- 発売日
- 2025年06月20日
- 出版社
- 発明推進協会
- 編著等
- 細田 芳德
本書は、化学・バイオ分野の発明の特許出願から、中間処理、権利行使までを見据えて出願時にどのように発明を把握し、戦略を立てて明細書を作成すべきかについて、多くの判例を踏まえつつ解説しています。また、本書籍収録の「明細書のチェックポイント」には、チェックポイントの目的、内容等の理解に資するため、「参照事項」の欄を設けて本書のどこに説明があるのかを明確にしており、明細書をチェックする際に有効活用していただけます。参考書と実務書、2つの特徴を併せ持つ一冊です。
目次
表紙
推薦のことば
改訂11版の序論
明細書のチェックポイント
目次
第1章 発明の把握
1. 発明とは
⑴ 発明の定義
⑵ 「天然物」と「情報」
⑶ 「技術」と「技術的思想」
2. 発明の類型
⑴ 3つのカテゴリー
⑵ 発明の類型と実施行為
⑶ 発明の類型と利害得失
3. 発明者の認定
第2章 クレームの作成(基礎)
1. クレームの表現
⑴ クレームの基本構造
⑵ 物の総括的表現
⑶ 選択肢の表現
⑷ 「からなる」「含む」「有する」
⑸ ジェプソン形式
⑹ 「特徴とする」形式
⑺ 除くクレーム
2. 独立項と引用項
⑴ 独立形式請求項
⑵ 引用形式請求項
3. 化学・バイオ発明の特定
⑴ 化学物質の一般的特定手段
⑵ 各種物質に特有な特定手段
⑶ 製法の特定手段
第3章 戦略的なクレームドラフティング
1. 「明細書は権利書である」という視点から
⑴ 広くて強い権利
⑵ 権利行使に強いクレームと弱いクレーム
⑶ 「自社製品の保護」「ライセンス」「損害賠償」などの観点
2. 共同出願におけるクレームドラフティング
共同出願におけるクレームドラフティング
第4章 明細書の作成
1. 明細書の構成
明細書の構成
2. 発明の効果の記載
⑴ 発明の効果の記載と問題点
⑵ 侵害訴訟における「発明の効果」の扱い
3. 発明を実施するための形態の記載
⑴ クレーム発明の説明
⑵ 用語の説明
⑶ 文章の表現
⑷ 数値範囲の記載
⑸ 各種発明における具体的留意事項
⑹ 数値限定発明と各種留意事項
4. 実施例の記載
実施例の記載
5. 戦略的な実施例・比較例の作成
⑴ 実施例の作成
⑵ 比較例の記載
6. 明細書の作成と誤記
明細書の作成と誤記
7. 明細書の作成と優先権
明細書の作成と優先権
8. 明細書の補正と新規事項の追加
⑴ 補正と新規事項
⑵ 実施例の記載に基づく補正と新規事項の問題
⑶ 補正の自由度を上げるための戦略的記載
⑷ 分割要件と新規事項の追加
第5章 特許要件(その1)…産業上の利用可能性など
1. 発明の完成と発明未完成
2. 産業上の利用可能性(有用性)
⑴ 産業上の利用可能性とは
⑵ 治療方法、診断方法の発明
3. 不特許事由
第6章 特許要件(その2)…特許法36条関係
1. 実施可能要件(特許法36条4項1号)
⑴ 実施可能要件とは
⑵ 「how to make」と「how to use」について
⑶ 実施可能要件違反となる類型
⑷ 「how to make」の要件
⑸ 「how to use」の要件
⑹ 「当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等」について
⑺ 実験成績証明書の参酌
⑻ 実施可能要件を考慮した明細書作成時の留意点
2. サポート要件(特許法36条6項1号)
⑴ サポート要件とは
⑵ 裁判例が説示する判断基準
⑶ サポート要件違反となる類型
⑷ サポート要件判断の前提要素
⑸ サポート要件が否定される裁判例の類型
⑹ サポート要件の充足を認める裁判例の類型
⑺ サポート要件が求める実施例の程度
⑻ 明細書の作成上の留意点と実験成績証明書
⑼ 実施可能要件とサポート要件の違い
⑽ 米国での記載要件との対比
3. 明確性要件(特許法36条6項2号)
⑴ 明確性要件とは
⑵ 明確性の基準/判断手法
⑶ 審査基準からみた明確性要件に違反する類型
⑷ 裁判例からみた明確性要件
第7章 特許要件(その3)…新規性と先願範囲の拡大
1. 新規性
⑴ 新規性とは
⑵ 「請求項に係る発明」の認定方法
⑶ 引用発明の認定方法
⑷ 公然実施における問題
⑸ 対比判断の手法
⑹ 各種の事情と新規性判断
⑺ 引用発明の追試実験
⑻ 選択発明について
2. 先願範囲の拡大
⑴ 同一性の判断
⑵ 特許法29条の2の規定と出願戦略
⑶ 裁判例
第8章 特許要件(その4)…進歩性
1. 進歩性の基本的な考え方
⑴ 進歩性の判断基準
⑵ 進歩性判断の手順
⑶ 本発明の認定について
⑷ 引用発明の認定について
⑸ まとまりのある相違点の認定
⑹ 出願後に頒布された刊行物/引用発明の追試実験結果の参酌
⑺ 公然実施発明に基づく進歩性判断
⑻ 進歩性判断における周知技術の扱い
⑼ 進歩性判断における技術常識の扱い
⑽ 進歩性の主張とその根拠
⑾ 本件発明の効果に関する後出し実験データの参酌
⑿ 進歩性と特許法36条の要件
⒀ 進歩性と「除くクレーム」
2. 進歩性否定の論理
⑴ 容易推考な構成
⑵ 動機付け
⑶ 取得プロセスの容易性
⑷ 設計変更等
3. 進歩性肯定の論理
⑴ 阻害要因
⑵ 解決課題
⑶ 示唆の不存在
⑷ 動機付けの不存在
⑸ 後知恵(hindsight、ex-post facto analysis)の排除
4. 発明の効果
⑴ 効果の類型
⑵ 予測されない効果
⑶ 顕著な効果とその捉え方
⑷ 顕著な効果と明細書の記載
⑸ 顕著な効果の主張により進歩性が肯定された裁判例
⑹ 効果の主張が否定された裁判例
⑺ 効果の参酌
5. 数値限定発明における進歩性
⑴ 数値限定発明の分類
⑵ タイプAの発明について
⑶ タイプBの発明について
⑷ タイプCの発明について
⑸ パラメータ発明について
6. 明細書作成時の留意点
第9章 化学・バイオ分野に特有な発明
1. プロダクト・バイ・プロセス・クレーム
⑴ クレーム表現とクレーム解釈の問題
⑵ 最高裁判決によるPBPクレームの解釈基準と特許庁の取扱い
⑶ プロセスの意義
⑷ 米国及びドイツにおける権利解釈
⑸ 明細書作成時の留意点
2. 変化する発明
⑴ 組成物発明における変化
⑵ 各種の変化(構造変化、性状変化、物性変化、濃度変化)
⑶ 各種変化に関連する裁判例
⑷ 明細書作成時の留意点
3. 用途発明
⑴ 用途発明とは
⑵ 用途限定の一般的な考え方
⑶ 用途発明のクレーム表現
⑷ 食品分野の用途発明
⑸ 医薬分野の用途発明
⑹ 用途特許の効力と諸問題
4. 数値限定発明の諸問題
⑴ 測定法及び測定条件に関する問題
⑵ 数値範囲のクレーム解釈
第10章 出願戦略を考える
1. 侵害態様の点から
⑴ 直接侵害
⑵ 均等侵害
⑶ 間接侵害
⑷ 試験・研究の例外
⑸ 先使用権
2. 学会発表の点から
⑴ 学会等での発表と特許出願の関係
⑵ 「新規性喪失の例外規定」の留意点
⑶ 実務上の指針
3. 国内優先権主張出願又は外国出願と論文発表との関係
⑴ 出願前、出願後にも論文発表がない場合
⑵ 論文発表が出願前にある場合
⑶ 論文発表が出願後にある場合
⑷ 実務上の指針
4. 研究と出願戦略
⑴ 各種要因を考慮した出願戦略
⑵ 特許出願の出願手続上の戦略
⑶ 基本特許と周辺特許
事項索引
おわりに
著者紹介
奥付