- 発売日
- 2022年04月30日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 伊藤滋夫
要件事実論の最高の論者が、研究成果の集大成を図る。要件事実論が民事訴訟以外でも、学問思考方法としても有意義なことを説く。
目次
表紙
はしがき
大目次
目次
文献等略語表
第1章 民事訴訟における要件事実の基礎理論
第1節 本章で「民事訴訟における要件事実の基礎理論」を述べる視点
第2節 民事訴訟における要件事実の基礎理論(概要)
第1 裁判規範としての民法説の中核をなす考え方
第2 修正法律要件分類説など
第3節 評価的要件
第1 評価的要件の定義
第2 評価的要件の重要性
第3 評価的要件の種類──典型的評価的要件と変則的評価的要件
第4 変則的評価的要件の特徴
第2章 商事法(会社法を含む)と要件事実
第1節 はじめに
第2節 「単純合意」というものの捉え方──要件事実論の視点からする「法的拘束力をもつ合意」への模索
第1 本節の趣旨──問題の所在と本研究会における同問題検討の意義
第2 単純合意肯定説に対する批判
第3 一応のまとめ
第4 「単純合意」の考え方を前提とした要件事実論による攻撃防御方法の体系
第5 おわりに
第3節 取締役の会社に対する責任に関係する民法の問題についての検討──要件事実論の視点から考える
第1 本節の趣旨
第2 利益相反行為について
第3 手段債務の不完全履行に関する抗弁について
第4節 会社法356条1項2号と同法423条3項の規範構造──利益相反行為と任務懈怠の推定の関係について
第1 はじめに
第2 要件事実論の視点から見た会社法356条1項2号と423条3項の規範構造
第5節 現状と展望
第1 その後の商事法(会社法を含む)の改正と要件事実論
第2 その後の判例・学説の進展と要件事実論
第3章 家事事件と要件事実
第1節 家事事件と要件事実論との関係についての検討
第1 はじめに
第2 家事事件における判断の構造
第3 家事事件において留意すべきその他の問題点
第4 おわりに
第2節 家事事件における主張事実と認定事実との同一性の必要
山本和彦先生意見
私見
第3節 請求原因説と抗弁説──面会交流の事件に関連して
理論上の対立
実務上で両説の違いの持つ意味(杉井説・近藤説)
実務上で両説の違いの持つ意味(私見)
第4節 現状と展望
第1 その後の家事関係法の改正と要件事実論
第2 その後の判例・学説の進展と要件事実論
第4章 知的財産法と要件事実
第1節 民法と知的財産法一般との関係及び知的財産法各法に共通する特質──主として後者に関する要件事実論の視点からみた検討
第1 はじめに
第2 知的財産法の特徴──要件事実論の視点から
第3 特許法における均等侵害に関する要件事実の構成
第4 著作権法における翻案権と依拠性に関する要件事実の構成
第5 商標法4条1項11号と15号に関する要件事実の構成──変則的評価的要件の一例
第2節 要件事実論の視点からする知的財産法各法に通底する特質(補論)
第1 はじめに
第2 均等論──要件事実論の視点から、ボールスプライン最判の要件について
第3 依拠性は事実的要件か評価的要件か
第4 商標法4条1項11号と15号に関する要件事実の構成
第3節 現状と展望
第1 その後の知的財産法の改正と要件事実論
第2 その後の判例・学説の進展と要件事実論
第5章 環境法と要件事実
第1節 はじめに──本章の趣旨
「環境法と要件事実」と題する本章で景観利益を取り上げる趣旨
第2節 国立景観訴訟最高裁判決(最判平18・3・30民集60巻3号948頁。以下「国立景観最判」という)についての検討
第1 国立景観最判の骨子
第2 国立景観最判を取り上げる理由
第3 国立景観最判の検討の視点
第4 景観「利益」であって景観「権」ではない理由とその重要性
第5 景観利益の検討
第6 他の人格権(利益)との比較
第7 要件事実
第3節 原子炉設置許可処分取消訴訟
第1 はじめに──本節の趣旨
第2 伊方原発最判の持つ性質
第6章 租税法と要件事実
第1節 民事訴訟における要件事実論の租税訴訟における有用性──その例証としての推計課税と実額反証の検討とこれに関連する問題の検討
第1 はじめに──本章の趣旨
第2 租税訴訟における要件事実論(骨子)
第3 推計課税と実額反証
第2節 現状と展望
第1 その後の租税法の改正と要件事実論
第2 その後の判例・学説の進展
第7章 刑事法制と要件事実
第1節 はじめに──本章の趣旨
第2節 民事訴訟と刑事訴訟における立証責任対象事実の決定基準
第1 民事訴訟における立証責任対象事実の決定基準
第2 刑事訴訟における立証責任対象事実の決定基準
第3 民事訴訟と刑事訴訟における立証責任対象事実の決定基準の比較
第3節 死刑制度の存廃について
第1 はじめに
第2 死刑制度の存廃──序説
第3 死刑制度の存廃──その具体的検討
第4節 現状と展望──死刑制度の存廃に関する学説等の動向
第1 現在における議論
第2 国内世論の最近の動向
第3 私見に対する批判
第8章 基礎法学と要件事実
第1節 要件事実論と基礎法学の協働の必要性
第1 はじめに
第2 要件事実論の思考方式の特徴
第3 要件事実論と基礎法学の協働の必要性
第2節 基礎法学の課題についての要件事実論的視点からの検討の試み──代理出産・受働喫煙を題材として
第1 はじめに
第2 要件事実論的思考方式による基礎法学の課題の検討の試み【その1:代理出産】
第3 要件事実論的思考方式による基礎法学の課題の検討の試み【その2:受動喫煙】
第4 要件事実論的思考方式による基礎法学の課題の検討の試み【その3:前2者の異同】
第5 要件事実論的思考方式による基礎法学の課題の解決のための展望
第3節 現状と展望
第1 前記第1節「要件事実論と基礎法学の協働の必要性」との関係について
第2 前記第2節「基礎法学の課題についての要件事実論的視点からの検討の試み──代理出産・受働喫煙を題材として」との関係について
第9章 論証責任論と要件事実論
第1節 はじめに──本章の趣旨
第2節 要件事実論の概要──論証責任論との比較を念頭に置いて
第3節 論証責任論(一般)の概要
第1 従来の議論の概要
第2 従来の議論について補充すべき点
第4節 論証責任論(憲法訴訟における)の概要──要件事実論との比較をしながら
第1 本節の検討課題──憲法訴訟における論証責任論のかかわり方
第2 「論証」責任と「立証」責任
第3 論証「責任」と立証「責任」
第4 論証責任「対象事実」と主張責任「対象事実」
第5 論証責任「対象事実」と立証責任「対象事実」
第6 論証責任対象事実・立証責任対象事実の各「決定基準」
第7 小括
第5節 要件事実論との関係で論じられている論証責任論
第1 憲法訴訟における論証責任論からの示唆
第2 現在の民事訴訟における論証責任論
第3 民事訴訟における論証責任論(私見)
奥付