- 発売日
- 2024年02月25日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 安藤由香里、小坂田裕子、北村泰三、中坂恵美子
2023年の入管法の「改正」にはどのような問題があったのか。日本の入管法、難民認定制度の問題を明らかにし改善の提案をする。
目次
表紙
はしがき
目次
略語表
第1章 入管法はなぜ改正されたか?―問題の背景 北村泰三
はじめに
1 閉ざされた入管・難民法―日本の出入国管理体制の特徴
(1)入管制度の原点―治安対策優先の思想
(2)今回の入管法改正の意味
2 開かれた入管・難民法をめざすには
(1)入管・難民法と人権条約との整合的解釈の追求
(2)庇護権の憲法による実質化
おわりに
第2章 難民とはどのような人?―広がる難民概念 北村泰三
はじめに
1 難民の定義
(1)難民条約上の難民の定義
(2)入管法上の難民の定義
(3)除外条項(難民条約第1条F)
2 迫害(persecution)とはなにか?
3 国際的、非国際的な武力紛争からの避難民
(1)制限的アプローチ―「差異ある危険説」
(2)戦争避難民に対する難民概念の拡大
4 性的少数者―LGBTI
5 環境難民
おわりに
第3章 送り返してはいけない?―ノン・ルフールマン原則 安藤由香里
はじめに
1 なぜ送り返してはいけない?
(1)送還停止効
(2)送還停止効の例外
2 難民条約のノン・ルフールマン原則
3 ノン・ルフールマン原則の発展―国際人権条約
(1)拷問等禁止条約のノン・ルフールマン原則
(2)強制失踪条約のノン・ルフールマン原則
(3)自由権規約のノン・ルフールマン原則
おわりに
第4章 だれがどのようにして認める?―難民認定手続 北村泰三
はじめに
1 難民認定手続はどうなっているか?
(1)締約国による難民審査
(2)難民審査手続
2 難民であることをどのように証明するか
(1)高度の証明の負担―高度の蓋然性テストと個別的把握
(2)証明の負担を低くするには
3 迫害主体の認定―私人による迫害の問題
(1)放置・助長論の克服
(2)私人・非国家行為主体による迫害の場合
おわりに
第5章 公正な審査は保障されているのか?―難民認定機関の独立性 中坂恵美子
はじめに
1 難民条約等の締約国として考えるべきこと
(1)難民認定手続の一要素としての難民認定機関
(2)難民認定の「司法化」
(3)国際機関からの日本への勧告
2 日本の難民認定機関の問題点と議論
(1)難民調査官の問題
(2)二次審査の制度改革と現在の問題
(3)制度改革の必要性
3 他国の難民認定機関の例
(1)諸国の難民認定機関の概観
(2)独立した一次審査機関の例(ベルギー)
おわりに
第6章 難民以外は保護されないのか?―補完的保護 中坂恵美子
はじめに
1 難民条約上の「難民」以外の人々の保護
2 改正入管法が定める補完的保護
(1)関係条文
(2)「補完的保護対象者」の定義
3 EUの補完的保護
(1)資格指令
(2)3種類の「重大な危害」
(3)「国際的または国内的武力紛争の状況における無差別的な暴力」と個別性
(4)保護の内容
おわりに
第7章 帰国したくない人を罰する?―退去を拒む人への刑事罰の導入 安藤由香里
はじめに
1 罰則の創設
(1)送還忌避罪から強制送還拒否罪へ
(2)罰則化の立法事実は何か?
2 退去強制の根拠
(1)退去強制される人は誰か?
(2)送還先の国はどこか?
3 収容・送還に関する専門部会における検討
4 国際社会からの批判
5 帰国できない理由は何か?
6 他国の状況
7 在留特別許可の制限
おわりに
第8章 滞在する資格のない外国人はどうなる?―入管収容 小坂田裕子
はじめに
1 繰り返される死亡・暴行事件および医療問題
(1)ウィシュマ・サンダマリさん死亡事件
(2)入管収容施設における医療体制強化に関する提言と改正入管法
2 日本の入管収容制度に対する国際人権法に基づく問題指摘/勧告
(1)人権条約機関による日本の入管収容に関する勧告
(2)恣意的拘禁作業部会の意見書による日本の入管収容の問題指摘
(3)2021年および2023年入管法改正案に対する国際人権法に基づく問題指摘
おわりに
第9章 収容されない場合もある?―仮放免・監理措置 小坂田裕子
はじめに
1 仮放免
(1)仮放免の運用と実態
(2)仮放免に対する国際人権法に基づく問題指摘および勧告
(3)改正入管法における仮放免
2 監理措置
(1)監理措置に対する国際人権法に基づく問題指摘
(2)改正入管法における監理措置
おわりに
第10章 難民申請中の暮らしはどうなる?―難民申請者の待遇 安藤由香里 中坂恵美子 小坂田裕子
はじめに
1 日本の現状
(1)就労資格
(2)保護費
(3)フードバンク
(4)就労支援
(5)仮滞在による就労
2 EUにおける申請者の待遇
(1)「受入れ指令」で求められる申請者の待遇
(2)申請者の待遇に関するEUの課題
3 人権条約における庇護申請者の待遇
(1)国際人権条約機関からの勧告
(2)人権条約機関における庇護希望者の待遇
(3)構造的ルフールマン
おわりに
第11章 家族との「きずな」などのため帰国できない人は?―在留特別許可 北村泰三
はじめに
1 在留特別許可とは
(1)入管法の関連規定と在留特別許可に係わるガイドライン
(2)在留特別許可に係るガイドラインの問題点
2 在留特別許可に関する判例―家族統合との関係
3 国際人権法における家族統合の権利
(1)家族の権利、子どもの権利に関する国際人権法
(2)家族生活の権利に関するHRC の個人通報事例
(3)小括
おわりに
あとがき
文献一覧
入管・難民法関係年表
奥付