構造を決める
《職種ごとの年収幅、ターゲット年収》
[6] 補助的賃金(手当)の決定
(1) 具体的な金額決定の手順
(2) 手当の統廃合を行う
(3) 職務型手当の具体例
(4) 生活補助手当の具体例
(5) 非正規雇用者との格差をなくす
[7] 基幹的賃金を決める
(1) 基幹的賃金の内容
(2) 基本給の支払い形態
(3) 基本給の設定方法
[8] 歩合給の詳細設定
(1) 歩合給制の構成パターン
(2) 歩合給指標の設定例
(3) 歩合給制の5つの原則
(4) 出来高払制の保障給
[9] 割増賃金支給方式の決定
(1) 割増賃金支給方式
(2) 含み型割増賃金の具体例
[10] 賞与支給方式の決定
[11] シミュレーションと内容の修正
(1) シミュレーションの方法
(2) 具体的な手順
[12] 賃金制度の最終決定
(1) 課題は解決されたか
(2) 制約条件に接触しないか
(3) 実現すべき状態は達成され得るか
[13] 激変緩和措置の設定
(1) 激変緩和の考え方
(2) 何年間設定するか
(3) どのような方式で補てんを行うか
(4) 差額補てんのための調整手当
(5) 新旧賃金制度の差額を一定割合補てんする方法
[14] 合意プロセスの設計
(1) 合意プロセス
(2) 労働組合がある場合のプロセス
第4章 賃金制度改革事例
1 企業概要
(1) 専属便を含む地場配送
(2) 大手運送会社の下請け長距離輸送
(3) 引越便
2 賃金実態の確認
(1) 時間外労働時間数の確認
(2) 外部相当性の確認
(3) 内部公平性の確認
(4) 割増賃金未払いの確認
3 課題の明確化
4 改革の方向性
(1) 大義名分
(2) 合理的な賃金水準の実現
(3) ルールに基づく賃金制度とする
(4) 割増賃金未払いを発生させない
(5) 労働時間制の改善と労働時間管理の適正化
5 職種ごとの賃金構造と年収幅を決める
6 補助的賃金(手当)の決定
7 基幹的賃金の決定
(1) 勤続給
(2) 基本給
8 歩合給の詳細設定
(1) 長距離輸送部門
(2) 引越部門
9 割増賃金支給方式
10 賞与支給方式
11 シミュレーションと内容の修正
(1) シミュレーションの実施
(2) シミュレーションの結果
12 賃金制度の最終決定
13 激変緩和措置の設定
14 合意プロセスの設計
おわりに
奥付