- 発売日
- 2025年02月28日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 牛尾洋也
近代的所有権の再構築に向けて、地理学や歴史学と法学の学際的叡智を発展させ社会実装化することを追求する現代的研究の書。
目次
表紙
はしがき
目次
序章 土地空間の近代的所有・管理と現実の地域資源管理
1 近代的所有権の概念的ゆらぎ
2 土地所有権概念と占有、領域概念
3 土地空間における近代的所有・管理と現実の地域資源管理
4 各論稿について
第1章 北海道地券発行条例の制定過程 ―アイヌの土地所有を中心に
はじめに
1 北海道地所規則と地券取扱心得書 ―アイヌ土地所有の容認
2 漁場昆布場地租創定事業の開始
3 北海道地券発行条例案の登場 ―アイヌ土地所有否定(官有地化)への転換
4 北海道地券発行条例の制定 ―アイヌ土地所有否定(官有地化)の確定
おわりに
第2章 北海道地券発行条例の実施過程とアイヌの土地所有
はじめに
1 漁場昆布場地租創定事業とアイヌの土地所有
2 北海道地券発行条例と地租創定事業
⑴ 北海道地券発行条例と海産干場 ―アイヌの土地所有をめぐって
⑵ 北海道地券発行条例の実施とアイヌの土地所有
⑶ 「官有地地券録」とアイヌの土地占有
おわりに
第3章 伝統的なワナを主とした危険猟法に関する考察
はじめに
1 考古学、民俗学に見る危険なるワナ猟法
⑴ 陥穽、陥し穴
⑵ オシ、オソ(圧殺ワナ)
⑶ 発射型ワナ(アマッポなど)
2 法制史からみる危険なるワナ猟法
⑴ 律令による檻穽・機槍の規制
⑵ 北海道における開拓使による規制 ―アマッポ(アイヌ民族の仕掛け弓)
⑶ 近代国家法による規制
3 考察
第4章 中田薫・近世土地所有権論の論理と意味 ―近代的土地法の形成と境内山林下戻問題
はじめに
1 近代的土地法の形成と境内山林下戻問題
⑴ 近世における境内山林の二面性
⑵ 社寺領上地と上地処分
⑶ 国有森林原野下戻法と行政裁判所宣告
⑷ 設立論的境内官有説と中田・境内私有説
2 近世的所持の所有権的構成とその意味 ―土地国有主義批判の方法
⑴ 所持と所有の等値
⑵ 所持と所有権における処分権限
⑶ 土地譲渡制限の法的性格と私法・公法の二元論
⑷ 近世的土地所持の近代的所有権観念への包摂
むすびに代えて―土地官有主義批判と国民経済の発展
第5章 入会権の得喪と「各地方の慣習」としての離村失権の原則性
1 入会権における第一次法源としての「各地方の慣習」と離村(転出)失権
⑴ 「各地方の慣習」と離村(転出)失権
⑵ 離村失権ルールの様相
2 古典的な利用形態に応じた離村失権ルール
⑴ 入会権者の権利の喪失に関する民法典起草時の議論と入会慣行調査
⑵ 初期の学説と離村失権ルール
⑶ 2つの大審院判決と1つの最高裁判決
3 入会権の実態調査と離村失権ルールの再考の兆し
⑴ 「入会権の解体」現象と離村失権ルール ―川島武宜による理論形成
⑵ 昭和49年入会慣行調査と離村失権ルール
⑶ 離村失権ルールの実態と具体化
4 離村失権ルールの内実と今日的意義
⑴ 入会慣習における離村失権ルールの位置づけと構成員たる地位との関係
⑵ 離村失権ルールの要件と効果
⑶ 存在理由と離村失権ルールの原則性
⑷ 離村失権ルールの今日的意義と入会権の法的性質
第6章 土地所有権と公権力の役割
1 はじめに
2 近世農村社会と「村請制」
3 地租改正と「未熟なリヴァイアサン」
4 林野官民区分と無断開墾の問題
5 むすび
第7章 地域森林管理へのリモートセンシング技術の適用
はじめに
1 リモートセンシングについて
⑴ 森林のリモートセンシング技術
⑵ 資源量の推定
2 地域森林資源管理におけるリモートセンシング利用
⑴ リモートセンシングによる地域森林資源量推定
⑵ 滋賀県東近江市の事例
⑶ 航空レーザデータを用いた森林資源量の動向のシミュレーション
第8章 「山論」の現代的意義をめぐって―御池岳所有権・境界確定訴訟の検討
1 本件事件の経緯と訴訟の経緯
2 判決と判決理由の要点
⑴ 判決
⑵ 判決理由
⑶ 結論
3 若干の検討
⑴ 村々入会と山論
⑵ 明治初期の地租改正と土地利用
⑶ 本件訴訟の本質
⑷ 今後に向けて
(判決記録) 「御池岳所有権・境界確定訴訟」
第9章 明治初期の郡界地引絵図について―絵図が語る明治初期の地租改正と村の分合
1 はじめに
2 絵図の特徴
⑴ 表紙、表題
⑵ 絵図面の作成者
⑶ 絵図面に描かれた郡界、村界その他
⑷ 絵図面内の村名その他
⑸ 凡例
3 地券制度と地租改正
⑴ 壬申地券交付
⑵ 地租改正と実施上の課題について
4 地券発行および地租改正と村の合併、自治
⑴ 町村分合の促進
⑵ 町村分合の抑制
5 愛知郡の村の分合と郡界地引絵図
⑴ 愛知郡における村の分合について
⑵ その後の展開
第10章 地券取調総絵図の歪みと小地名 ―栗東歴史民俗博物館所蔵図の分析を基に
はじめに
1 地券取調総絵図の分析方法
⑴ 地券取調総絵図
⑵ 栗東市域の地券取調総絵図
⑶ 古地図の歪み分析の方法
⑷ 対比点同定作業上の注意点
⑸ 局所的歪みの意味づけの注意点
⑹ 地券取調総絵図の分析作業手順
2 地券取調総絵図の分析結果
⑴ 分析結果の提示方法
⑵ 山林・池沼・墓地の歪み
⑶ 中心集落からの距離と歪みの大きさ
⑷ 村界と地図端の歪み
⑸ 栗東市の地券取調総絵図の史料特性
3 字限図の分析方法
⑴ 小字と地名
⑵ 栗東市域の地域区分
⑶ 小字名
⑷ 栗東市域の小字データ化
4 字限図の分析結果
⑴ 小字の表記―「カイト」を例に
⑵ 分割地名―方角と順番
⑶ 集落と小字
⑷ 通称地名の例
おわりに
第11章 明治初期の分村の経緯と村の領域確定―東近江市永源寺地区茨川村
1 はじめに
2 文書の内容とその検討
3 内容
⑴ ことの起こり
⑵ 願面
⑶ 犬上県庁への説明と郷中村々との交渉
⑷ 再願面(文書⑥)
⑸ 県庁との問答と近隣六か村との交渉(文書⑦)
4 検討
⑴ 枝郷、共有地について
⑵ 地券取調と立会山の境界確定および分村
⑶ 公有地:地租改正
⑷ 茨川村のその後の推移
執筆者紹介
奥付