- 発売日
- 2016年05月01日
- 出版社
- 勁草書房
- 編著等
- 田中辰雄、山口真一
インターネットが普及すれば多くの人が自由な議論の輪に加わり討論の民主主義が社会のすそ野に広がっていくと期待された。しかし論調は暗転し、ネット上での意見交換に悲観的な意見が増えてくる。この論調の暗転の大きな原因になったのがいわゆる炎上問題である。本書はこの炎上について定量的な分析を行うとともに、本書なりにその原因と社会としての炎上対策を示す。
目次
表紙
はじめに
目次
第1章 ソーシャルメディアと炎上:特徴と発生件数
1-1 炎上とは
1-2 炎上の特徴
1-3 炎上の発生件数推移と傾向
1-4 参考となる論文・書籍
1-5 ネットコミュニケーションのゆくえ
第2章 炎上の分類・事例・パターン
2-1 炎上の分類
2-2 Ⅰ型:反社会的行為や規則に反した行為(の告白・予告)
2-3 Ⅱ型:何かを批判する,あるいは暴言を吐く・デリカシーのない発言をする・特定の層を不快にさせるような発言・行為をする
2-4 Ⅲ型:自作自演,ステルスマーケティング,捏造の露呈
2-5 Ⅳ型:ファンを刺激(恋愛スキャンダル・特権の利用)
2-6 Ⅴ型:他者と誤解される
2-7 炎上のパターンと予防・対処
第3章 炎上の社会的コスト
3-1 情報発信の萎縮
企業炎上・触法自慢
情報発信からの撤退
五輪エンブレム事件
炎上経験者の体験談
サイバーカスケード
3-2 若干の統計的検討
アンケート調査より
SNSの変遷より
社会的コストのラフ推定
3-3 初期インターネットとの比較
ネット楽観論の暗転
フレーミング(Flaming)との違い
3-4 炎上対策の検討
炎上対策1:話題の限定
炎上対策2:謝罪
3-5 結語:炎上のコストは情報発信の萎縮
第4章 炎上は誰が起こすのか
4-1 人々の炎上とのかかわり方
4-2 データから見る炎上参加者のプロフィール
4-3 炎上参加者属性の分析:年収の多い若い子持ちの男性が書き込み
4-4 炎上参加行動に有意でない属性:ひとり暮らし,学歴,ネット時間等
4-5 炎上の捉え方と予防方法
第5章 炎上参加者はどれくらいいるのか
5-1 なぜ参加者数を調べるのか
5-2 アンケート調査での炎上参加者数推定
5-3 Twitter での炎上参加者数推定
ルミネCM炎上事件
6つの炎上事件
5-4 炎上での直接攻撃者
炎上への参加者数のまとめ
有識者は知っている
炎上の主役はどんな人たちか
5-5 結語:炎上参加者はごく一握り
第6章 炎上の歴史的理解
6-1 炎上の理解:集団極性化とデイリーミー
6-2 近代化の歴史より
国家化・産業化・情報化の三段階論
若干の統計的補足
6-3 草創期の力の濫用
軍事力・経済力の濫用
情報発信力の濫用
炎上は解決すべき課題
第7章 サロン型SNS:受信と発信の分離
7-1 炎上の真の原因
発信規制
過剰な発信力
インターネットの学術性
受信と発信の分離
7-2 サロンの構想
サロン型SNSの仕様
サロン型SNSの詳細
サロン普及後のイメージ
非公開サロン
その他の仕様
7-3 自由参入かメンバーシップか
7-4 結語:サロンの必要性
第8章 炎上への社会的対処
8-1 炎上とのかかわり方とインターネットに対するイメージ
8-2 政策的対応の検討
8-3 炎上への規制対応は難しい
付録 炎上リテラシー教育のひな型
参考文献
索引
奥付