- 発売日
- 2022年09月29日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 西村聡、山岡美由紀、三ツ星通代
本書では、「多様な働き方」を実現するために役割等級人事制度(職務基準の人事制度)が必要とされる理由を解説するとともに、その構築プロセスおよび具体的な設例を用いた導入パターンをわかりやすく提示。改訂版では、新たに副業・高齢者雇用・正社員転換の事例を追加し、それらがすべて職務に紐づき矛盾なく設計され、会社全体の人事制度が調和したものとするための方法を具体的に解説している。
目次
表紙
改訂にあたって
Contents
第1章 多様な働き方が求められる背景
Ⅰ 日本の雇用慣行とその問題点
Ⅱ 雇用形態の多様化とその取組み
1 多様な雇用形態に関する最近の法制化
2 多様な雇用形態の推進を阻む制度と雇用慣行
Ⅲ 少子高齢化をめぐる問題
1 少子高齢化社会と離職問題
2 高齢者再雇用の課題
Ⅳ 女性の労働力をめぐる問題
1 女性の働き方と離職問題
2 女性の活躍促進と経済効果
3 女性差別と同一労働同一賃金
Ⅴ ワークライフバランスが生み出したもの
1 長時間労働と出生率
2 ワークライフバランスの誤謬
3 共働きの増加と働き方改革
4 治療と仕事の両立支援
5 多様性を活かす経営と職務分析の必要性
Ⅵ 自律した人材を育成することの重要性
Ⅶ 労働市場の流動化と多様な働き方の必要性
第2章 多様な働き方を実現するための役割等級人事制度の構築理論
Ⅰ 「役割」とは何か
1 これまでの人事制度が引き起こした職場の実態
2 日本企業がようやく気づき始めた「役割」の重要性
Ⅱ 同一労働同一賃金の法制化と職能等級資格制度の矛盾
Ⅲ 役割等級人事制度の概要
1 役割等級人事制度の全体像
2 役割等級人事制度で重視する4つの行動(仕事)
3 役割等級人事制度構築の流れ
4 役割等級人事制度構築・導入までの詳細ステップ
5 職務調査から役割基準書作成までの流れ
6 プロセス展開表の作成
Ⅳ 新たな業務と役割行動
1 新たな業務、役割行動の検討
2 特性要因図の書き方
3 系統図の書き方
Ⅴ プロセス展開表の作成効果および留意点
Ⅵ 職務分析(記述法)の理解
1 職務分析とは
2 職務分析の方法
3 職務分析と役割(職務)評価
Ⅶ 多様な働き方を実現するための役割(職務)編成と業務分析・業務量調査の手法と進め方
1 役割(職務)編成する際の視点
2 プロセス展開表を活用した業務分析・業務量調査の手法と進め方
3 短時間正社員の役割(職務)編成
Ⅷ 多様な働き方と役割給
1 役割と賃金
2 同一労働同一賃金(役割給)を実現するための課題
Ⅸ 賃金格差をめぐる問題
1 正社員と非正規社員の賃金格差に関する法原理
2 正社員と限定社員、非正規社員との賃金格差の納得性
3 正社員と非正規社員の賃金格差に関する判例
4 同一労働同一賃金原則の例外となる合理的な理由
5 処遇格差を付けるうえでの留意点
Ⅹ 短時間正社員の賞与および退職金
1 賞与の算定方法
2 退職金の算定方法
Ⅺ 多様な働き方を推進するための方法と手順
1 社員の能力開発、訓練方法の変革
2 多様な働き方を支える職場管理
3 目標管理制度の運用
4 実行手順と日程の見える化
5 部下管理と人事考課
Ⅻ 業務改善・改革の考え方と進め方
1 ワークライフバランス施策と生産性
2 現場改善・改革のための7つの条件
3 部門特性と改善手法
ⅩⅢ 要員管理
1 要員管理の方法
2 要員計画策定のための2つの手法
3 マクロ要員計画
4 付加価値の活用
5 ミクロ要員計画
6 ピーク時要員の検討
7 緊急事態あるいは特別な異常事態に関連して発生し、しかも発生時期が難しい業務についての対策
第3章 多様な働き方と人事労務管理~日本プロセス株式会社のケースを通して~
日本プロセス株式会社の概要
事例1 中堅現業職、母の介護で退職の危機―短時間正社員制度で乗り越える
独身男性社員が介護をすることになった
介護休業を取得
会社の意識が変わった
短時間正社員制度導入への準備
役割の違いと、処遇格差のルールを明確にする
家族介護のための短時間正社員誕生
事例2 営業職が家族の病気で半年間フルタイム勤務不能に―転職の危機を救った、上司と同僚のフォローと短時間勤務
妻の病気で、育児と仕事の両立に悩む営業社員
育児休業規程による短時間勤務の対象ではないので、短時間正社員を検討
離職防止と、顧客満足への不安
職務分析と、時間短縮による役割変更、目標管理~数値目標を設定し、短時間正社員に
「年休“時間数”が減る!?」所定労働時間が短くなった場合の年次有給休暇の取扱い
短時間勤務適用期間満了と、事由解消で正社員に復帰
事例3 画像編集オペレーターが「夫の転勤についていくので退職します」―深刻な人材不足の中で生まれた在宅勤務制度
夫の転勤が決まった女性社員が突然退職を申し出る
退職引留め策として在宅勤務を提案
社長の在宅勤務に対する困惑、顧客満足、納期厳守など不安は山積み
能力開発の難しさと、品質レベル向上の課題
労働力確保が厳しい状況下での多様な雇用形態の必要性
在宅勤務のルールをつくる
仕事の割当て
遠距離での在宅勤務の場合の対策が課題
解説 テレワークの労務管理― 統計・規定・労働時間制度と留意点
テレワークをめぐる周辺事情
テレワークの導入、実施にあたっての留意点
労働条件の明示、就業規則の改定
テレワークと労働時間制度
テレワーク特有の問題
テレワークの導入に関する政府の支援制度
事例4 出産育児のため退職を申し出た画像処理課女性社員―社内初の育児短時間勤務を在宅で
産休、育休取得の前例がない
育児期間中の短時間、在宅勤務の提案
在宅勤務に対する家族の同意
社長の「育児・短時間・在宅勤務」に対する困惑、顧客満足、生産性低下
最初の育児短時間勤務が「在宅勤務」という戸惑い
社長が「育児短時間在宅勤務」に理解を示し始める
「育児短時間・在宅勤務」へ向けて
「育児短時間・在宅勤務」が始まる
「仕事と生活の調和」と「本人の努力と同僚の協力」
勤労意欲と社会保障
事例5 営業企画課長、親の介護で「課長を辞めます」―フレックスタイム制導入で役割を全う、部下を早期育成
課長が家族介護のために「課長を辞めたい」と申し出る
進んでいない人材育成
介護休業への備えは、制度整備と同時に人材育成も重要
時間短縮とフレックスタイム制によって管理職業務も
「週4日勤務希望」の申し出に対応
事例6 “重労働”継続雇用を拒否した定年退職者を、ワークシェアリングで再雇用―「定年延長」を考えるきっかけに
継続雇用を希望しない定年退職者
定年退職によって人材不足が加速する
継続雇用を希望したくなる労働条件を整える
若年アルバイトの正社員登用を検討
定型業務の定年退職者をワークシェアリングで再雇用
多様な働き方を導入するうえで管理職に知識が必要
定年を65歳に引き上げることに
事例7 デザイン職イクメン社員が育児休業を申し出る―問題提起と、プライドと、ワークライフバランスと
男性社員が育児休業を申し出た
拒否することは許されないが、在宅勤務の選択肢を提案してみた
会社に対する不信感が払しょくされる
男性社員の育児のための在宅勤務が始まる
在宅勤務から正社員の通常勤務に復職したものの…
事例8 優秀なパート事務職を、離職防止対策として短時間正社員に―初めての配置転換で、まさかの退職申し出
正社員並みの職務遂行能力を持つパートタイマーがいる
パートタイマーを評価する仕組みがない
パートタイマーを正社員化する動き
パートタイマーから第1号の短時間正社員誕生
配置転換の対象から外れたいので再びパートを希望
事例9 メンタル不調の休職者が復職―職種変更と短時間勤務で職場環境を整えて迎える
休職中のメンタル不調者の復職が決まる
職種変更を伴う短時間勤務
正社員として原職復帰へ
職務再設計と職務評価
事例10 幹部候補の男性社員が、子供誕生を機に、副業を希望― 時代の流れと会社の方針転換、そして新しい労務管理上の問題
子の誕生と残業減少、そこで流行りの『副業』を思いつく
社員の副業希望に対して不快感を示す社長
副業解禁への道が開ける
導入にあたっての検討
副業を始めた矢先にトラブルが発生する
副業を認めたことで、新たな労務管理上の問題が生じる
副業する場合の賃金
事例11 何気なく交わされる契約更新『私はこの会社でずっと働けるのかしら』― 対応して気づいた規定の不備と、高齢者雇用の課題
初めての無期転換パートタイマー
無期転換権行使の申し出に焦る
無期転換者の定年ルールが見当たらない
高齢者雇用は健康問題と隣り合わせ
事例12 正社員並みの仕事を担当するようになったパートタイマーを、正社員転換制度によって正社員に― 正社員転換制度を運用しやすいルールに変更するきっかけに
正社員の補助業務を担当するために
補助業務担当のはずが、正社員の代わりをするように
正社員転換制度を利用して正社員化を検討
正社員転換制度によって“タイミングよく”正社員に
実際に運用して制度の使いにくさが判明
規程集
役割等級人事制度規程
賃金規程
在宅勤務規程
正社員転換制度規程
短時間正社員規程
奥付