- 発売日
- 2024年04月25日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 榊原秀訓、本多滝夫
辺野古基地建設をめぐる国と沖縄県の関係に象徴される国と地方自治に関する現代的諸課題を憲法、行政法的視点から総合的に考察。
目次
表紙
はしがき
目次
第Ⅰ部 地方自治の基本問題をめぐる規範的秩序
[1]真の地方自治の実現に向けて――分権改革の限界を超えて――
一 本稿の課題
二 分権改革の経過
三 分権改革の主導者
四 分権改革の特異な性格
五 国家と自治体の民主化に向けて
[2]複合危機(poly crisis)の中の法治主義と地方自治
はじめに
一 複合危機の時代における法治主義と地方自治を考える
二 法治主義と地方自治の危機について、これをC. シュミットの「外典上の主権行為」(apokrypher Souveränitätsakt)として考える
三 法治主義と地方自治の危機について、これをC. シュミットの「技術的なもの」(tecnicity/Technizität)とM. ハイデガーの「駆集・用立ての挑発システム」(frame/Ge-stell)の作動として考える
四 複合危機の中にある法治主義と地方自治の再生の徴候について、これをK. マルクスの弁証法的アプローチを用いて考える
おわりに
[3]憲法95条の住民投票手続の地方自治保障の意義と可能性
はじめに
一 地方自治特別法の原型
二 憲法95条の趣旨
三 運用上の論点
四 憲法95条が要請する地方自治擁護の手続保障
おわりに
[4]民生委員法の展開――行政活動への「協力」が職務規定に追加された1953年の法改正まで――
はじめに
一 新生活保護法の制定(1950年)と同法22条の解釈
二 民生委員法および新生活保護法22条の改正(1953年)
三 1953年改正がもたらしたもの――若干の考察
結びにかえて
[5]附属機関条例主義とその射程
はじめに
一 法律の規定と私的諮問機関(類似会議)批判
二 学説の状況
三 裁判例における附属機関の定義とその判断基準
おわりに――運用・活用の限界と立法論
第Ⅱ部 個別行政領域における地方自治をめぐる規範的秩序
[6]「デジタル社会」の「形成」と地方自治の再生――個人番号カードの「市民カード」化に即した考察――
はじめに
一 個人番号カードの「市民カード」化――国家の二つの変質
二 地方自治再生の条件と課題
おわりに
[7]「地域共生社会」に見出される行政法の課題に関する一考察
はじめに
一 「地域共生社会」を論ずる視点
二 「地域共生社会」の政策
三 「地域共生社会」に見出される行政法の課題
おわりに
[8]地域空間形成における「参加」の位相――財産権と自治のはざまで――
はじめに
一 土地利用計画の展開
二 地域空間形成にかかわる主体と手法
三 住民関与の重層的構造化
四 参加制度と自治制度
五 住民が関与する立脚点
六 地域空間形成における参加制度の位置
おわりに
[9]人事行政機関の措置要求判定に おける裁量と司法審査―― 経済産業省トランスジェンダー職員措置要求事件を素材として――
はじめに
一 人事行政機関の措置要求判定と司法審査との関係
二 人事行政機関の措置要求判定に対する司法審査の判断枠組 ──本件高裁判決の判断枠組の検討
三 本件最高裁判決による是正と今後の課題
[10]イギリスにおけるPFI 契約終了の管理
はじめに
一 イギリスにおけるPFI契約の終了の状況
二 PFI契約の終了への問題の指摘と対応
三 わが国への示唆
四 今後の課題
[11]ドイツ疾病保険の多層的自治構造における「共同自治」の民主的正統化に関する一考察
はじめに
一 多層的な自治により構成されるドイツ疾病保険
二 共同連邦委員会の組織・任務・権限
三 共同連邦委員会における共同自治の民主的正統化
おわりに
第Ⅲ部 国の関与と自治権保障をめぐる規範的秩序
[12]自治体の行政処分と国の「関与」の方法――逆情報公開訴訟を素材として――
はじめに
一 国が原告となる逆情報公開訴訟の法律上の争訟性について
二 逆情報公開訴訟における国の原告適格について
おわりに
[13]法定受託事務に対する国の行政的関与の法的検討――「黒い雨」被爆者健康手帳交付事務を事例として――
はじめに
一 「黒い雨」被爆者援護の仕組み
二 被爆者援護法における国の行政的関与の形式と現実態
三 国の行政的関与の再定位
おわりに
[14]自衛官等募集事務への自治体協力
はじめに
一 自衛官等募集事務と自治体の協力
二 自衛官等募集への自治体協力の方法とその変更
三 自治体の自衛隊への紙・電子媒体による住民基本4情報提供の法的諸問題
四 自衛隊への住民基本4情報の提供と地方自治・自治体
おわりに
[15]辺野古裁判と最高裁判所
はじめに
一 地方公共団体と国との法的争い
二 一連の辺野古裁判で問われた論点の抽出
おわりに
[16]「逆分権化」の徴候と「地方自治をめぐる新しい規範的秩序の生成と発展」
はじめに――生存基盤・生活基盤の生産と再生産としての地方自治から始める「地方自治改革」
一 「地方自治の改革構想――新しい『規範的秩序』の形成に向けて」再論
二 「逆分権化」の徴候と「地方自治の改革構想――新しい『規範的秩序』の形成に向けて」
おわりに――司法権にも「地方自治をめぐる新しい規範的秩序の生成と発展」を期待して
[補論]辺野古埋立不承認に関する国交大臣の「裁決的関与」と「勧告」・「是正の指示」
はじめに
1. 本稿の分析・検討の基本的視点
2. 行審法上の「裁決的関与」と自治法上の「行政的関与」の「並行関与」制度の意義
3. 本件「並行関与」権限の行使に関する違法性についての具体的検討
おわりに
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奥付