- 発売日
- 2023年03月25日
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 編著等
- 深沢 瞳
社会主義国家ベトナム。はたして法の支配は醸成されているのか?その民法典の制定・変容のプロセスに焦点を当てながら、政治に対する法の意義の変容を考察する、開発法学の好著。本書は開発法学の方法論に立脚し、法制度の整備が政治権力の影響を受けつつも、経済発展と相俟って、政治をコントロールし法の支配を実現しようとするプロセスについて、伝統的に政治が法に対して優位性を持ってきた社会主義国における法改革、すなわちベトナム民法典の制定・変容のプロセスに焦点を当てながら、政治に対する法の意義の変容を考察する。
目次
表紙
はしがき
目次
第1章 序論――開発プロセスにおける政治・経済と法
一 開発における法の役割
二 ベトナム民法典研究の意義
三 本書の構成
第2章 ドイモイの展開と1995年民法典の成立
一 問題の所在
二 ベトナムにおける制度改革の特徴――ドイモイの展開とその形成過程
㈠ 貧しさを分かち合う社会主義からドイモイまでの意思決定
㈡ ドイモイの展開とベトナムにおける制度変化の特徴
三 ドイモイと1995年民法典の制定
㈠ ベトナムの制度改革の過程における法改革の意義
㈡ 1995年ベトナム民法典の制定過程およびその内容と特徴
四 1995年民法典制定の意義とその限界 ――体制移行プロセスにおける契約自由の原則の分析を中心に
五 小括
第3章 ドイモイの進展と2005年民法典の制定
一 問題の所在
二 1990年代後半におけるベトナムの政治・経済の動向
㈠ 1996年から2001年までの国内経済状況の変化
㈡ 第八回党大会および第九回党大会の政治・経済方針
三 ドイモイの進展と2005年ベトナム民法典の成立
㈠ 2005年ベトナム民法典制定の背景――1995年民法典の課題点
㈡ 1995年民法典からの変更点
㈢ 2005年民法典の法実務における適用の分析
四 2005年ベトナム民法典制定の意義とその限界
五 小括
第4章 世帯に対する規律の変化と2015年民法典の制定
一 問題の所在
二 2015年民法典の制定
㈠ 2015年民法典に至るベトナムの政治・経済状況
㈡ 2015年民法典の制定
三 ベトナム民法典における世帯の規律の変化
㈠ 世帯の法主体性の立法背景
㈡ 世帯財産の処分をめぐる法的紛争
㈢ 2015年民法典における世帯の規律
㈣ 2015年民法典は世帯をめぐる法律問題を解決したか
四 小括
第5章 結語――ベトナム民法典の発展と法の支配(the rule of law)の醸成
一 ドイモイによる市場経済取引の承認と1995年民法典の制定
二 社会主義志向の市場経済の承認と2005年民法典の制定
三 より完成した社会主義志向の市場取引システムの整備と社会実態との乖離
四 ベトナムにおける法制度と政治・経済の関係
㈠ ベトナムにおける法制度の特徴
㈡ 社会主義的法制から社会主義的法治への展開と私的自治の拡大
五 ベトナムにとって私的自治の拡大が意味するもの
六 ベトナムにおける法の支配の醸成
資料
ベトナム法令関連資料
ベトナム最高人民裁判所公開判例一覧
報道資料
統計資料
参考文献
あとがき
初出一覧
索引
著者略歴
奥付