- 発売日
- 2024年07月10日
- 出版社
- 経団連出版
- 編著等
- 安倍 嘉一、奥田 亮輔、五十嵐 充、大屋 広貴
労災補償制度を整理したうえで、業務災害で労働者が受けられる保障、フリーランスの個人事業主、海外支店勤務者、海外出張者、アスベストのばく露やうつ病、通勤途中、職場でのけんかなど、さまざまなケースを取り上げ、企業の労災民事賠償責任および刑事責任、役員の責任を詳述します。具体例に基づく、労働災害における企業の実務対応がわかります。
目次
表紙
はしがき
目次
日本の労働災害の現状と企業が負うべき責任
第1章 労働災害と企業の責任
1 労災補償制度
01 労働者が業務で怪我をした場合、労働者はどのような補償を受けられますか。
02 会社が加入しなければならない労災保険の対象となるのは、どのような労働者でしょうか。
03フリーランスの個人事業主は、労災保険の加入対象となる可能性はないのでしょうか。
04 海外の支店で勤務する従業員について労災保険は適用されるのでしょうか。
05 海外出張者は労災保険が適用されるのでしょうか。
06 仕事中に、現場の他企業の労働者のミスにより当社の労働者が怪我をしました。労働者にはどのような補償がされるのでしょうか。
07 会社の業務がきつくてうつ病になってしまい、休職を経て退職したのですが、その後に、労災の給付決定が下りました。労災であれば、会社に戻ることは可能でしょうか。
08 労働者が労働基準監督署に労災給付を申請したものの、労基署の調査の結果、不支給との決定がなされました。決定に不服がある労働者は、どのような手続きが可能でしょうか。
09 再審査請求においても、認定が覆らなかった場合、労働者は裁判所に処分の取消しを求めることはできますか。また、使用者は、労災認定処分の取消しを求めることは可能でしょうか。
10 仕事が重なり、残業が続いていた従業員が倒れて病院に運ばれました。心筋梗塞とのことですが、どの程度残業したら労災になるのでしょうか。
11「うつ病」との診断書を提出し欠勤を始めた従業員が、会社に対し、労働時間が長すぎた、上司のパワハラがあったなどと主張し、労災申請をするように求めています。こうした精神疾患の場合に、労災はどのように判断されるのでしょうか。
12 石綿(アスベスト)のばく露により病気になった場合の、労災認定基準はどのようなものでしょうか。
13 従業員が出張中に宿泊先のホテルで転倒して亡くなった場合、労災認定してもらえるのでしょうか。
14 業務時間終了後、会社主催の飲み会に参加した際の怪我については、労災認定がされるものでしょうか。
15 職場で同僚同士が殴り合いのけんかをして怪我をしました。この怪我には労災が適用されるのでしょうか。
16 通勤途中に交通事故で怪我をした場合、補償されるのでしょうか。
2 労災民事賠償責任
17 安全配慮義務違反は誰が証明する責任を負うのでしょうか。
18 元請企業は下請企業の従業員に対して安全配慮義務を負うのでしょうか。
19 出向中に労災事故が起きた場合、誰が責任を負うのでしょうか。
20 労災民事訴訟の際に因果関係はどのように判断されますか。
21 労災被災者が損害賠償を請求する場合、どのような損害が考えられますか。
22 労災被災者が民事上の損害賠償を請求する場合、過失相殺によって損害が減額されることはありますか。
23 労災被災者が損害賠償を請求する場合、損益相殺によって損害が減額されることはありますか。
24 機械の操作ミスによる事故で負傷した場合、使用者である企業が損害賠償請求されることはありますか。
25 過重労働に起因して労働者が脳・心臓疾患を発症して死亡した場合、使用者である企業が損害賠償請求されることはありますか。
26 職場におけるいじめやハラスメントが心理的負荷となり、労働者が精神疾患等を発症して自殺した場合、使用者である企業が損害賠償請求されることはありますか。
3 労働災害と刑事責任
27 労働災害が起きた場合に、会社は刑事責任を負うことがあるのでしょうか。
第2章 労働災害と役員の責任
1 役員責任総論
28 従業員の労働時間管理や健康の確保について、会社の取締役は一般にどのような義務を負うのでしょうか。
29 会社の規模によって、従業員の労働時間管理や健康の確保に関して取締役として負う善管注意義務の具体的な内容に違いがあるのでしょうか。
30 労災について役員責任の追及がなされた場合、その具体的な方法としてはどのようなものが考えられますか。同一の労災であっても、それぞれの方法によって、役員責任の有無が異なる場合もありうるのでしょうか。
31 労災の発生について取締役に(悪意または重過失の)任務懈怠が認められる場合に、会社法429条1項の対第三者責任と同法423条1項の任務懈怠責任とで、賠償すべき損害はどのように異なるのでしょうか。
32 登記に必要と言われて名義を貸しただけで、実際には取締役としての職務を行っていない場合でも、従業員の労務管理に責任を負うのでしょうか。
33 取締役として選任されていない場合でも、従業員の労務管理に関して会社法429条1項の対第三者責任を負うような場合があるのでしょうか。あるとすれば、具体的にどのような場合に責任を負うことになるのでしょうか。
34 労災が発生し、取締役個人として責任を追及された場合に、責任限定契約等の会社法上の責任限定制度により損害賠償責任を軽減することは可能でしょうか。
35 労災が発生し、取締役個人として責任を追及された場合に、対応に要した防御費用や最終的に支払った賠償金について、一定の填補を受けることは可能でしょうか。
36 役員責任に関する消滅時効期間は何年とされているのでしょうか。
2 役員責任各論
37 長時間労働による脳・心臓疾患等に関する労働災害事案において、取締役に対して会社法429条1項の対第三者責任が肯定された裁判例では、取締役の悪意・重過失の任務懈怠について具体的にどのような事情に基づき判断したのでしょうか。
38 一定規模以上の組織化された会社において、代表取締役や人事部等の所管取締役に要求される労務管理体制の構築・運用義務として、裁判例上は具体的にどのような体制が求められているのでしょうか。
39 職場のハラスメントが原因となって労働者が自殺した事案において、取締役に対して会社法429条1項の対第三者責任を肯定した裁判例では、取締役の悪意・重過失の任務懈怠について具体的にどのような事情に基づき判断したのでしょうか。
40 業務上の事故による労働災害が発生した事案において、取締役に対して会社法429条1項の対第三者責任を肯定した裁判例では、取締役の悪意・重過失の任務懈怠について具体的にどのような事情に基づき判断したのでしょうか。
第3章 労働災害への企業の実務対応
労働災害への企業の実務対応
41 従業員がうつ病になり、会社を休むと言ってきました。会社としてはどのような対応をとればよいでしょうか。
42 従業員から労災申請がなされました。この後はどのように手続きが進むことになるのでしょうか。
43 うつ病で休職中の従業員が、弁護士を代理人に立て、うつ病発症の原因は過重労働やハラスメントだとして、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をしてきました。早く円満に解決するには、どのように対応するのがよいでしょうか。
44 うつ病で欠勤・休職し、健康保険組合から傷病手当金を受給している従業員が、うつ病になったのは上司のパワハラのせいだ、労災を申請したいと言い出しました。さらに労災の給付を受けることは可能なのでしょうか。
45 うつ病にかかり労災申請を希望した従業員が、「災害の原因」の箇所に、「上司からのパワハラ」と記載していました。会社としては、ハラスメントはなかったと考えており、申請書への押印がためらわれます。どうしたらよいでしょうか。
46 自殺した従業員の遺族が、自殺は会社のせいだと思い、非常にお怒りの様子で、会社関係者には、「葬儀に来るな!」と言っています。どうしたらよいでしょうか。
47 従業員が亡くなり、直属の上司と担当役員が弔問に伺ったところ、遺族は「社長は線香もあげに来ないのか」と激怒しています。社長も弔問に行かなければならないのでしょうか。
奥付