BUSINESS LAWYERS LIBRARY

スラップ訴訟 法的論点と対策

発売日
2023年12月22日
出版社
日本法令
編著等
吉野夏己

 「恫喝訴訟」や「いやがらせ訴訟」などを意味する「スラップ訴訟」を客観的に分析し、日米における名誉棄損法の歴史的展開から、スラップ対策につながる法理を明らかにします。それをもとに、既存の法制度を利用した対策から日本版スラップ被害防止法の制定までを射程に論点を整理し、スラップ訴訟の被害者側が実務的にとりうる手段を考察します。

目次

表紙

はじめに

目次

第1章 スラップ訴訟とは?

第1節 スラップ訴訟の実態

1 スラップ訴訟とは市民参加を妨害する訴訟である

2 アメリカの事情

3 日本におけるスラップの現状

第2節 捉えどころのないスラップ概念

1 スラップ訴訟をめぐる議論の錯綜

2 スラップ訴訟の定義の困難性

3 それでもスラップ対策が必要!

第2章 アメリカ合衆国の名誉毀損法

第1節 コモン・ロー上の名誉毀損

1 ライベルとスランダー

2 ライベルの成立要件

3 複雑な損害の種類

4 免責事由

5 名誉毀損的表現と表現の自由

第2節 アメリカにおける「名誉毀損法の憲法化」

1 ニューヨーク・タイムズ判決の「現実の悪意」の展開

2 ガーツ判決の「公的人物」テストの展開

3 アメリカ合衆国の名誉毀損法の現在

第3章 アメリカ合衆国におけるスラップ被害防止法

第1節 スラップ訴訟に対する実体的規制

1 現実の悪意の法理

2 ノア・ペニントン理論

3 ノア・ペニントン法理の優越性

4 POME基準

5 連邦民事訴訟規則による救済策

6 スラップ被害防止法の必要性

第2節 スラップ被害防止法の展開

1 スラップ被害防止法の制定

2 スラップ被害防止法の適用範囲

3 スラップ被害防止法の救済手段

4 スラップ被害防止法の「勝訴の蓋然性」

5 「統一公的表現保護法(UPEPA)」の制定

6 スラップ被害防止法の問題点

第3節 スラップ被害の防止対策に向けて

第4章 日本における名誉毀損法の問題点

第1節 刑法上の名誉と表現の自由の調整

1 刑法上の名誉とは?

2 刑法上の名誉保護

3 刑法230条の2は、憲法論が欠如・欠落している?

4 刑法学における表現の自由とは?

第2節 民事上の名誉と表現の自由の調整

1 民事上の名誉とは?

2 民事法上の名誉概念の変遷

3 情報社会における「名誉」とは?

4 虚名は保護されるのか?

第3節 相当性の法理

1 相当性の法理に関する判例理論

2 公共の利害に関する事実

3 公共の利害に関する事実の判断要素

4 相当性の法理の判断基準

第4節 名誉毀損法の憲法化の必要性

第5章 日本における名誉毀損法の憲法化

第1節 名誉毀損と表現の自由

1 名誉毀損的表現と表現の自由

2 相当性の法理と表現の自由

第2節 日本における「現実の悪意」の法理の展開

1 現実の悪意の法理

2 相当性の法理と現実の悪意

3 現実の悪意に関する裁判例

4 現実の悪意に関する学説

5 日本でも現実の悪意の法理を採用すべき!

第6章 日本におけるスラップ訴訟の事例

第1節 スラップが疑われる事案

1 政治家による名誉毀損訴訟

2 環境問題

3 企業に対する告発

4 その他団体等の告発

5 地方自治に関する告発

第2節 スラップが否定された事例

第7章 日本におけるスラップ対策の課題

第1節 スラップとは社会事象である

1 日本におけるスラップ対策の必要性

2 スラップ概念の曖昧性

3 「スラップ」から具体的法効果が導かれるわけではない!

第2節 スラップ対策

1 訴えの却下

2 まずスラップ訴訟に勝訴することが必要

3 不当訴訟を理由とする反訴の提起

4 その他

第3節 日本におけるスラップ被害防止法の可能性

1 日本でのスラップ被害防止法の必要性

2 スラップ被害防止法の適用対象

3 特別の訴え却下の申立て

4 公的介入

5 立法事実の精査を!

判例索引

著者略歴

奥付

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