BUSINESS LAWYERS LIBRARY

行政機関の憲法学的統制

発売日
2023年06月05日
出版社
日本評論社
編著等
辻雄一郎

行政機関を憲法学的にどのように統制するかを、アメリカを比較対象として、COVID-19、移民、環境の事案を素材に検討する。

目次

表紙

はしがき

目次

初出等一覧

第1章 COVID-19と大統領

はじめに

Ⅰ.COVID-19に対する大統領の権限

1.COVID-19に対する大統領の権限

2.COVID-19に利用できそうな諸法律

3.スタフォード法

4.公衆衛生サービス法

Ⅱ.合衆国憲法上の大統領の権限──全国的なロックダウンは不可能である

1.鉄鋼工場接収事件とCOVID-19について

2.大統領は全国的なロックダウン、州や市を封鎖することはできるか

3.連邦主義という歯止め

Ⅲ.連邦軍の派遣で生じる問題

1.市民の抗議活動に対する連邦軍の派遣について──暴動対策法

2.暴動対策法に対する司法審査の可能性

Ⅳ.国境の壁と大統領の権限

1.2019年6月28日のカリフォルニア州連邦地裁の判断

2.2019年7月3日の第9巡回区連邦控訴裁の判断

3.2019年7月26日の合衆国最高裁の判断と破棄せず差戻しの法理

4.2020年7月31日の合衆国最高裁の判断

5.国境の壁と破棄せず差戻しとの関係

第1章のまとめ

第2章 COVID-19と裁判所

はじめに

Ⅰ.第1期──合衆国最高裁の州の規制に対する判断

1.2020年5月のカリフォルニア州の事案──South Bay I 事件

2.2020年7月のネバダ州の事案──Calvary 事件

Ⅱ.第2期転換期──合衆国最高裁の変化

1.2020年11月のニューヨーク州の事案──Roman Catholic事件

2.2020年12月3日のカリフォルニア州の事案──Harvest Rock Church事件

3.2020年12月15日のコロラド州に関する事案──High Plains Church事件

4.2020年12月15日のニュージャージー州の事案

Ⅲ.第3期──規制手段の精密な手段審査

1.2021年2月5日のカリフォルニア州の事案──South Bay Ⅱ事件

2.2021年2月8日のカリフォルニア州の事案──Gish事件

3.2021年2月26日のカリフォルニア州の事案──Gateway City Church事件

4.2021年4月9日のカリフォルニア州の事案──Tandon v.Newsom事件

Ⅳ.考察パンデミックに対する合衆国最高裁のあり方

1.専門家の判断を裁判官が覆すことができるのか

2.州の政策立案と執行に対する予測可能性

3.シャドードケットと司法府の使命

Ⅴ.COVID-19に対する州の緊急事態宣言と対応

1.2022年3月28日のニューヨーク州のワクチンパスポートをめぐる判断

2.2022年3月25日のバージニア州連邦地裁の学校でのマスク着用義務解除の判断

3.ニューヨークとバージニア州の比較

第2章のまとめ

第3章 ワクチン接種か定期検査か──カリフォルニア州を中心に

はじめに

Ⅰ.カリフォルニア州の規制権限と専門知

1.2020年緊急事態宣言以後のカリフォルニア州の取組

2.カリフォルニア州の感染防止のための他州との連携

3.カリフォルニア州のワクチン接種の意思決定手法と科学的判断

4.カリフォルニア州の知事命令とマスク着用義務

5.カリフォルニア州における知事のリコールについて

Ⅱ.ワクチン接種義務をめぐる諸州の取組と裁判所の判断

1.インディアナ州の事案(2021年8月)

2.マサチューセッツ州の事案(2021年11月)

3.カリフォルニア州の事案(2022年2月)

4.ニューヨーク市の事案(第2巡回区連邦控訴裁2021年9月)

5.メーン州の事案(2021年10月29日)

6.ニューヨーク州の事案(2021年12月)

Ⅲ.ワクチン接種か定期接種か

1.2022年1月のメディケアとメディケイドの事案──Biden v.Missouri,142 S.Ct.647(2022).

2.2022年1月のワクチン接種か定期検査かについての合衆国最高裁の判断

3.2022年3月の海軍シールズの隊員に対するワクチン接種義務の事案

第3章のまとめ

第4章 授権禁止と主要な問題の法理

はじめに

Ⅰ.授権禁止法理をめぐる合衆国際最高裁の先例

1.明瞭な指針が議論される経緯──判例の系譜を整理する

2.授権禁止法理に対するレーンキストの懸念──1980年Benzene事件

3.授権禁止法理に対するスカリアの懸念──2001年Whitman v.ATA事件

4.合衆国憲法第2章の大統領の権限と連邦議会の位置づけとその関係について

Ⅱ.授権禁止の法理と連邦政府の権限拡大の警戒

1.Gundy v.U.S.事件の事案の概要

2.Gundy v.U.S.事件の解釈手法──目的、歴史、文脈を全体から見渡す

Ⅲ.ゴーサッチの分析と他の保守派の裁判官との分岐

1.明瞭な一定の指針法理の争点は再検討すべきだが目立って本件で生じなかったというアリトー同意意見

2.主要な問題の法理と明瞭な一定の指針の法理の接続が必要だというゴーサッチ

3.裁量上訴を認めないPaul v.U.S.事件のカバノー意見

Ⅳ.授権禁止法に関する学説とゴーサッチの接点

1.代表者の行動原理──ピアースとファーバーの分析を中心に

2.スチュワートを基礎にしたゴーサッチ、スカリアの関係

3.ピアースやスチュワートに続く次の世代

4.Chevron法理と授権禁止法理の関係──70年代の行政法学再び

Ⅴ.2022年West Virginia v.EPAと授権禁止の法理

1.各政権の気候変動対策の取組

2.2016年合衆国最高裁はCPPを停止

3.2021年のコロンビア特別区連邦控訴裁の判断──トランプ政権のACEを恣意的で専断的と判断

4.2022年West Virginia v.EPA事件の争点

5.2022年West Virginia v.EPA事件の法廷意見の概要

6.2022年West Virginia v.EPA事件の主要な問題の法理の分析

Ⅵ.立退き凍結と主要な問題の法理

1.立退き凍結と主要な問題をめぐる合衆国最高裁の第1の判断

2.立退き凍結と主要な問題をめぐる合衆国最高裁の第2の判断

3.立退き凍結と主要な問題の法理と条文の構造

4.ゴーサッチとケーガンとロバーツの主張

Ⅶ.考察主要な問題の法理、授権禁止の法理と裁判所

1.各法理の関係

2.ロバーツ法廷意見の「政治」、「経済」という要素の解釈

3.COVID-19規制権限と2022年West Virginia事件との関係

第4章のまとめ

第5章 政権交代に伴う移民と湿地の行政規則と司法審査

はじめに

Ⅰ.行政機関の判断を尊重する根拠を問うChevron法理

1.Chevron法理を構成するいくつかの法理を整理する

2.合衆国最高裁の構成とChevron法理の零落

3.Chevron法理をめぐるロバーツ・コートの姿勢は慎重に見守るべき

Ⅱ.行政規則の解釈の一貫性と司法審査

1.Kisor v.Wilkie事件とAuer法理

2.Kisor事件がAuer事件とSeminole事件を破棄せずに追記した条件とは

3.Kisor事件──合衆国最高裁はAuerとSeminoleそしてChevronをまとめて破棄するか

Ⅲ.移民規制DACA事件と合衆国最高裁

1.政策を大きく変更する際の説明が不十分であると指摘する合衆国最高裁

2.政策の転換に十分な説明が必要であるというロバーツを中心に

3.合衆国最高裁はDACAの改良を認めるのか

Ⅳ.トランプ政権の湿地規制と合衆国最高裁

1.Rapanos v.U.S.事件後に連邦議会が法改正しなかった経緯を裁判所はどう評価するか

2.2006年Rapanos v.U.S.事件で法廷意見が構成されなかったことで生じる問題

3.トランプはスカリアを、オバマはケネディの基準を採用する

4.Maui事件の直後の行政規則

5.Maui事件とRapanos v.U.S.事件と2020年WOTUS規則の関係

6.マウイ事件以降のWOTUS規則

7.Sackett v.EPA──バイデン政権のWOTUS規則

8.ブレイヤーの解釈手法

Ⅴ.議会審査法による行政規則の廃止について

1.連邦議会審査法の趣旨

2.行政規則を撤回する近道となる議会審査法

第5章のまとめ

第6章 司法府の救済と破棄せず差戻の法理

はじめに

Ⅰ.2019年EME Homer事件の差戻審について

1.2014年EME Homer事件が述べたこと

2.合衆国最高裁がコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁に委ねた争点とは何か

3.EME Homer判決差戻審──2019年コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁の判断

4.2008年North Carolina v.EPA事件と2019年判決の相違

Ⅱ.破棄せず差戻の法理の分析

1.破棄せず差戻の法理の議論が白熱した背景──Allied-Signal判決

2.Allied-SignalとCheckosky事件の提示する基準

3.合衆国最高裁の態度と1997年のABAガイドライン

4.706条(2)の構成と解釈──APAは裁判所の衡平法上の救済を限定しているか

5.裁判所の救済について学説の分析

6.風上と風下の州における「破棄せず差戻」の発動と学説の関係

Ⅲ.規則制定手続の硬直化と司法審査の関係

1.コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁に注目する理由──合衆国憲法上の位置づけ

2.規則制定の硬直化の議論と司法審査──司法審査は規則制定を阻害するか

3.大統領命令による負担軽減と規則制定の硬直化

4.水質浄化法とLouisiana v.American Rivers事件

第6章のまとめ

第7章 専門知と行政機関の統制

はじめに

Ⅰ.Seila v.CFPB事件と独立行政委員会

1.Seila v.CFPB事件とCFPBの合憲性

2.Seila v.CFPB事件ロバーツ法廷意見の概要

3.判例の整理──1935年Humphreyʼs Executor v.U.S.事件とニューディール時代からレーガン時代の財政赤字

4.判例の整理──1988年Morrison事件

Ⅱ.Seila v.CFPB事件からみた判例の整理

1.Seila v.CFPB事件のMorrison事件とHumphreyʼs Executor v.U.S.事件の位置づけ

2.Free Enterprise Fund事件と正当な事由のある罷免権とブレイヤー反対意見

3.CFPBの独任制の合憲性を否定する根拠

4.CFPB事件から導かれる独立行政委員会の合憲性を支える根拠とは

5.大統領と行政各部unitary executiveの考察──John Yooを中心にして

6.強いと弱いunitary power

7.クリントンやオバマ政権の行政機関に対する圧力

Ⅲ.合衆国最高裁とFACと第三者委員会

1.ファウチと政治的任用

2.FACの経緯とACUSの提言

3.FACと利益相反禁止規定の関係──ACUSの提言

4.Conferenceの提言

第7章のまとめ

奥付

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