BUSINESS LAWYERS LIBRARY

現代の諜報・捜査と憲法

発売日
2025年04月30日
出版社
法律文化社
編著等
小西葉子

安全保障(テロ対策)目的による国家の情報収集活動は、どのように統制されるべきか。ドイツにおける立法の展開、裁判例および学説も参照し、また各統治機構の機能・役割の分析を踏まえてあるべき統制システムの構想を提示する。

目次

表紙

はじめに

初出・原題一覧

目次

第一部 自由と安全:情報技術の発展と諜報・捜査の展開

第一章 日独の諜報・捜査―「安全」概念の変遷と諜報・捜査の接近

1 問題意識―「比例原則の空転」の重圧

2 9.11を経た社会の変化と法的概念としての「安全」の変遷

3 性質―リスクとしてのテロリズムと「安全」の意義

4 法的概念としての「安全」を脅かすテロリズムと国家の任務

5 テロリズムに対抗するための国家の情報収集活動の実態

6 小括

第二章 ビッグデータと公共圏

1 諜報・捜査の活動に変容をもたらす公共圏の変容?

2 ビッグデータと公共圏

3 公共圏の形成の基礎理論―KantとHabermas

4 インターネットを通じた公共圏の自由主義的形成

5 小括

第三章 国家の情報収集と情報技術―自動データ処理の日独比較から

1 国家の情報収集活動におけるデータ処理

2 日本の通信傍受を用いた捜査における「特定電子計算機」の自動データ処理機能

3 ドイツの刑執行後における電子的居所監視の自動データ処理機能―BVerfGE 156, 63, Beschluß v. 1. 12. 2020

4 小括

第二部 諜報

第一章 諜報機関の透明性―日欧制度の鳥瞰的比較

1 問題の所在

2 諜報機関の定義と欧州各国の法制度

3 欧州各国の諜報機関を監督・統制(oversight)する機関の特徴

4 小括―秘密性が高い行政機関に対する法的統制のあるべき姿

第二章 独・連邦情報局法外国間通信偵察違憲判決の分析と検討―客観法的統制の観点から

1 問題の所在

2 国家の情報収集活動を統制する構造とその根拠

3 連邦情報局法外国間通信偵察違憲判決

4 諜報機関の「客観法的統制」の内容形成に関する近年の議論

5 基本権の客観法的側面と基本法の客観法領域における要請

6 小括

第三章 国家の情報収集活動の個別的統制機関

1 国家の情報収集活動に関する二つの仮説

2 諜報機関の統制

3 ドイツにおける個別的統制機関の検討―基本法10条審査会を題材として

4 日本における国家の情報収集活動の個別的統制機関設置に向けて

5 小括

第四章 諜報活動と予防的警察活動の共通点とその争い方―日・大垣警察市民監視事件第一審を契機として

1 はじめに

2 大垣警察市民監視事件岐阜地裁判決(第一審)の概要

3 憲法上の課題

4 主張・立証責任の転換―違法な情報収集であることの主張・立証責任を原告が負うべきか

5 小括

第三部 捜査

第一章 暗号化通信の傍受―独・刑事訴訟法における端末通信傍受とオンライン捜索

1 はじめに

2 端末通信傍受の性質

3 端末通信傍受に関するドイツ刑事訴訟法規定の改正経緯

4 現行刑事訴訟法100a条1項2文及び3文の憲法上の課題

5 小括

第二章 プラットフォーマーから刑事訴追機関への情報提供の法的課題―独・SNS対策法5条を題材として

1 はじめに

2 ドイツにおける情報提供についての「同意」とプラットフォーマー

3 情報提供の「自由意志」と「窓口」設置の義務付け

4 日本におけるプラットフォーマーから刑事訴追官庁への情報提供の法的課題への示唆

5 小括

第三章 国際司法共助により得た証拠の刑事手続における使用と憲法上の権利―欧州・EncroChatへの合同捜査を契機として

1 はじめに

2 国際司法共助によるEncroChatへのオンライン捜索の背景

3 ドイツにおけるEncroChatへの捜索で得られた証拠の使用禁止の議論

4 日本への示唆―最決令和3年2月1日との比較から

5 小括

第四章 国際司法共助を経ずに得た証拠の刑事手続における使用と主権―日・FC2事件から

1 はじめに―主権侵害の違法性と憲法秩序

2 主権侵害と「重大な違法」

3 ドイツの裁判例から見る越境捜索と「主権」

4 小括

第四部 諜報・捜査の共通課題と統制システム

第一章 予防的国家活動における比例原則の空転―je-desto公式と「安全」

1 国家の情報収集活動の裁判所による統制

2 je-desto公式と狭義の比例性審査

3 小括

第二章 予防的国家活動を統制する立法における立法評価

1 はじめに―刑事訴訟法上の捜査と個人情報

2 ドイツにおける立法の展開と裁判例

3 立法のチェック機能―立法評価

4 小括

第三章 統制システムの構想―諜報・捜査の共通課題から

1 情報収集統制の視点

2 情報の「提供」と憲法上の要請

3 統制システム・縦軸―憲法上の統治機構の役割

4 統制システム・横軸―憲法上の権利の保障のための段階的アプローチ

5 小括

おわりに

事項索引

奥付

BUSINESS LAWYERS LIBRARYに登録すると
3,000冊以上の本を読むことができます。

10日間無料
お試しいただけます。

法人利用のお問い合わせ

閉じる